トゥレット症候群の治療や支援の実態の把握と普及啓発に関する研究

文献情報

文献番号
200929013A
報告書区分
総括
研究課題名
トゥレット症候群の治療や支援の実態の把握と普及啓発に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
金生 由紀子(東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻統合脳医学講座こころの発達医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 太田 昌孝(心の発達研究所)
  • 星加 明德(東京医科大学病院小児科)
  • 飯田 順三(奈良県立医科大学医学部看護学科)
  • 岡田 俊(京都大学医学部附属病院精神科神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
トゥレット症候群(TS)患者について、適応を妨げる症状、治療や支援の実態及びニーズを多様な場面で調査して、その概略を明らかにすること、治療や支援のための冊子を作成することを目指した。
研究方法
1.担当患者について、チック重症度の評価、機能の全体的評価などを検討した。また、精神科医、小児科医を対象に全国規模でTSに関する診療経験を調査した。
2.特別支援学級、通常学級の担当教諭を対象にして、チックやTSに関する認識や体験に関する質問紙調査を行った。
3.全国の発達障害者支援センターを対象としてTSの実態と普及啓発に関するアンケート調査を行った。また、奈良県のセンターの利用者を対象として、チック・TSに関するアンケート調査を行った。
4.トゥレット協会が主体となり会員を対象としてTSの多様な側面に関する調査を行ったデータを解析した。
5.多様な場面でTS患者のプライマリケアにあたる専門職に向けた冊子の構成を検討して、分担執筆した。
結果と考察
1.薬物療法の有無には、音声チックの重症度、チックが活動を妨げる程度の影響が大きいと示唆された。プライマリケア医の役割が大きいこと、併発症を有する患者が少なくないこと、治療の内容は診療科による差があることが明らかとなった。
2.TSという言葉を知っている割合は、特別支援学級担当教諭で35%、通常学級担当教諭18%であった。チックについて知りたいことは対応方法全般との回答が最も多かった。
3.全国の発達障害者支援センターの6割以上がTSの具体的な対応方法が分からないとする一方で、約7割がTSまたはチック障害の相談を受け付けていた。センターの利用者におけるTSという言葉の認識が1年間で大きく変化しており、啓発活動との関連が示唆された。
4.チックの発症に気づいてからTSと診断されるまでの期間は近年になるに従って短縮していた。当事者が現在困っている症状は、音声チックが最多であるが、睡眠の乱れ、突然の感情の爆発などの併発症状も少なくなかった。
5.TSに関する基本的な説明に、調査結果を踏まえた「コラム」、具体的な治療や支援の内容を含めた「症例」を加えた冊子の第一次案を構成した。
結論
多様な場の調査から、チックと併発症が生活に影響を与えており、両方を十分に考慮した対応を整備して普及啓発を進める必要性が確認された。

公開日・更新日

公開日
2010-09-22
更新日
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