地域における包括的糖尿病ケアシステムの構築とその医学的・経済学的評価に関する研究

文献情報

文献番号
200928003A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における包括的糖尿病ケアシステムの構築とその医学的・経済学的評価に関する研究
課題番号
H21-糖尿病等・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
福田 吉治(山口大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 守田 孝恵(山口大学大学院医学系研究科)
  • 山崎 秀夫(山口大学大学院医学系研究科)
  • 高橋 郁子(山口大学大学院医学系研究科)
  • 原田 唯成(山口大学医学部)
  • 檀原 三七子(山口大学大学院医学系研究科)
  • 小野 順子(山口大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 糖尿病戦略等研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、第一次予防から療養支援まで、地域の多様な資源を連携させ有効活用した地域における包括的な糖尿病ケアの構築とその運営を行い、医学的・経済的評価が可能な地域糖尿病データベースによって短期評価を行うことを目的にする。
研究方法
糖尿病の地域連携の現状についての把握を行うため、(1)全国市町村に対する糖尿病関連の地域連携に関する調査、(2)山口県郡市医師会を対象にした地域連携パスの導入と運用に関する調査地域連携パスの導入状況調査、(3)県内市町を対象にした山口県における特定健診・特定保健指導と糖尿病地域連携の現状に関するヒアリング調査を行った。個別な対策として、(4)特定保健指導の標準的な教材・資料の作成、(5)特定健診・保健指導の評価ツールの作成、(6)山口県周南市診療所を対象にした糖尿病地域連携に関する実態調査を行った。
結果と考察
全国の自治体への調査では、平成22年2現在(275市町村、回収率は15.5%)の分析結果として、糖尿病の地域連携パスに関する取組を把握している市町村は少なく、医療機関ではクリティカルパスが広く普及し、地域連携パスへ発展しようとしているが、地域保健には浸透していない現状が予測された。山口県内の郡市医師会を対象にした調査では、すでに糖尿病の地域連携が運営されているのは4医師会、導入が検討されているのは10医師会で、他の疾病に比較して、糖尿病の地域連携の進展は進んでいた。作成した標準的な教材・資料と評価ツールについては、研修会等で紹介し、複数の保険者・自治体・医療機関でプレテストを実施した。今後、特定健診・保健指導の効果的・効率的な実施に向けて、プレテストの結果を踏まえて、改訂を行い、普及を図る予定である。周南市の診療所を対象にした調査では、医師以外の専門職の活用不足、地域連携ファイルの認識と活用不足、治療方針を決めるHbA1cの目安値のばらつき、特定健診・保健指導への消極的な姿勢等が明らかになった。
結論
山口県をはじめとして地域における糖尿病地域連携は徐々に進められつつあるが、連携の構築と効果的な運用について、さまざまな課題があることがわかった。次年度以降、組織づくりの支援から、連携や評価のためのツールの提供まで、課題克服に必要な支援策を検討しながら、糖尿病地域連携を展開していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-20
更新日
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