触法・被疑者となった高齢・障害者への支援の研究

文献情報

文献番号
200929020A
報告書区分
総括
研究課題名
触法・被疑者となった高齢・障害者への支援の研究
課題番号
H21-障害・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田島 良昭(社会福祉法人 南高愛隣会)
研究分担者(所属機関)
  • 藤本 哲也(中央大学 法学部)
  • 荒 中(荒・大橋法律事務所)
  • 浜井 浩一(龍谷大学法科大学院)
  • 小林 繁市(社会福祉法人 北海道社会福祉事業団)
  • 松友 了(社会福祉法人 南高愛隣会)
  • 松村 真美(社会福祉法人 南高愛隣会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
逮捕され明らかな犯罪事実が認められたが、不起訴処分や起訴猶予処分になった者及び執行猶予判決になった高齢・障害者の「触法・被疑者」(以下対象者)について、その実態を明らかにし、司法・警察両分野との連携を踏まえながら、福祉サイドにおける支援策を探ると共に、これを通じて対象者の再犯防止に寄与することを目的にする。
研究方法
研究代表者の下に以下の通り5人の研究分担者を配置し、多方面から有効な支援のあり方を探る。

○ 刑事法学からの触法・被疑者の実態調査と現状分析(藤本研究分担者)
○ 弁護活動と福祉との連携に関する研究(荒研究分担者)
○ 法務と福祉の接点である更生保護に関する研究(浜井研究分担者)
○ 福祉施設の支援の現状と可能性に関する研究(小林研究分担者)
○ 触法・被疑者(高齢・障害者)の福祉支援に関する研究(松村研究分担者)
結果と考察
本年の研究結果によって以下の三点の課題が明らかになった。
第一には対象者への「良質かつ適切」な弁護活動が未整備となっていることである。裁判員制度と被疑者国選制度により司法のあり方が大きく変わる中で、「権利擁護」の観点からも迅速かつ適切な対応が集眉の急となっている。
第二には対象者についての矯正・教育等の予備策が不備な状況である。このような「反社会的行為」は福祉現場では日々直面している問題であると共に、再犯防止を担う矯正施設に代わる施設があれば、不起訴処分や起訴猶予処分につながると司法サイドからもその必要性が指摘された。
第三にはこのような課題点が指摘されるにも関わらず、対象者の実情や実態についての統計がなく、具体的な施策にあたっての壁となっていることである。
結論
以上の研究結果を踏まえ、対象者の支援体制構築に向けた、以下の2つのモデル事業を実施することが有効である。
第一は「地域社会内訓練事業(仮称)」である。社会福祉法人南高愛隣会での「再訓練事業」をモデルとして、対象者への矯正・教育等を実施する事業で全国5か所で実施する。
第二には障害者や高齢者に詳しい弁護士を相談窓口に配置し被疑者国選弁護人への支援を行う「被疑者国選弁護人へのサポート事業」である。全国5か所でモデル事業を実施し、コーディネーターの要請と被疑者国選弁護人のサポートに取り組む。

公開日・更新日

公開日
2010-09-22
更新日
-