女性外来と千葉県大規模コホート調査を基盤とした性差を考慮した生活習慣病対策の研究

文献情報

文献番号
200926043A
報告書区分
総括
研究課題名
女性外来と千葉県大規模コホート調査を基盤とした性差を考慮した生活習慣病対策の研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-024
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
天野 恵子(千葉県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 上野 光一(千葉大学・大学院薬学研究院 薬理学・高齢者薬剤学)
  • 久野 譜也(筑波大学大学院 人間科学研究科)
  • 嘉川 亜希子(鹿児島大学・大学院 医歯学総合研究科・医学部)
  • 柳堀 朗子(千葉県衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病の発症、進展の性差に関する知見を集め、データベース化、テキスト化し、IT環境下での情報の共有を可能とした上で、特定健康診断・特定保健指導、女性外来の現場に導入し、その実効性を検討することならびに臨床研究・基礎研究への性差の視点の導入を推し進め、新しい知見を発信することを目的としている。
研究方法
1.千葉県の「女性の健康疫学事業」「健康生活コーデイネート事業」データの二次使用による性差の視点からの解析。2.女性外来データファイリングシステムによる女性外来受診者の実態調査。3.コホート研究のデザインで、アウトカムが総死亡、循環器疾患であるものを対象としたレビュー作業。4.「コホート研究.NET」WEBサイトの開発。5.薬物動態・薬剤処方における性差に関する調査・研究。6.女性における血流依存性血管拡張反応と冠危険因子の関連に関する研究。
結果と考察
「健康増進および疫学調査のための基本健康診査データ収集システム確立事業」における平成14~18年度のデータ368,052件の中で、この5年間毎年検診を受け、平成18年度に医療機関にかかっておらず、服薬なしの健常人男性5,242人、女性13,129人について性・年齢階級別の年次推移を検討した結果、検査項目により男女で大きな違いがあることが明らかになった。肥満度、脂質、肝機能は男性では40~50歳をピークとし、加齢とともに減少するのに対し、女性では閉経以降の増加が顕著で、70歳代で男性とほぼ同一となる。また、血圧、血糖は男女とも加齢とともに上昇するが、閉経前の女性ではきわめて低い。平成19年度のデータ402,486件について年齢・階級別のメタボリックシンドローム危険因子の保有状況をBMI別に比較した結果、肥満の有無にかかわらず、男性は女性に比べリスク保有率が高い。しかし、その差は年齢を重ねるごとに縮小する。女性外来の調査では、疾患分類では精神的疾患が最も多く、更年期症候群、婦人科疾患、不定愁訴・自律神経失調症、生活習慣病と続く。医療介入効果は高いが、治療中紹介率は15%にのぼる。漢方製剤、糖尿病治療薬アクトス錠の使用実態には明らかな性差が認められた。文献レビュー作業は続行中であり、「コホート研究.NET」WEBサイトはhttp://www.cohort-study.comに作成中である。
結論
性差が続々と明らかになっている。さらに研究を進め来年度にまとめを報告する。

公開日・更新日

公開日
2010-10-06
更新日
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