急性心筋梗塞、脳卒中の急性期医療におけるデータベースを用いた医療提供の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200926065A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心筋梗塞、脳卒中の急性期医療におけるデータベースを用いた医療提供の在り方に関する研究
課題番号
H20-心筋・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
小林 祥泰(島根大学 医学部附属病院 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 峰松 一夫(国立循環器病センター 病院内科脳血管部門)
  • 鈴木 明文(秋田県立脳血管研究センター 脳卒中診療部 脳神経外科学診療部)
  • 棚橋 紀夫(埼玉医科大学国際医療センター 脳卒中センター)
  • 中川原 譲二(中村記念病院 脳卒中センター)
  • 山口修平(島根大学医学部 内科学講座内科学第三 )
  • 横山広行(国立循環器病センター 心臓血管内科 緊急治療科 )
  • 橋本洋一郎(熊本市立市民病院 神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
17,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
将来的に心・脳血管疾患拠点病院設置の条件となるような、医療計画策定に役立つ心・脳卒中データベースを作成し、基礎的調査と運用実験を行う。
研究方法
1.すでに普及している脳卒中データバンクを改良しt-PA治療の詳細調査を行う。
2.Prehospital Stroke Scaleの標準化と救急隊と病院の双方向データベースを開発する。
3. 急性心筋梗塞搬送データベースの構築を国立循環器病センターで行う。
4. 脳卒中連携パスデータベースを開発し脳卒中データバンク等と連携可能とする。
5. 電子カルテから脳卒中データベースへの取り込みソフトを開発する。

結果と考察
1.改訂版新規登録9691例中t-PA投与313例、t-PA該当だが非投与269例の解析の結果、時間的要因が最大要因であった。また、t-PA静注療法適応選択におけるCTとMRIの有用性を検討し、MRIで問題のないことを証明した。
2. 国立循環器病センターと豊能圏救急隊の共同研究で脳卒中の鑑別にCPSSが有用で、KPSSは重症度を知る上では有用。救急隊の病院前予測は50%の的中率で、その上昇には診断のフィードバック等が必要である。すでに出雲で行っているPrehospital Stroke Scaleの有用性評価については出雲消防署と島根大学病院、県立中央病院で277例の解析を行い脳卒中正診率70%と高率であった。これにより救急隊の診断精度が向上し、発症2時間以内の脳梗塞搬送率が増加した。
さらに川崎医大と倉敷消防署でもフィードバックの有用性を確認した。
3.急性心筋梗塞搬送データベースについては国立循環器病センターで院内サーバーに疾病登録システムを構築、急性心不全、急性心筋梗塞、院内心停止等の登録を検証、5000例の診断精度検証を行いDPC診断と確定診断の整合性を検証した。
4.脳卒中連携パスデータベースを熊本赤十字病院と大館市立総合病院用に新規作成し現場での検証実験を開始した。これはリハビリテーションデータベースとの連携も可能なシステムであり、今後急性期から在宅医療までをカバーするものとして期待される。
5.電子カルテからの脳卒中データベースへの取り込みソフトを島根大学病院と熊本赤十字病院で開発し登録の大幅な省力化が実現された。
結論
脳卒中データベースに連携する病院前から地域連携パスまでのデータベース開発が順調に進行し、その有用性が検証された。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-