地域・職域における生活習慣病予防活動・疾病管理による医療費適正化効果に関する研究

文献情報

文献番号
200926017A
報告書区分
総括
研究課題名
地域・職域における生活習慣病予防活動・疾病管理による医療費適正化効果に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(財団法人 愛知県健康づくり振興事業団 健康科学総合センター)
研究分担者(所属機関)
  • 村本 あき子(財団法人 愛知県健康づくり振興事業団 健康科学総合センター )
  • 山本 直樹(トヨタ自動車 安全健康推進部)
  • 玉腰 暁子(愛知医科大学公衆衛生学教室)
  • 沼田 健之(岡山県南部健康づくりセンター)
  • 小池 城司(福岡市健康づくりセンター)
  • 中村 正和(大阪府立健康科学センター)
  • 川渕 孝一(東京医科歯科大学大学院歯学総合研究科医療経済学)
  • 伊藤 由希子(東京学芸大学人文社会学系経済分野)
  • 加田 賢治(社会保険中京病院 循環器科)
  • 織田 順(東京医科大学 救急医学)
  • 宮地 元彦(独立行政法人 国立健康・栄養研究所)
  • 小谷 和彦(自治医科大学臨床検査医学・公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
26,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
メタボリックシンドロームに対する保健指導による健康指標や医療費に及ぼす影響を検証し、本制度の理論的根拠を確認するとともに、改善すべき点について明らかにすることを目的とする。
研究方法
①特定保健指導の医学的評価: 7市町国保、24健保の積極的支援6カ月評価終了者1,854例を対象に健康指標の変化を分析した。また1年後の健診データについて保健指導非参加者と比較した。
②生活習慣病予防事業が医療費に及ぼす効果の検討:積極的支援・動機づけ支援の判定を受けた健保組合員を対象に、保健指導への参加状況と、その後の医療費への影響をPropensity Score Matching法にて検討した。
③運動中の傷病発生に関して2次・3次救急施設の傷病構造を解析した。

