行動変容理論に基づく効率的かつ効果的な特定保健指導手法の疫学的エビデンスとITを援用した開発

文献情報

文献番号
200926029A
報告書区分
総括
研究課題名
行動変容理論に基づく効率的かつ効果的な特定保健指導手法の疫学的エビデンスとITを援用した開発
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
梶尾 裕(独立行政法人国立国際医療研究センター病院 糖尿病・代謝症候群診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 野田 光彦(独立行政法人国立国際医療研究センター病院 糖尿病・代謝症候群診療部)
  • 新保 卓郎(独立行政法人国立国際医療研究センター 国際臨床研究センター)
  • 熊野 宏昭(早稲田大学 人間科学学術院 )
  • 森田 明美(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 本田 佳子(女子栄養大学 栄養学部)
  • 岡崎 研太郎(国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室)
  • 泉 和生(財団法人 国際協力医学研究振興財団)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、1)ハイリスク者に対する対面式の保健指導の限界や問題点を明らかにし、2)行動療法理論やIT等の利用を考慮した効果的で効率的な指導方法を開発し、3)手法の効果か効率について医療経済や疫学の面からも検証することである。本年度(2年次)は、前年度の成果をもとに実際の保健指導に則して行動療法にもとづいた支援プログラムの初期モデルを開発し、試行によってこの支援ツールの改善すべき点を明らかにすることを目的にした。
研究方法
支援プログラムの必要な機能を各分担研究者の専門性を生かして明らかにした。従来の保健指導の流れに則して効率的に指導できるパソコンを活用した支援ツールとして、PC単体使用のためのDVDの形で開発した。さらに、開発した支援ツールについて、新宿区保健所、千葉県福祉ふれあいプラザ(柏市)の協力を得て、試行による効果・効率化を評価し、実用化への課題を明らかにした。また、支援ツールの評価のための研究デザインの可能性を文献のレビューによって検討した。
結果と考察
行動変容理論にもとづき、本ツールに必要な機能として1)対象者の生活習慣病に対する意識(行動変容ステージ)を明らかにする、2)現時点での生活習慣病発症のリスクを評価する(リスク演算評価表示)、3)対象者の食生活、運動習慣、生活様式における問題点を明らかにする、4)生活習慣病予防についての行動目標の設定を支援する、5)選択した行動について経過を記録する(記録及び対象者への動機づけを支援する)、6)一定期間経過後の設定目標と行動結果の比較評価を支援することを想定し、プログラムを作成した。評価については、受診者からツールの有用性を評価されたが、指導者からは食事調査内容に関する質問やより詳細な食物摂取調査を希望する意見が多かった。しかし、本ツールでは効率化の観点から日常の食物摂取のすべてを評価するのではなく要点確認に留めるべきで、要点確認に不足する項目のみ追加することが好ましいと考えられた。さらに、効率的、効果的な保健指導の支援のために、検診データの自動取込、行動目標からのカロリー自動計算機能、カロリーデータベース管理機能、報告書作成機能などの機能を付与する必要があると考えられた。また、支援ツールの評価のためのデザインや必要症例数について検討を加えた。
結論
本年度は、行動変容理論に基づく特定保健指導の効率的かつ効果的な支援プログラムモデルを作成し、受診者および指導者の評価によって実用化のための改善点を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
-