循環器リスクと耐糖能障害の効率的な健診マーカーの探索

文献情報

文献番号
200926026A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器リスクと耐糖能障害の効率的な健診マーカーの探索
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
武田 純(岐阜大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 堀川 幸男(岐阜大学 医学部附属病院)
  • 山本 眞由美(岐阜大学 保健管理センター)
  • 永田 知里(岐阜大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
16,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
耐糖能異常は不均一な病態なので効率的な予防を行なうには、日本人の病態とリンクした健診項目の設定と体質や生活特性に配慮した保健指導が必要である。本研究では、明確に判別された耐糖能に従って、生化学検査と健康・生活に関する質問票調査を実施し、関連因子を特定すると共にフォローアップ解析を行なう。
研究方法
岐阜市で無作為抽出した1,070人(40歳以上)について75gOGTTを実施して耐糖能分類すると共に、血中脂質も含めた生化学検査も同時施行した。BMIとウエスト周囲径も測定した。自記式質問票調査(36ページ)により、性別、生年月日、家庭環境、職業等の背景、既往歴、20歳時からの体重の増減、健康状態、睡眠時間、喫煙習慣と受動喫煙、歯の衛生、家族の人数と既往歴、糖尿病の知識(24問)、ストレステスト(12問)、食習慣と食事内容、健康食品、嗜好品、運動習慣、QOL-26、女性の妊娠・出産歴・閉経などの情報収集を行なった。これらの情報と耐糖能型や保健指導の効果との関連を解析していくが、当該年度は喫煙習慣(能動と受動)との関連を解析した。
結果と考察
耐糖能異常に肥満が占める割合が40%であり、大半の空腹時血糖値(FBS)が正常あるいは正常高値であったから、腹囲を必須としてFBSを測定するメタボ健診では、食後高血糖を示す「かくれ糖尿病」を高率に見逃す危険性がある。従って、HbA1cを併用した健診に改善することが必要と考えられた。FBSが正常である非肥満の糖尿病型は、HbA1c 5.5%での検出は感度81.8%、特異度78.7%であった。
 生活習慣では、喫煙が糖尿病発症に関与することが確認された。女性喫煙者、あるいは非喫煙者の女性で夫が喫煙者の場合、自身が非喫煙者で夫が喫煙しない場合に対して、IGTになりやすいことが新たに明らかになった。 さらに、非喫煙者の女性で夫が喫煙者の場合、自身が非喫煙者で夫が喫煙しない場合に対して、膵β細胞の機能が低下することも判明した。
結論
日本人のインスリン分泌不全を早期検出するには、空腹時血糖の測定ではなく、HbA1cを併用した健診とGTTの励行に見直すことが効果的である。
 生活習慣の改善項目としては、禁煙の励行と喫煙場所の制限が喫煙者自身のみならず配偶者の糖尿病予防に重要である。

公開日・更新日

公開日
2010-06-03
更新日
-