糖尿病性腎症の病態解明と新規治療法確立のための評価法の開発

文献情報

文献番号
200927002A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病性腎症の病態解明と新規治療法確立のための評価法の開発
課題番号
H21-腎疾患・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
和田 隆志(金沢大学医薬保健研究域医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 槇野 博史(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・免疫・内分泌代謝内科学)
  • 草野 英二(自治医科大学内科学講座腎臓内科学部門)
  • 羽田 勝計(旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野)
  • 鈴木 芳樹(新潟大学保健管理センター)
  • 古家 大祐(金沢医科大学内分泌代謝制御学 )
  • 佐藤 博亮(福島県立医科大学医学部腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科学講座)
  • 湯澤 由紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座腎臓内科学)
  • 安部 秀斉(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部病態情報医学講座腎臓内科学分野)
  • 奥田 誠也(久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門)
  • 篁 俊成(金沢大学医薬保健研究域医学系恒常性制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病性腎症は慢性腎臓病の最大の疾患であり、新規透析導入の原因疾患として最も多い。さらに、糖尿病患者は透析療法導入後の生命予後が不良である。したがって、糖尿病性腎症の克服は重要な課題である。そこで本研究の目的は、糖尿病性腎症の予後改善にむけて、1)糖尿病性腎症レジストリーによるデータベース構築、2)病態・予後をより反映する病期分類改訂にむけた取り組み、3)糖尿病性腎症のバイオマーカー・新規治療法の開発を行うことである。
研究方法
本研究は全体研究ならびに分科会から構成される。全体研究として、糖尿病性腎症例のレジストリーを構築し、糖尿病性腎症の臨床・研究の基盤を整備する。分科会として、長期に観察された本邦のコホート研究のメタ解析を行い、糖尿病性腎症の病態・予後を検討する。さらに、糖尿病性腎症の診断・予後を反映するバイオマーカーならびに新規治療法の開発を行う。
結果と考察
全体研究として、尿検体収集を伴った糖尿病性腎症レジストリーを構築し運用を開始した。日本腎臓学会が推進しているウエブを用いた腎臓病総合レジストリーシステムと密接に連携し、本研究の調査推進、データの蓄積を行う。これにより、糖尿病性腎症の現状、病態の把握が可能であり、本邦の糖尿病性腎症のデータベースの基盤が整備された。今後、症例を追加登録し、データベースの拡充をはかるとともに、病態・予後を包括的に検討する。さらに、糖尿病性腎症の病態・予後を反映する病期分類を目指し、本年度よりコホート研究を開始した。本邦を代表するコホートが参加し、メタ解析を主体とする解析準備が進行している。また、本研究では、糖尿病性腎症の評価のためのバイオマーカー開発を目指して有力シーズの検討を開始した。現在、末梢血トランスクリプトーム解析、尿中エクソゾーム解析、尿メタボローム解析が進行している。くわえて、糖尿病性腎症の新規治療法開発研究として、カロリー制限模倣薬、ケモカイン受容体阻害薬ならびにAGEs-DNAアプタマーの解析が進行している。今後、これらシーズのバイオマーカー・治療標的としての有用性を検証する予定である。
結論
本研究を通じて、糖尿病性腎症のデータベースの基盤を整備し、最終的な目標である予後改善、病態・予後をより反映する糖尿病性腎症の病期分類改定にむけた提言を行うようにさらに取り組む。

公開日・更新日

公開日
2010-10-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-01
更新日
-