文献情報
文献番号
200929016A
報告書区分
総括
研究課題名
小児行動の二次元尺度化に基づく発達支援策の有効性定量評価に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 真澄(国立精神・神経センター 精神保健研究所 知的障害部)
研究分担者(所属機関)
- 加我 牧子(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
- 軍司 敦子(国立精神・神経センター 精神保健研究所 知的障害部 )
- 小池 敏英(東京学芸大学 教育学部)
- 杉江 秀夫(自治医科大学 小児科)
- 林 隆(山口県立大学 看護栄養学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
14,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
発達障害に対する療育法はこれまで多くの提案がなされているが,その有効性については評価尺度が一定でないため,明らかでなかった.本研究では小児行動を二次元平面で座標の時間的移動としてとらえる二次元評価尺度を導入して,発達支援策の有効性の定量評価をめざすことを目的とした.
研究方法
自閉症スペクトラム障害(ASD)児の対人距離に関する研究動向調査を行った.そして広汎性発達障害児における援助行動の形成をめざすソーシャルスキルトレーニングを行い,援助行動生起過程の要因について二次元評価尺度を活用し解析した.また,二次元行動解析を行うための対象児の選択を行い,応用行動分析や療育を開始している自閉症児と感覚統合療法を行っているADHD児について,行動に関して客観的基礎データを集積した.
結果と考察
ASDと対人距離を扱った研究は,国内においてわずか3件にとどまり,国外でも6件しか検索結果として得られなかった.ASDは社会的手がかりの少ない段階で援助行動は生起せず,二次元評価尺度システムによる行動解析で指導員に対する注目の少なさが判明した.応用行動分析を主体とした個別指導とグループ指導を受けている自閉症児の2グループ(いずれも重度の精神遅滞を持つ)とADHD2名については,二次元行動評価が可能であった.
結論
小児の行動を定量的に測るという本システムはその視点が極めてユニークであることが判明した.小児行動の客観的評価のために二次元平面で座標の時間的移動という二次元評価尺度を導入することが可能であった.本システムは個人の行動変化並びに対人間の距離,あるいは向き合いの時間などを把握することができて,ソーシャルスキルトレーニングや応用行動分析,感覚統合訓練の前後での行動評価を行えることが判明した.すなわち,高機能広汎性発達障害,知的障害,ADHD児の療育指導の効果をみるための指標として二次元評価尺度が有用である可能性が示された.
公開日・更新日
公開日
2010-05-25
更新日
-