保健指導を中心とした地域における脳卒中及び心筋梗塞の再発予防システムとエビデンス構築に関する研究

文献情報

文献番号
200926058A
報告書区分
総括
研究課題名
保健指導を中心とした地域における脳卒中及び心筋梗塞の再発予防システムとエビデンス構築に関する研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大森 豊緑(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 長束 一行(国立循環器病センター 内科脳血管部門)
  • 横田 千晶(国立循環器病センター 内科脳血管部門)
  • 坂本 知三郎(関西リハビリテーション病院)
  • 木村 穣(関西医科大学 健康科学センター)
  • 山田 和子(和歌山県立医科大学 保健看護学部)
  • 松本 昌泰(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 森山 美知子(広島大学 大学院保健学研究科)
  • 川越 雅弘(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用研究部)
  • 古川 善行(長野県厚生連下伊那厚生病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳卒中、心筋梗塞は再発率が高く、機能障害など後遺症を残す重篤な疾患であるため、発症早期の適切な治療とともに、継続的な疾病管理及び保健指導による再発・重症化予防が重要である。本研究は、脳卒中、心筋梗塞の急性期から回復期・維持期に亘る、保健指導の実態を把握するとともに、保健指導の有効性及びその影響要因を明らかにし、保健指導を中心とする再発・重症化予防のための地域連携システムの構築を目的とする。
研究方法
脳卒中、心筋梗塞について、急性期・回復期・維持期の各段階で医療機関等における保健指導や包括的リハビリの実施状況等に関する実態調査を行い、効果や影響要因等について検証する。この結果等を踏まえ、各段階において保健指導の介入(充実強化)を行い、有効性及び影響要因を検証するとともに、地域連携システム構築を図る。なお、提供する保健指導は効果的かつ一定水準を維持するため、診療ガイドライン等に基づき標準的な指導教材の作成及び患者自らが生活習慣を改善し危険因子をコントロールできるよう、疾病管理手帳等を活用した自己管理能力獲得を目指す。
結果と考察
脳卒中で急性期専門病院に入院治療後、退院した約2,000名を対象に実態調査を実施した。臨床データ等との連結、分析を終えたT病院では入院中に8割が、退院後も6割が保健指導を受けていたが、退院後2年以内の再発率は19.6%であった。病型別ではアテローム血栓症が23.3%と最も高く、ラクナ梗塞20.5%、心原性20.3%であった。入院中/退院後に保健指導を受けた者では健康状態が良くなった者の割合が高く、再発率もやや低かった。また心筋梗塞については急性期専門病院で治療後退院した172名を対象とした。退院後1年の再発率は12.1%で、入院中/退院後に保健指導を受けた者は8割であったが、保健指導の頻度や時間、内容等は十分とは言えない状況であった。またITを活用した家庭血圧モニタリング方式による自己血圧管理の有用性が明らかになった。
結論
医療機関における保健指導は時間的、人的制約等から適切に実施されているとは言い難く、患者側も疾病に関する知識や理解が十分でない実態が明らかになった。今回の調査結果で、脳卒中や心筋梗塞の退院後1-2年の再発率は10-20%に達し、脳梗塞では病型や危険因子の保有状況により再発率に差が認められたため、今後詳細な分析を進める必要がある。また時間的・人的制約改善のため、標準的な保健指導教材やIT等を活用した、保健指導手法の開発・普及が求められている。

公開日・更新日

公開日
2011-01-28
更新日
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