精神障害者の退院促進と地域生活支援のための多職種によるサービス提供のあり方とその効果に関する研究

文献情報

文献番号
200929011A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の退院促進と地域生活支援のための多職種によるサービス提供のあり方とその効果に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 順一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所 社会復帰相談部)
研究分担者(所属機関)
  • 萱間 真美(聖路加看護大学)
  • 大嶋 巌(日本社会事業大学)
  • 西尾 雅明(東北福祉大学)
  • 瀬戸屋 雄太郎(国立精神・神経センター精神保健研究所 社会復帰相談部 )
  • 瀬戸屋 希(聖路加看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重度精神障害者の退院を促進し地域生活を支援する多職種サービスに着目し、ACT、精神科訪問看護、精神科デイケアのあり方について、対象・業務内容の相違、効果、支援内容の相違等について調査。
研究方法
1.3群のケア内容と効果:ACT7、訪問看護21、デイケア10施設の各最大10名のケア内容と効果を追跡。
2.精神科訪問看護のケア内容と効果:ステーション12、病院訪問看護9施設の利用者を対象に2年間追跡調査。
3.ACT立ち上げ支援:ACTを立ち上げ・準備中の施設を対象に、アンケート調査およびモニタリング。
4.デイケアモデルの検討:デイケアのあり方について検討するために、文献レビューを実施。
結果と考察
1.ACT群:重症精神障害者へ多職種で支援。長めのコンタクト時間・地域も含めた訪問支援の展開・具体的支援が実施されている。中断者なく継続してサービスを提供。訪問看護群:比較的安定した社会機能を示す者に積極的に訪問。特に観察・アセスメント領域において、低頻度・短時間で効率的に支援。デイケア群:さまざまな診断の者に多職種スタッフが支援。やや長期間の利用。高頻度・長めのコンタクト時間で個別的な関与は少ない。再入院抑止効果が示唆。訪問デイケア群は別に分析。
2.1年後では、ステーション70.7%、病院77.6%、外来66.7%が支援継続。過去1年の入院者は、36.6%、31.6%、33.3%。ステーションで6ヵ月後にGAFが上昇し、1年後も維持。外来では6ヵ月後に低下。約8割の利用者が訪問看護を利用して生活の質が良くなった。
3.アンケート調査より、困難点:研修の少なさ、援助理念の転換、財源の不備や不安、既存資源との共通理解、臨床と経営の意識の違い、ケアプランが立てれず一貫しない支援、終了基準の未検討、24時間体制の維持、など。役立つ点:先行ACTスタッフによる組織内外の研修・講演、チーム内クロストレーニング、経営・制度の研修、地域の会議に出席、外部研修会への参加、他チームのツール、チーム内のACT経験者、他チームの見学・訪問同行、など。
4.欧米では個々のニーズに合わせて社会資源を選択、利用できる支援が発展し、デイケアの意義が減少。日本での支援モデルとしてデイケアからのアウトリーチ支援を示唆。
結論
今年度の成果を踏まえ、1.多職種による地域精神保健サービスの機能分化についての提言2.ACT事業化ツールキット3.デイケアのあり方についての考察、を最終年度にまとめる。

公開日・更新日

公開日
2010-09-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)