温泉利用が健康増進に与える効果および安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200926046A
報告書区分
総括
研究課題名
温泉利用が健康増進に与える効果および安全性に関する研究
課題番号
H21-循環器等(生習)・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 佳典(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 龍太郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 新開 省二(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 荒木 厚(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター病院)
  • 西川 武志(北海道教育大学教育学部)
  • 吉田 裕人(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 金 憲経(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 齋藤 京子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 内田 勇人(兵庫県立大学環境人間学部)
  • 深谷 太郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
3ヶ年に渡り、温泉型健康増進施設(以下、施設と称す)を活用した健康づくりの可能性について、以下の4つの側面から検討する。【1】同施設において実施できる、複合的な健康増進(介入)プログラムの開発とその評価をおこなう。その際に、以下の【2】?【4】を加えることにより、本プログラム(通称:「すぷりんぐ」)の妥当性を確認する。【2】継続性研究では、同プログラムが、負担なく継続しやすいかを調べ、【3】安全性研究では、入浴中や、施設内における運動中の事故の予防にむけた安全性の確保の要件について検討する。【4】普及性研究では、温泉利用の実態・ニーズの把握、啓発にむけた要件の整理、他地域において同一プログラムによる再現性を確認する。
研究方法
1)温泉保養地の行政と連携し特定健診等を通じた1,500名規模の断面調査の実施、2)(1)特定保健指導または(2)特定高齢の該当者を主な対象としてそれぞれに施設を利用した[1]生活習慣病予防型および[2]介護予防型の2種の複合健康増進プログラムを開発し、介入試験を行い、3) 継続面から介入試験参加者で自主グループを作る、4)家庭以外の施設における入浴事故の特徴と温泉組合を対象とする事故予防の取り組みを安全面から検討する、5)普及面から医療保険者又は企業を対象に、利用しやすい温泉とその健康増進プログラムについて調査し,要件を分析する。
結果と考察
群馬県草津町にて高齢者向け悉皆調査を実施した結果、地域高齢者の月平均入浴回数は22回であり、交絡要因統制後も温泉の入浴頻度が多い人ほど主観的健康感が良好であった。複数の施設長からのニーズも踏まえた健康増進プログラムを考案し、同町にて生活習慣病予防向け(31人)と介護予防向け(60人)の2種の教室による無作為割り付け介入研究を開始した。3ヶ月間の介入後、前者では、介入群の除脂肪体重が変化することなく、体重、BMIは、有意に減少した。後者では、握力、開眼片足立ちが有意に改善した。プログラム実施期間中に、日常生活の活動量が減少することなく、安全面に特記すべき問題もなかった。プログラム修了後の自主グループ化も進んでおり、他施設での再現性も担保された。
結論
初年度のパイロット研究から、本プログラム「すぷりんぐ」は、直接効果と、実行可能性、普及性、再現性の点で妥当と考える。

公開日・更新日

公開日
2010-05-29
更新日
-