障害者ケアマネジメントのモニタリングおよびプログラム評価の方法論に関する研究

文献情報

文献番号
200929001A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者ケアマネジメントのモニタリングおよびプログラム評価の方法論に関する研究
課題番号
H19-障害・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 洋一(和洋女子大学 生活科学系)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 順一郎(国立精神・神経センター)
  • 野中 猛(日本福祉大学)
  • 大嶋 巌(日本社会事業大学)
  • 吉田 光爾(国立精神・神経センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「障害者ケアマネジメント・フィデリティ尺度」に関して障害種別による対応が異なるか否かを明らかにすること、相談支援事業所と精神科診療所のケアマネジメントの相違を明らかにすること、障害者ケアマネジメント・フィリディ尺度に関して内容的妥当性を検証すること、障害者ケアマネジメント・フィリディ尺度の有用性をケアマネジメント利用者のアウトカムとの関連で検討すること等を研究の目的とした。
研究方法
障害者ケアアネジメント・フィリデティ尺度に対して三障害での異同および障害者ケアマネジメント・フィリディ尺度に関して内容的妥当性を検証するために、全国相談支援専門員協会会員180名に自記式質問紙法によって回答してもらった。また、社団法人日本精神科診療所協会の協力を得て、97診療所に調査票を配布して調査を実施した。先駆的なケアマネジメント実践を行っている20箇所の相談支援事業者を対象に「障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度」の調査を行い、さらに利用者65名に対して9ヶ月のフォローを行い客観的QOLと主観的QOLのアウトカム調査を実施した。
結果と考察
障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度の評価項目に関して、三障害の異同が4項目に認められた。三障害合同の評価を行うためには、障害特性に対する配慮が示唆された。精神科診療所のケアマネジメントの特徴と課題が示唆された。本研究において開発した「障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度」は、ほぼすべてのフィリデティ尺度の項目について70%以上で「非常に重要」、「まあまあ重要」と判断され、内容的妥当性は検証された。本尺度を活用する場合、評価者が留意すべき4項目があった。「障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度」とアウトカムの関連を検討し、本尺度の有用性を検証したところ、フィリデティ尺度得点の高低がケアマネジメントのアウトカムの差につながっていることが確認され、本尺度がケアマネジメントの質を評価するツールとして有用であることが示唆された。
結論
臨床現場の相談支援事業所の調査結果から、「障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度新版」の内容的妥当性が検証された。さらに、アウトカム結果との関連から本研究で開発された尺度はケアマネジメントの質を評価するツールとして有用であることが示唆された。本尺度を活用するとき、障害特性や「契約に基づく支援」、「サービスの密度」、「ダイレクトサービスの内容」、「実習の受け入れ」の項目に留意する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200929001B
報告書区分
総合
研究課題名
障害者ケアマネジメントのモニタリングおよびプログラム評価の方法論に関する研究
課題番号
H19-障害・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 洋一(和洋女子大学 生活科学系)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 順一郎(国立精神・神経センター)
  • 野中 猛(日本福祉大学)
  • 大嶋 巌(日本社会事業大学)
  • 吉田 光爾(国立精神・神経センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ケアマネジメントの標準化および標準についてのフィデリティ評価尺度(忠実度評価尺度)の作成を行い、障害者自立支援法下の相談支援従事者やサービス管理責任者がその職務としてケアマネジメントを適切に行っているかを評価できる、わかりやすい方法を提唱することを目的とした。
研究方法
障害者ケアマネジメント・プログラム・スタンダードを作成し、フィリデティ評価法の尺度化のためのアイテム・プールとプログラム評価理論の適用を試みた。一方、障害者ケアマネジメントへのプログラム評価理論の適用に関して、プログラム理論の整理、プログラムプロセスの評価の概念的枠組みを応用できることが明らかにされた。次に、障害者ケアマネジメント・プログラム・スタンダードに基づき、障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度案を作成し、その内容的妥当性を検証し、同時に障害者ケアマネジメント・フィリディ尺度の有用性をケアマネジメント利用者のアウトカムとの関連で検討した。
結果と考察
障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度の妥当性と有用性が確かめられた。ただし、「契約に基づく支援」、「サービスの密度」、「ダイレクトサービスの内容」、「実習の受け入れ」の項目は重要であるという回答数が若干少なかったので、本尺度を活用する場合、評価者が留意する項目である。また、三障害の異同に関する調査結果は、4項目関して障害特性により違いがあることがわかった。そのため、障害特性に配慮した評価を行う必要がある。本研究で開発された「障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度新版」は、障害福祉分野における相談支援事業者の評価ツールとして活用されることが期待される。
結論
開発された「障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度新版」は、①事業体の構造と機能に関する項目が12項目、②ケアマネジメントプロセスに関する項目が21項目、③地域コーディネーションに関する項目が6項目である。本研究において開発された「障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度」を活用する場合、障害特性に配慮すること、また、「契約に基づく支援」、「サービスの密度」、「ダイレクトサービスの内容」、「実習の受け入れ」の項目は評価者が留意する項目である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200929001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
障害者ケアマネジメントが障害者自立支援法において制度化されたが、その実態を把握する手法は開発されていない。本研究は、障害者ケアマネジメントが適切に実施されているかを評価するフィデリティ尺度を開発した。この尺度を活用することによって、専門的・学術的に障害者ケアマネジメントの実態を把握することが可能となった。
臨床的観点からの成果
相談支援事業所は、ケアマネジメント技法を適切に実施しているか疑問が生じることがある。本研究において開発された障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度を活用することによって、臨床的なケアマネジメント実践を振り返ることも可能であり、実践家が自身の実践を評価することも可能である。
ガイドライン等の開発
障害者ケアマネジメントは、現在、国が示した「障害者ケアマネジメントガイドライン」を踏襲して実践されているが、ガイドラインそのものは具体的な実践を記述しているわけではない。本研究で示した障害者ケアマネジメント・プログラム・スタンダードは、標準的なケアマネジメントをプログラム評価理論に基づき完成させた。したがって、ケマネジメントの標準化が図られたと思料する。
その他行政的観点からの成果
最終的には、本研究で開発した「障害者ケアマネジメント・フィリデティ尺度新版」は、相談支援事業者のケアマネジメントの質を評価することにあった。この尺度を活用することによって、行政的に社会福祉法の規定するサービスの質の向上を具体的に評価するツールとして活用できる。第3者評価機関等で本尺度を活用すると、事業体の評価が容易にできる。
その他のインパクト
特にマスコミに取り上げられることはない。また、公開シンポジウムの開催も行っていない。今後、本研究の成果を公表するために、国が開催する「相談支援専門員指導者研修会」において紹介する準備をしていきたいと思います。

発表件数

原著論文(和文)
1件
ケアマネジメント学会が発刊する「ケアマネジメント学」に「障害者ケアマネジメントの動向」のタイトルで発表した。
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-