降圧治療および抗凝固療法の個人の特性に応じたテーラーメード治療確立に関する研究

文献情報

文献番号
200926035A
報告書区分
総括
研究課題名
降圧治療および抗凝固療法の個人の特性に応じたテーラーメード治療確立に関する研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-016
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
河野 雄平(国立循環器病センター 内科高血圧腎臓部門)
研究分担者(所属機関)
  • 長束 一行(国立循環器病センター  内科脳血管部門)
  • 宮田 敏行(国立循環器病センター 研究所 病因部)
  • 宮田 茂樹(国立循環器病センター  輸血管理室)
  • 神出 計(大阪大学大学院  老年・腎臓内科学)
  • 鎌倉 史郎(国立循環器病センター 不整脈)
  • 山本 晴子(国立循環器病センター 研究所 臨床研究開発)
  • レジャバ アレキサンダー(独立行政法人理化学研究所)
  • 古賀 政利(国立循環器病センター 脳血管内科)
  • 矢坂 正弘(独立行政法人国立病院機構九州医療センター脳血管センター)
  • 是恒 之宏(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 長谷川 泰弘(聖マリアンナ医科学大学 神経内科)
  • 花田 裕典(国立循環器病センター 研究所 循環分子生理部)
  • 嘉田 晃子(国立循環器病センター 研究所 病因部)
  • 楽木 宏実(大阪大学大学院 老年・腎臓内科学)
  • 相馬 正義(日本大学 総合内科)
  • 土橋 卓也(独立行政法人国立病院機構九州医療センター 高血圧内科)
  • 森本 茂人(金沢医科大学 高齢医学)
  • 三木 哲郎(愛媛大学 プロテオ医学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝子多型を考慮した降圧薬選択の有用性に関する研究、および、遺伝子多型とビタミンK摂取量などを考慮したワルファリン投与量に関する研究を行う。これらの研究を通して、脳卒中などの心血管病発症予防のためのテーラーメード医療の有用性を明らかにし、効率的かつ安全な循環器疾患診療の確立を目指すものである。
研究方法
ワルファリンの至適投与量に与える因子の検討では、平成20年度に単施設(国立循環器病センター)で登録した症例を対象に、本年度は解析可能な176症例について解析を行なった。降圧薬に関しては、先行研究のGEANE研究で ARB, CCB, TDに関連するSNPを50万SNP対応のDNAチップを用いゲノム網羅的解析が行われたが、種々の降圧判定基準を用いGEANE研究の結果の検証を行った。
結果と考察
国立循環器病センターで登録し解析可能な176症例について解析を行なった。遺伝子多型では、CYP2C9*1/*1を保有しかつVKORC1ホモ変異型を保有する遺伝子型を持つ患者は、約80%存在することが判明し、過去の日本人における検討とほぼ同様の結果であった。ワルファリン維持投与量は3.3±1.2 mg/day(平均±SD)であった。年齢、性別、体表面積、リスク因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、飲酒、血栓塞栓症の既往、併用薬)等の背景情報や、肝腎機能検査データ、ビタミンK摂取量、遺伝子多型がワルファリン維持投与量にどの様な影響を与えるかについて、現在多変量解析等にて詳細な解析を実施している。GEANE研究の再解析結果は、統計的有意水準p<10-5を示すSNPが各薬剤につき複数認められた。今後はこれらの再現性を確認するため、GEANE2研究を計画している。
結論
本研究プロジェクトの成果により、副作用により脳出血や消化管出血など致死的とも言える合併症を引き起こすワルファリンならびに世界的にも非常に処方数の多い降圧薬のテーラーメード医療確立のための有用な情報が得られる可能性があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-10-06
更新日
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