精神障害および精神障害者に関する普及啓発に関する研究

文献情報

文献番号
200929012A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害および精神障害者に関する普及啓発に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
保坂 隆(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福居 顯二(京都府立医科大学大学院)
  • 池山 晴人(独立行政法人国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター)
  • 厚坊 浩史(国立病院機構南和歌山医療センター)
  • 松島 英介(東京医科歯科大学大学院)
  • 矢倉 尚典(株式会社損保ジャパン総合研究所)
  • 天保 英明(医療法人社団 ハートフル川崎病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神障害の普及啓発の方法の開発と,その評価を明確化する。
研究方法
人口約12,000人の1/100に相当する120名に参加していただき,自分だけでなく,周囲の人の心身の健康に目を配る役割とその知識や技術を習得する目的で「こころの安全パトロール隊員養成講座」を開催した。この講座は,①うつ病,②認知症,③統合失調症で,計6時間半の講義とロールプレーである。講習会前後に,精神障害の知識と3症例の病名について問う質問票を施行し,中長期的な評価として受講後3ヶ月間の受診援助者数を調査した。
 
結果と考察
参加者は132名の知識を問う質問票の平均点は,14.88点から17.64点に有意(p<0.01)に上昇していた。3ケースの病名調査は,正解数に関しては受講前1.77問(3問中)から,受講後は2.50問に有意(p<0.01)に増加していた。受講前の平均受診援助数は0,23件であったが,受講後には0.75件に有意(p<0.01)に増加していた。これにより,平均件数でいえば,あるいは統計学的にいえば,「受講することには中長期的な効果がある」ということにあるが,詳細な検討なしには楽観視は出来ない。受講前に受診援助をしたことがない者が81名中,講座後3ヶ月間で25名は受診援助ありへと変わっていったが,56名(約7割)は依然として0件のままだったのである。受講時の評価表によれば,「周囲の者を対象にして,スクリーニングができるか?」という質問に対しては,3.5?3.9点前後とほぼ70%程度に過ぎなかったからである。
結論
この講座は知識の習得には効果的であったが,スクリーニング技術の習得には無理があったということになる。今後は,どのような講習会がスクリーニング技術の習得に効果的かどうかという,プログラム内容の検証が必要になってくる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)