健康づくりのための休養や睡眠の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200926021A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくりのための休養や睡眠の在り方に関する研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
兼板 佳孝(日本大学医学部 社会医学系公衆衛生学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 内山 真(日本大学医学部 精神医学系精神医学分野)
  • 中路 重之(弘前大学大学院医学研究科 社会医学講座)
  • 赤柴 恒人(日本大学医学部 内科学系睡眠学分野)
  • 内村 直尚(久留米大学医学部 精神医学)
  • 三島 和夫(国立精神・神経センター 精神保健研究所精神生理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、健康づくりのための休養指針や睡眠指針の改定が検討されている状況にあって、休養と睡眠のあり方を疫学研究の立場から検証して、指針の改定に必要な科学的根拠を提供することを目的とする。
研究方法
(1) 平成21年11月に全国から一般住民2,206人を無作為抽出し、面接調査を実施した。(2) 大学病院精神神経科にて非器質性不眠症の診断を受けた患者31名を対象に初診時、治療1ヶ月後と3ヶ月後の気分状態および生活の質(QOL)を比較検討した。(3) 睡眠センターにて診断された閉塞型睡眠時無呼吸症候群58人について、CTで測定した内臓脂肪と睡眠時無呼吸症候群の重症度やメタボリック症候群との関連性を検討した。(4) A県I町の一般住民を対象に成人1586名について睡眠と動脈硬化との関係を検討した。(5) 全国より抽出された2,559人の成人に面接聞き取り調査を行い、寝床で過ごした時間と不眠との関連について検討した。(6) 地方公共団体に勤務する男性21,693人を7年間追跡した職場健診データを解析した。(7) 全国から無作為抽出した成人2,371人を対象に面接調査を実施した。
結果と考察
(1)睡眠による休養不足、短い睡眠時間(6時間未満)、自由時間の活用度が低いこと、趣味活動に使用できる時間数が少ないことが、心の不健康感や体の不健康感と独立した正の関連性を示した。(2) 不眠の治療後、不安、緊張、抑うつ、疲労、混乱に関する得点が有意に減少し、身体的QOLが有意に改善した。(3) 内臓脂肪と平均SpO2、最低SpO2と有意な逆相関を示した。(4) 女性において睡眠時間が長いほど動脈硬化が進行していることが明らかになった。(5) 9時間以上の床上時間の者では、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒を訴える者が多いことが示された。特定の睡眠習慣と不眠の関連が示唆された。(6) 週休がほぼ取れている者に対して、取れないことが多いと回答した者は、高トリグリセライド血症の新規発症に関する調整オッズ比が1.13(p<0.05)と有意に高い値を示した。(7) 1,293人(男性593人、女性700人)より協力が得られた。入眠障害経験者は男性19.7%、女性は25.5%であった。入眠障害経験者のうち、初発年齢は51歳以上の割合が29.7%と最も高く、入眠障害の持続期間は、1ヶ月未満が42.9%と最も高い割合を示していた。睡眠薬の使用者の割合は33.9%であった。
結論
睡眠や休養の在り方が、心身の健康に重大な影響を与えることが示唆される。

公開日・更新日

公開日
2010-04-21
更新日
-