結果と考察
① 特定保健指導の医学的評価: 6ヵ月後の体重減少率は2.8±4.8%、「体重4%減少」達成者割合は34.3%であった。重回帰分析により、体重減少率に及ぼす要因としては、支援プログラム、支援ポイント、6ヵ月後血液検査で評価、喫煙、健診時体重が抽出された。6ヵ月後評価時に採血等を実施した748例では、収縮期血圧、拡張期血圧、トリグリセライド、LDL、HbA1C AST、ALT、γGTPが有意に低下、HDLは有意に増加した。これらは体重減少率に伴って有意に改善率が増大した。メタボリックシンドローム(MetS)該当者の減少割合は54.4%、「MetS+予備群」減少割合は39.3%であった。性・年齢・BMIをマッチングさせた対照群と比較すると、1年後においても参加群の検査データの有意な改善が確認できた。
②特定健診・保健指導の医療経済的評価:保健指導に参加・完了した者では、受診確率や診療実日数が有意に減少していることが分かった。
③ 3施設において2年間で396例の運動関連傷病事例が存在した。「けが」事例の多くが中等症以下であるが、「急病」では重症度・緊急度とも高い事例が多く、救命センターの診療対象となっていた。指導スタッフにはBLSやAEDに関する生きた知識が必要である。
④ 研究のまとめとして「特定保健指導のエッセンス:実践者のためのマニュアル」を1万部作成、国保連合会等の研修会で配布し、指導者の資質向上に役立ててもらっている。
結論
積極的支援により6ヶ月後、1年後の健診データの改善を確認できた。1健保組合データでは保健指導完了による医療費低下効果を認めた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200926017B
報告書区分
総合
研究課題名
地域・職域における生活習慣病予防活動・疾病管理による医療費適正化効果に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(財団法人 愛知県健康づくり振興事業団 健康科学総合センター)
研究分担者(所属機関)
  • 村本 あき子(財団法人 愛知県健康づくり振興事業団 健康科学総合センター)
  • 川渕 孝一(東京医科歯科大学大学院医療経済学)
  • 伊藤 由希子(東京学芸大学人文社会科学系経済学分野)
  • 石川 貴之(トヨタ自動車 安全健康推進部)
  • 山本 直樹(トヨタ自動車 安全健康推進部)
  • 玉腰 暁子(愛知医科大学 公衆衛生学教室)
  • 沼田 健之(岡山県南部健康づくりセンター)
  • 小池 城司(福岡市健康づくりセンター)
  • 中村 正和(大阪府立健康科学センター)
  • 小谷 和彦(自治医科大学 公衆衛生学)
  • 織田 順(東京医科大学 救急医学)
  • 加田 賢治(社会保険中京病院 循環器科)
  • 宮地 元彦(独立行政法人 国立健康・栄養研究所)
  • 武隈 清(財団法人 愛知県健康づくり振興事業団 健康科学総合センター)
  • 中川 正美(中川整形外科・内科)
  • 水上 哲秀(水上クリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年度から特定保健指導が開始されるにあたり、メタボリックシンドローム(以下MetS)に着目した保健指導の医学的ならびに医療経済的評価、保健指導の安全確保のための調査を目的に研究を行った。
研究方法
1.保健指導が健康指標に及ぼす効果:初年度は地域・職域において、積極的支援型保健指導試行事業を実施、翌年度に6か月~1年後の医学的な評価を行った。最終年度には特定保健指導積極的支援の多施設共同研究を行い、6ヵ月後評価まで終了した1,854例を対象に効果を分析した。
2.保健指導が医療費に及ぼす効果:初年度は健診データとレセプトデータを突合、動脈硬化リスクの重複数や重症度ごとの医療費を算出した。翌年度には過去の健診データと4年後、10年後の医療費を突合し、将来の医療費にに及ぼす健診有所見の影響を調査した。最終年度は特定保健指導が医療費に及ぼす影響についてPropensity Score Matching法にて検証した。
3.運動時の救急傷病発生リスクに関する研究:健康増進施設の安全管理体制に関する調査、健康運動指導士が経験した運動関連事故調査、救命救急センターにおける運動関連事故調査を行った。
結果と考察
1.試行事業でのMetS減少率は42.5%。保健指導プログラムを確立することにより安定した結果に結び付く可能性が示唆された。指導積極的支援による体重減少率は2.8±4.8%、体重4%減少達成者割合は34.3%であった。体重減少率と検査データの改善には有意の相関があり、4%以上の減量で血圧、血糖、脂質に有意な改善を認めた。保健指導効果についての多変量解析では、保健指導プログラムと投入ポイント、喫煙、肥満度等の要因が関連した。
2.予備群以上で4~10年後の医療費が有意に増加した。積極的支援完了者では受診確率や診療実日数が有意に減少した。
3.運動指導者の25%が救急搬送事故を過去に経験していたことから、安全管理教育が重要である。
結論
体重4%減少にて動脈硬化リスクの改善を認めた。積極的支援型保健指導では健康指標の有意な改善を確認、保健指導完了者での医療費低減が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-05-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200926017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
特定保健指導積極的支援について、6か月、1年後の評価をおこない、保健指導を実施しない対照群と比較した改善効果を示した。また4~5%の体重減量が代謝指標や血圧、メタボリックシンドローム判定の改善と関連があることを示した。Propensity Score Matching法にて、短期的な医療費抑制効果を観察した。
臨床的観点からの成果
Transtheoretical Modelの活用など、効果的な保健指導の方法について検討、さらに保健指導プログラムの評価方法について検討した。この結果、特定保健指導の評価としては体重減量4%達成者率を用いることが有用であることを示した。健診データと医療費データの突合から保健指導効果を検証する方法を提案した。
ガイドライン等の開発
「エクササイズ活用ブック(案)」の作成(平成19年度)、
「運動の大切さを伝えたい」~運動指導者のための安全管理マニュアル(平成20年度)、
「特定保健指導のエッセンス:実践者のためのマニュアル」 (平成21年度)
その他行政的観点からの成果
国立保健医療科学院における特定健診・特定保健指導リーダー研修会にて、研究の成果を踏まえた講義を実施、行政関係者、保健指導者への普及を図った。
その他のインパクト
平成20年度循環器病研究振興財団助成により、本研究班について公開シンポジウム開催
マスコミとしては、産経新聞、中日新聞等にとりあげられた。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
36件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
46件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
村本あき子、津下一代
ウェスト周囲径 90cm以上の女性に対する生活習慣介入研究-ウェスト周囲径3cm縮小の効果
肥満研究 , 13 (1) , 60-67  (2007)
原著論文2
玉腰暁子、西垣良夫, 津下一代
軽度尿酸値異常者に対するセルフケア型保健指導の効果
人間ドック  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-