個人特性に応じた効果的な行動変容を促す手法に関する研究

文献情報

文献番号
200928004A
報告書区分
総括
研究課題名
個人特性に応じた効果的な行動変容を促す手法に関する研究
課題番号
H21-糖尿病等・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
永井 良三(東京大学大学院医学系研究科 東京大学医学部附属病院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科、生物統計学)
  • 丸山 千寿子(日本女子大学 家政学部食物学科栄養学 )
  • 大橋 健(東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科学、行動科学 )
  • 古井 祐司(東京大学大学院医学系研究科 予防医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 糖尿病戦略等研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健診・問診データなどを用いて個人特性を同定し、効果的な行動変容手法を開発することを目的とした。
研究方法
(1)個人特性の同定に必要なデータ項目、取得法および分析方法を検討した上で、行動変容手法の検討に活用できるよう被保険者をセグメントに分けた。
(2)行動変容モデルプログラムの内容・方法および実施スキームに関して検討を行った。健診受診者向けプログラム、低リスク者(肥満者)向けプログラム、高リスク者(受診勧奨・服薬者)向けプログラムの3つである。なお、プログラムは被保険者に趣旨などを周知・同意を得て、関連する法律に基づき実施した。データ集計は個人を特定できない形式で統計分析処理をした。
結果と考察
(1)1年度は主に検査データに基づき特性化手法を開発し、「健康分布」により可視化した。(2)健診受診者向けに、健診結果、自分の位置づけ、同じリスクで倒れた有名人の事例、生活習慣改善の取り組み事例、受診および服薬の重要性から構成される「情報提供」プログラムを構築、実施した。健康分布のセグメント別にみると、非肥満、肥満に関わらず健康意識の変容効果が認められ、生活習慣の改善、特定保健指導への参加、医療機関への受診に関する意欲増進にも一定の効果が得られた。特に全体の7割を占める低リスクセグメントへの意識変容に有効であった。
(3)低リスク者への介入には内容・データが標準化され継続検証が可能な「特定保健指導」プログラムを採用し、13健保組合の積極的支援での効果検証を行った結果、行動計画の達成状況は体重減少率に有意であり、目標に応じた計画が立てられた場合に効果があがっていた。このことから、計画作成時から効果につながる生活習慣へ誘導することや対象者に合わせた難易度調整の重要性が示された。また、特定保健指導実施後の体重変化と健診結果の比較結果より、保健指導の実施中に対象者のタイプを把握し、タイプ別のフォロープログラムを提供することで、リバウンドを防いだり、生活習慣の継続を促す可能性が示された。
(4)高リスク者には保険者・被保険者・主治医の連携による生活習慣病の「受診勧奨」「重症化防止」を実現するプログラムを作成し、1年度は実行可能性を検討するために小規模の介入を実施し、スキームの実行可能性について課題点を把握した。
結論
データに基づき個人特性を同定する手法を構築し、モデルプログラムによる行動変容効果がセグメントごとに検証された。

公開日・更新日

公開日
2010-10-08
更新日
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