養育に困難を抱える保護者を支援することのできる検診評価尺度(保護者自己記入式調査票)の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200929014A
報告書区分
総括
研究課題名
養育に困難を抱える保護者を支援することのできる検診評価尺度(保護者自己記入式調査票)の開発に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田中 康雄(北海道大学大学院 教育学研究院子ども発達臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 康子(葛西 康子)(北海道大学大学院 教育学研究院子ども発達臨床研究センター )
  • 金井 優実子(北海道大学大学院 教育学研究院子ども発達臨床研究センター )
  • 内田 雅志(北海道大学大学院 教育学研究院子ども発達臨床研究センター )
  • 久蔵 孝幸(北海道大学大学院 教育学研究院子ども発達臨床研究センター )
  • 伊藤 真理(北海道大学大学院 教育学研究院子ども発達臨床研究センター )
  • 本村 陽一(産業技術総合研究所サービス工学研究センター)
  • 西田 佳史(産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、乳幼児健診において、障害を早期発見しようとする動きが強まる一方で、養育者の健診前後の心理的支援についての議論は不十分ではないだろうかという気づきから、養育上の困難さを抱える保護者を支える視点に立つ実用的な健診ツール「保護者自己記入式調査票」の開発を目指すものである。
この調査票は、子どもの発達の評価のほか、養育者自身のストレスや養育を支える環境条件などを養育者が記入するものであり、健診担当者にも養育者にも負担のかからない方法で、子どもと家庭の抱える課題を探る手がかりを得られる。
研究方法
平成20年度から22年度にかけての3年計画の研究である。1年目は、従来の健診問診票を参考にして、保護者自己記入式調査票の作成に取り掛かるとともに、全国の人口規模の違う15の自治体を調査地域として選定して、現地訪問し、情報収集に努めた。
2年目は、試作版の調査票を協力自治体の3歳児健診において、健診利用者(養育者)の同意を得た上で試行し、データ収集した。調査票本票の精度や項目の妥当性の評価のため、比較対照データとして、保健師用調査用紙も作成し、解析を行なった。なお、記入者は番号で管理され、匿名性を確保するよう十分に配慮している。
3年目は、解析を進め、調査票を完成させるとともに、実用化に向け、協力地域で試行し、使用方法の検討を行なう。
結果と考察
1年目の調査で、(1)「自治体による健診体制の違いの大きさ」 (2)「保健師が、障害を見落とさないようにすることと、養育者の「発見される」心理的負担に向き合うことの両方を求められ、メンタルヘルスの危機を持つこと」 (3)「保健師が養育者への心理的支援の志向を強く持つこと」 が確認された。
2年目の調査データ解析を進める段階で、調査票によるストレスの度合いの傾向と実際の保健師の事後管理ケースの判断に一定の一致度が見られると同時に、自治体ごとにケース判断の特性が見られることが明らかになった。これにより、調査票の有用性が示されるとともに、実際の使用に当たっては、自治体による支援方法の違いに合わせた使用法を検討する必要性があると考えられる。
結論
研究の目的が現場のニーズに合致し、調査票が有効な養育者支援のツールとなる可能性が示唆された。今後、データ解析を進め。アセスメントツールとしての精度を高めるためとともに、使用に当たっての留意点や使用方法の検討が重要である。

公開日・更新日

公開日
2010-09-22
更新日
-