歯科疾患予防のための日本人のフッ化物摂取基準とフッ化物応用プログラム

文献情報

文献番号
200926069A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科疾患予防のための日本人のフッ化物摂取基準とフッ化物応用プログラム
課題番号
H21-循環器等(歯)・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
荒川 浩久(神奈川歯科大学 歯学部 口腔保健学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 眞木 吉信(東京歯科大学 衛生学講座)
  • 西牟田 守(千葉県立保健医療大学 健康科学部 栄養学科)
  • 岡本 浩一(東洋英和女学院大学 人間科学科)
  • 小林 清吾(日本大学松戸歯学部 社会口腔保健学)
  • 高橋信博(東北大学大学院 社会口腔保健学)
  • 古賀 寛(東京歯科大学 衛生学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,635,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
口腔保健向上に資する生涯にわたる齲蝕予防のために、フッ化物食事摂取基準を策定し、最新知見によるフッ化物中心齲蝕予防プログラムを提示する。フッ化物応用の普及・進展に関わるフッ化物応用のリスクコミュニケーションのあり方を検討する。
研究方法
3課題に分け実験、調査、分析ならびに文献調査により検討した。
研究課題1:フッ化物の食事摂取基準策定
当該地区食品のフッ化物濃度を測定しWHO/FAOの「栄養素の許容上限摂取量の決め方」を参考に許容上限摂取量を策定した。
研究課題2:フッ化物応用による齲蝕予防プログラムの策定
カリエスリスク判定に従ったフッ化物中心の齲蝕予防処置を施し予防効果を評価した。既存の齲蝕リスク評価方法をまとめフッ化物局所応用の組合せを考えた。250~2,000 ppm Fのフッ化物をS. mutansに10分間曝露し生存率と酸産生活性を測定した。
研究課題3:フッ化物応用のリスクコミュニケーションのあり方の検討
フッ化物利用などの動きをまとめ、水道水フロリデーションに取り組んでいるモデル地区住民にフッ化物に関する質問紙調査を行い、インターネットでの水道水フロリデーションのリスクイメージを分析した。
結果と考察
当該地区で高濃度を示す食品なく、フッ化物食事摂取基準の目安量は0.05 mg F/kg b.w.、許容上限摂取量は0.1 mg F/kg b.w.が適当であった。フッ化物中心の齲蝕予防プログラムで齲蝕発病が抑制でき、個人の齲蝕リスクを的確に評価し、齲蝕ハイリスク者にはフッ化物応用を強化する。S. mutans の生存率と酸産生活性はフッ化物濃度に依存的に低下したが低濃でも有効であった。住民のフロリデーション認知度は高いが十分ではなかった。インターネット上のリスクイメージはSlovic modelに適合した。モデル地区では水道水フロリデーションに向けた提言と要望書が町長と町議会に提出された。
結論
フッ化物の目安量と許容上限摂取量を推定する。フッ化物応用中心の予防プログラムは有用である。フッ化物応用でプラーク細菌へのフッ化物付着が促進され、酸産生抑制による齲蝕予防効果が期待できる。水道水フロリデーション推進に向け、ヘルスリテラシーの向上が必要である。水道水フロリデーションの社会的受容のためのリスク認知心理学的な広報モデルを提示する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-05-21
更新日
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