MRIを用いた脳卒中発症・再発予防のためのより有効な降圧治療のエビデンスの創出

文献情報

文献番号
200926037A
報告書区分
総括
研究課題名
MRIを用いた脳卒中発症・再発予防のためのより有効な降圧治療のエビデンスの創出
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 能彦(奈良県立医科大学 第1内科)
研究分担者(所属機関)
  • 上野 聡(奈良県立医科大学 神経内科学)
  • 吉川 公彦(奈良県立医科大学 放射線医学)
  • 伊藤 裕(慶応義塾大学 内科学)
  • 杉山 正悟(熊本大学大学院 循環器病態学)
  • 森本 剛(京都大学大学院医学研究科付属 医学教育推進センター)
  • 今村 知明(奈良県立医科大学 健康政策医学)
  • 山野 繁(奈良県総合リハビリセンター)
  • 堀井 学(奈良県立医科大学 第1内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我国では脳卒中による死亡が総死亡の約15%を占め脳卒中は寝たきりの最も大きな原因となっており脳卒中の発症・進展予防には降圧療法が非常に重要である。最近の大規模臨床試験ではレニン・アンジオテンシン系抑制薬のアンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシン受容体Ⅱ拮抗薬が脳卒中の発症の抑制に有効であり、欧米や日本の高血圧治療ガイドラインでも脳卒中合併高血圧症例にRASブロッカーが積極的適応と推奨されているが、脳血管障害合併高血圧症例に対するACEIとARBの優位性に関してエビンデンスがなく不明である.本研究はMRIで虚血性変化または脳梗塞が認められた高齢者高血圧症例を対象に、脳梗塞の発症・再発抑効果に対するARBとACEIの効果の差異を検討する。
研究方法
心房細動を除く高齢者高血圧症例に頭部MRI検査を実施、脳卒中を含む脳血管障害の診断が確定した1000例を対象にアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬がアンジオテンシン変換酵素阻害薬と比べ2年後再MRI診断を含めた脳イベント発症抑制効果に優れている事を前向き無作為オープン結果遮蔽試験法で検討する.本学神経内科、放射線科、健康政策医学及び関連病院、熊本大学循環器内科、慶応義塾大学腎臓高血圧内科、奈良県総合リハビリテーションセンターにご参加頂きMRI診断の統一を計り登録する。本年度,前向き無作為試験(ランダム研究)と同時にランダム化以外のプロトコールを全く同じにする観察研究の二本立ての実施に変更された.
結果と考察
先行研究のMRI所見の増悪率に基づき必要症例数が見直されARB・ACEI群合せて350例と訂正、この前向き研究のデータを補強する意味で無作為に割り付けない観察研究を開始し目標症例数を650例とした.今年度までは計843例を登録(ランダム研究384例、観察研究は459例)。ランダム研究ではARB・ACEI群共に192例(それぞれ平均年齢75.3歳,76.0歳,登録時平均血圧141.8/76.8mmHg,140.4/76.4mmHg)。両指標とも両群間に差はなく他臨床背景においても同様でうまくランダム化できている。分担研究者今村は卒後40年以下の医師147名を対象にアンケート調査を実施、ARBを第一選択薬として使用している医師がACE阻害薬のそれより遥かに多いことを示したが、その選択には専門・非専門医では傾向が異なる事を明らかにした.
結論
65歳以上の高血圧症例で症候性脳梗塞の有無にかかわらずMRIを施行、症候性脳梗塞、無症候性脳梗塞、大脳白質病変の何れかを有する症例をエントリーし、ARB群とACEI群にランダム化割り付けし843例登録した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
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