わが国の女性における生活習慣病の実態把握と発症要因の探索及び介入に関する研究

文献情報

文献番号
200926016A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の女性における生活習慣病の実態把握と発症要因の探索及び介入に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
太田 博明(東京女子医科大学 産婦人科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 松村 康弘(桐生大学医療保健学部)
  • 石谷 健(東京女子医科大学 産婦人科学教室)
  • 林 邦彦(群馬大学医学部保健学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究1
通常老化者である中高年ボランティア女性を対象に,①メタボリックシンドローム(Met-s)から生活習慣病への移行過程を探索することを目的とした。また,②生活習慣がMet-sから生活習慣病への移行過程に与える影響についても検討した。
研究2
また,日本ナースヘルス研究データから生活習慣病の発生の実態と生活習慣・保健習慣などとの関連を分析した。
研究方法
研究1
背景情報を聴取し,身長,体重,腹囲,血圧,腰椎骨密度,脈波伝搬速度,内臓脂肪面積(VFA)を測定した。さらに血液採取により脂質・糖・骨代謝等の130項目に加え,AGE,esRAGE,PEDFの各血中濃度を測定した。
研究2
ベースラインデータおよび追跡データから,Met-sの有病状況と生活習慣等との関連に関する横断的な検討を実施した。
結果と考察
研究1
内臓脂肪の蓄積によりアディポネクチンの低下が見出された。またVFAの増大により高血圧化を呈し糖代謝指標と炎症マーカーは上昇した。加えて,脂質代謝指標は劣化し,Met-sへの進展が確立することが判明した。体重や腹囲およびVFAが増大しても,栄養摂取は変わりがないが,身体活動が異なることが判明した。一方,AGEのMet-sへの関与は少ないが, esRAGEはVFAやインスリン,hsCRPと有意な負相関にあることから,細胞内の酸化ストレスを抑制することによって,Met-sへの進展が阻止されるものと考えられた。
研究2
Met-sの有病割合はウエスト周囲長の基準を80cmとしたとき,9.2%であったが,BMI 25以上の者の割合13.5%より低かった。またこの割合は,脂質異常・高血圧・高血糖の割合より低く,腹部肥満のみに注目すると,これらを見逃す可能性が示唆された。
結論
研究1
アディポネクチンを指標とし,身体活動量を高めることによって,Met-sの進展が阻止され,生活習慣病への罹患を阻止することが可能となることが判明した。また,esRAGEはMet-sの初期段階から生活習慣病を反映する指標の1つとなりうる可能性が示唆された。
研究2
Met-sの有病状況と各生活習慣項目との関連から,高年齢,飲酒頻度およびみそ汁摂取頻度が低いこと,朝食として主に米食を中心としていることが,Met-sの有病割合を高めることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200926016B
報告書区分
総合
研究課題名
わが国の女性における生活習慣病の実態把握と発症要因の探索及び介入に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-018
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
太田 博明(東京女子医科大学 産婦人科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 松村 康弘(桐生大学 医療保健学部)
  • 石谷 健(東京女子医科大学 産婦人科学教室)
  • 林 邦彦(群馬大学 医学部保健学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究1
メタボリックシンドローム(Met-s)の罹患とライフスタイルとの関連性を明確化し,その改善を通じたMet-sの発症予防法および進展抑制法を検討・提唱すること。
研究2
大規模女性コホート研究のデータから, Met-sを含めた生活習慣病の有病・発生・死亡状況の把握およびその妥当性と 生活習慣・保健習慣の妥当性およびその変化を検討する。
研究方法
研究1
更年期外来受診者の生活習慣病への傾きと中高年健常ボランティア女性におけるMet-sと骨粗鬆症との関連について検討を行った。さらに通常老化からMet-s,さらには生活習慣病への移行過程を探索した。
研究2
大規模女性コホート研究で2年毎に追跡調査を実施し,保健習慣および生活習慣の変化と各種疾患の発生状況を調査した。さらにMet-sの有病率と生活習慣等との関連を調査した。
結果と考察
研究1
(1) Met-sの予備段階ではBMDは増加するが,動脈硬化を来たしてくるとBMDは低下するので,Met-sと骨粗鬆症は併発することとなる。
(2)アディポネクチンがMet-s指標となる可能性が示唆され,体重や体脂肪面積が大きい対象者では,運動エネルギー量が増大していることが判明した。
(3) AGE阻害因子であるesRAGEはVFA,hsCRP,インスリンとの間に有意な負相関を認めた。
研究2
 (1)女性看護職におけるMet-sの有病割合はウエスト周囲長の基準を80cmとしたとき,9.2%であったが,BMI25以上の者の割合13.5%より低かった。
(2)女性看護職の喫煙者割合は,4年間に14.7%から11.3%に減少し,乳製品,豆腐,納豆の摂取頻度は,30歳以上で増加していた。喫煙習慣,食物摂取は年齢や妊娠経験の影響を受けたが,閉経の影響はなかった。
結論
研究1
アディポネクチンを指標とし,身体活動量を高めることによって,Met-sの進展が阻止され,生活習慣病への罹患を阻止することが可能となることが判明した。また通常老化の段階では, AGEと他の因子との関連性は薄いが,esRAGEはMet-sの初期段階から生活習慣病を反映する指標の1つとなりうる可能性が示唆された。
研究2
Met-sの有病状況と各生活習慣項目との関連を検討した結果,高年齢,飲酒頻度およびみそ汁摂取頻度が低いこと,朝食として主に米食を中心としていることが,Met-sの有病割合を高める。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200926016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1) Met-sの予備段階ではBMDは増加し,骨粗鬆症を併発しないがMet-sが進行して血管が硬化し,動脈硬化を来たしてくるとBMDは低下し,骨粗鬆症化を呈するので,Met-sと骨粗鬆症は併発することとなる。
(2)アディポネクチンがMet-s指標となる可能性が示唆され,体重や体脂肪面積が大きい対象者では,運動エネルギー量が増大していることが判明した。
(3) AGE阻害因子であるesRAGEはVFA,hsCRP,インスリンとの間に有意な負相関を認めた。
臨床的観点からの成果
(1)女性看護職におけるMet-sの有病割合はウエスト周囲長の基準を80cmとしたとき、9.2%であったが、BMI25以上の者の割合13.5%より低かった。
(2)女性看護職の喫煙者割合は、4年間に14.7%から11.3%に減少し、乳製品、豆腐、納豆の摂取頻度は、30歳以上で増加していた。喫煙習慣、食物摂取は年齢や妊娠経験の影響を受けるが、閉経の影響は認められなかった。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
9件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
67件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-