精神障害者の地域ケアの促進に関する研究

文献情報

文献番号
200929003A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の地域ケアの促進に関する研究
課題番号
H19-障害・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宮岡 等(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原 修一郎(金沢文庫エールクリニック)
  • 澤 温(医療法人北斗会ほくとクリニック)
  • 樋口 進(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター)
  • 田中 克俊(北里大学大学院)
  • 武田 龍太郎(医療法人社団慶神会武田病院)
  • 岩満 優美(北里大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
適切な精神医療を推進させるため、地域連携システムの問題点を明らかにし、求められるモデルを提唱する。
研究方法
「対応困難な疾患」に関する研究として病的ギャンブリング、アルコール依存症、人格障害圏を、「地域ケアモデル」に関する研究として医療圏、精神科救急、地域連携、心理士をテーマに行った。
結果と考察
・日本語版SOGS短縮版の内的整合性は十分高く、カットオフ値は1/2(2点以上)が妥当と考えた。自死問題との関連、他の精神障害との関連などで検討した結果、病的ギャンブラーは対照群よりも有意に高率であった。
・ジスルフィラムRCTでは4群の途中脱落率、26週間断酒率はそれぞれ以下の通りである。G1: 実薬+手紙群(56%, 22%)、G2: 実薬+手紙なし(35%, 47%)、G3: プラセボ+手紙(50%, 40%)、G4: プラセボ+手紙なし(44%, 44%)。今後、データ収集が終了した段階で再度詳細な解析を行う。常習飲酒運転者に関する研究では対象者のアルコール依存症生涯有病率は31%、アルコール乱用有病率は50%であった。
・人格障害圏等の「診断/評価機能」、「治療機能」が困難であると回答した医療機関は多く、医療機関や行政を初めとする各機関による定期的な地域連携会議実施が、対応困難ケースへの取り組みを総合的に検討するモデルとなりうると考えられた。
・実践的な活動とその成果から、精神科における医療圏の機能分担について検討した。特に疾患、領域(児童・思春期、訪問支援等)を考慮したネットワークの構築が必要であると考えた。
・精神科救急・合併症入院料の規定が2008年に診療報酬で規定されたが、いまだ全国で数箇所にしか過ぎず、急な対応が必要な実際の現場では役に立たない。むしろ今回の研究のように二次救急医療機関との関係において、往診機能を組み入れるなどの方向性が重要であると考える。
・精神科疾患の地域連携においても地域連携パスが必要になる。
・医師が心理士に依頼したい業務を明らかにした。精神科医の多くが心理士との連携を望んでいた。心理士との連携にあたっては、心理士の国家資格化、保険適応、心理士の教育体制の不備などが問題として挙げられた。
結論
対応困難な疾患に関する貴重なエビデンスが得られ、求められる地域連携のモデルを提案した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200929003B
報告書区分
総合
研究課題名
精神障害者の地域ケアの促進に関する研究
課題番号
H19-障害・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
宮岡 等(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原 修一郎(金沢文庫エールクリニック)
  • 澤 温(医療法人北斗会ほくとクリニック)
  • 樋口 進(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター)
  • 田中 克俊(北里大学大学院)
  • 武田 龍太郎(医療法人社団慶神会武田病院)
  • 岩満 優美(北里大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
適切な精神医療を推進させるため、地域連携システムの問題点を明らかにし、求められるモデルを提唱する。
研究方法
「対応困難な疾患」に関する研究として病的ギャンブリング、アルコール依存症、人格障害圏を、「地域ケアモデル」に関する研究として医療圏、精神科救急、地域連携、心理士をテーマに行った。
結果と考察
・日本語版SOGSとその短縮版を作成し、信頼性・妥当性を確認しカットオフ値を設定した。自死問題との関連、他の精神障害との関連などで検討した結果、病的ギャンブラーと対照群で有意差を認めた。対応方法案を作成した。
・ジスルフィラムRCTでは4群の途中脱落率、26週間断酒率はそれぞれ以下の通りである。G1: 実薬+手紙群(56%, 22%)、G2: 実薬+手紙なし(35%, 47%)、G3: プラセボ+手紙(50%, 40%)、G4: プラセボ+手紙なし(44%, 44%)。今後、データ収集が終了した段階で再度詳細な解析を行う。高齢者アルコール依存症、常習飲酒運転者の実態を明らかにした。
・人格障害圏等の「診断/評価機能」、「治療機能」が困難であると回答した医療機関は多く、医療機関や行政を初めとする各機関による定期的な地域連携会議実施が、対応困難ケースへの取り組みを総合的に検討するモデルとなりうると考えられた。
・実践的な活動とその成果から精神科における医療圏の機能分担について検討し、特に疾患、領域(児童・思春期、訪問支援等)を考慮したネットワークの構築が必要であると考えた。
・精神科救急の運用を困難な状況にしている要因として、日中の業務で精一杯というのと同時に、精神科救急をしなくても成り立っているということ、精神保健指定医数が十分でないこと、精神科救急・合併症入院料の基準が出来たがそれは急を要する現場では役に立たないこと、などが明らかとなった。
・精神科疾患の地域連携においてはインターネットを活用した教育システムが効果的であるが、最終的には地域連携パスが求められる。
・医師が心理士に依頼したい業務を明らかにした。精神科医の多くが心理士との連携を望んでいた。心理士との連携にあたっては、心理士の国家資格化、保険適応、心理士の教育体制の不備などが問題として挙げられた。
結論
対応困難な疾患に関する貴重なエビデンスが得られ、求められる地域連携のモデルを提案した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200929003C