糖尿病患者における2Dスペックル・トラッキング運動負荷心エコー法と冠動脈CTを組み合わせた冠動脈疾患の非侵襲的早期診断法の確立と実態把握および治療介入効果の多施設共同前向き研究

文献情報

文献番号
200926040A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病患者における2Dスペックル・トラッキング運動負荷心エコー法と冠動脈CTを組み合わせた冠動脈疾患の非侵襲的早期診断法の確立と実態把握および治療介入効果の多施設共同前向き研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-021
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 純一(大阪掖済会病院 )
  • 越山 裕行(田附興風会 医学研究所北野病院  糖尿病内分泌内科)
  • 黒瀬 健(関西電力病院 糖尿病栄養内科)
  • 赤阪 隆史(和歌山県立医科大学医学部 糖尿病栄養内科)
  • 岩倉 克臣(桜橋渡辺病院 循環器内科)
  • 平野 豊(近畿大学医学部 循環器内科)
  • 渡辺 弘之(榊原記念病院 循環器内科)
  • 大門 雅夫(順天堂大学医学部 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 糖尿病患者の合併症として大血管障害の合併は高率であり、さらに糖代謝異常を合併する冠動脈疾患の特徴として無もしくは軽微症候性心筋虚血の存在がある。本研究では新しい負荷心エコー法と冠動脈CTを用いた多施設共同研究試験により、本邦における糖尿病患者についての心血管合併症の早期診断の確立とその実態調査を行う。
研究方法
 本研究では、申請者が新たに開発しすでに実用化し臨床的に評価が定まっている2Dスペックル・トラッキング法を用いた負荷心エコー法により糖尿病患者の心筋虚血を診断し、冠動脈CTによる冠動脈病変診断とマッチングさせた多施設共同試験により、本邦における糖尿病患者についての心血管合併症の早期診断の確立とその実態調査を行う。
結果と考察
 現時点で484例の糖尿病患者を対象に、罹病年数・HBA1C・合併症の有無を評価し、胸痛、心電図STT変化、または冠動脈リスク3個以上を有する患者で本研究を行い、1.糖尿病患者において冠動脈病変は多枝病変が多く約半数が無症候性であった。また、RISK FACTORとして高血圧の合併が最も多くみられた。2.2DST負荷心エコー法は冠動脈CTに比べ感度・特異度に優れ、糖尿病患者における冠動脈疾患の早期診断法としてより有益であった。考察として、2DST負荷心エコー法により糖尿病患者の心筋虚血を診断し、冠動脈CTによる冠動脈病変とマッチングさせ正確な診断を行うことは非常に意義のある試みであり、この新手法による虚血診断は国外での診断法より優れており、臨床データとして本邦より海外に発信できる貴重なデータである。本法を用いる糖尿病での非侵襲的診断法は多くの患者の早期スクリーニングを可能とすると共に、血糖、代謝性因子および血圧管理の意義を解明することが可能となり、糖尿病患者における虚血性心疾患への内科的な治療介入の新たなガイドラインが作成可能となる他、冠動脈疾患の早期発見と予防的治療の導入による医療コスト削減を目指し、医療経済面においても大きく貢献できるものと考える。
結論
 2Dスペックル・トラッキング負荷心エコー法と冠動脈CTを組み合わせることにより、糖尿病患者における冠動脈疾患の非侵襲的早期診断が可能である。糖尿病においては冠動脈石灰化が強く冠動脈CTのみでの診断には注意を要する可能性が考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-01-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-02-01
更新日
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