糖尿病における失明、歯周病、腎症、大血管合併症などの実態把握とその治療に関するデータベース構築による大規模前向き研究

文献情報

文献番号
200928010A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病における失明、歯周病、腎症、大血管合併症などの実態把握とその治療に関するデータベース構築による大規模前向き研究
課題番号
H21-糖尿病等・指定-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
田嶼 尚子(東京慈恵会医科大学 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科)
研究分担者(所属機関)
  • 堀田 饒(独立行政法人労働者健康福祉機構 中部労災病院)
  • 岩本 安彦(東京女子医科大学糖尿病センター)
  • 島野 仁(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 門脇 孝(東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科)
  • 槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
  • 北野 滋彦(東京女子医科大学糖尿病センター 眼科)
  • 野口 俊英(愛知学院大学歯学部附属病院 歯周病学)
  • 野田 光彦(国立国際医療センター 糖尿病・代謝症候群診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 糖尿病戦略等研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年における糖尿病患者の合併症の実態を調査し、種々の糖尿病管理・治療が合併症の発症と進展をいかに抑制しうるかを明らかにする。
本研究の成果から適切な糖尿病治療のあり方の根拠となるデータを供給し、糖尿病治療ガイドラインへの提言を行う。 
研究方法
全国の大学病院、基幹病院および診療所に通院中の40歳?75歳未満の糖尿病患者10,000名を登録し、大血管症合併の有無によって登録症例を2群にわけて追跡する。観察・検査項目は、①患者基本情報(試験開始時:必須)、②追跡情報(登録時および毎年1回取得:身体所見:血液検査:腎症指標:心電図:網膜症指標:神経障害指標:歯周病:糖尿病治療情報)とする。プライマリエンドポイントは腎症、網膜症、大血管障害、歯周病の発症・進展。
結果と考察
本登録症例数6,326名(男性 58.9%)、平均年齢60.8±8.1歳、罹病期間平均11.1年。2型糖尿病90%以上、家族歴あり50.9%。対象症例の約半数で高脂血症・高血圧を合併、大血管症の既往あり5%未満。追跡1年後の情報は3,727名(本登録症例の 58.9%)から得られ、患者属性は本登録6,326名と比較して偏向なし。
追跡1年後(3,727名、追跡率58.9%)の検査成績は、血圧 129.5±26.0/74.1±10.0mmHg、空腹時血糖134.9±36.7mg/dL、随時血糖158.5±26.0mg/dL、HbA1c 6.93±1.8%、T-chol 193.1±33.5mg/dL、LDL-c 110.5±28.1mg/dL、HDL-c 59.0±25.2mg/dL、空腹時TG119.2±74.2mg/dL。糖尿病合併症は、腎症:尿蛋白(-) 76.3%、尿Alb/Cr 40.1±125.9mg/g Cr、網膜症:単純網膜症25.9%、増殖前網膜症5.9%、増殖網膜症1.7%。光凝固療法2.8%、硝子体手術0.5%が実施された。
治療内容は、食事・運動療法ありは66.6%及び71.3%。経口血糖降下薬(複数回答)は、SU薬(41.9%)、ビグアナイド薬 (35.0%)、α-GI(31.1%)。インスリン療法は14.3%で施行され1日投与量は27.4±17.3U/日。降圧薬はARB 35.0%、CCB 25.7%、抗脂質異常症薬ではスタチン系が39.4%を占めた。今回解析の対象とした3,727名の本登録症例に対する代表性を検討するとともに、欠損データの詳細な検討が必要である。
結論
確実なデータ回収を行い、信頼性や汎用性に優れたデータベースを構築し、糖尿病合併症の発症と進展に及ぼすリスク因子を解析する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-20
更新日
-