胃がんに対するリンパ節郭清を伴う腹腔鏡下手術と開腹手術との比較に関する多施設共同ランダム化比較試験

文献情報

文献番号
200925071A
報告書区分
総括
研究課題名
胃がんに対するリンパ節郭清を伴う腹腔鏡下手術と開腹手術との比較に関する多施設共同ランダム化比較試験
課題番号
H21-がん臨床・一般-019
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
片井 均(国立がんセンター中央病院 総合病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 北野 正剛(大分大学 医学部)
  • 宇山 一朗(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 谷川 允彦(大阪医科大学)
  • 比企 直樹(財団法人 癌研究所附属有明病院)
  • 黒川 幸典(独立行政法人 国立病院機構大阪医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
早期胃癌に対し、術後QOLの改善を期待し腹腔鏡手術が導入されつつある。腹腔鏡手術の頻度は増加しているが、術式の難易度が高く、リンパ節転移がある患者における開腹術との同等性などのprospectiveなデータがなく広がっている現状は問題である。患者にとっての真のベネフィットの有無を検証するために、安全性,根治性両面からの科学的な有用性評価を臨床試験で行なう。
研究方法
登録が終了した「臨床病期I期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の安全性に関する第II相試験(JCOG0703)」の解析を行なう。引き続き、臨床病期I期胃癌に対する開腹手術に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の非劣性を証明する第III相試験を行なう。primary endpointは全生存期間とする。開腹手術群の5年生存割合を90%、腹腔鏡下手術群の成績が開腹手術群と同等であることを期待し、登録5年、追跡5年、片側α5%、検出力80%とする。生存割合で非劣性許容下限を5%(ハザード比:1.54)として検証するため、登録数は両群併せて920名となる。
結果と考察
腹腔鏡手術の安全性を検証するためにI期胃癌患者177例を対象として、縫合不全と膵液瘻の発生割合をprimary endpointとしたJCOG0703の最終解析を行った。腹腔鏡手術の先進施設における腹腔鏡下幽門側胃切除術の安全性が検証された。「臨床病期I期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の開腹幽門側胃切除に対する非劣性を検証するランダム化比較試験(JCOG0912))」プロトコールを研究母体となるJCOGに提出し、JCOG臨床試験審査委員会で承認され、22年3月から登録を開始した。腹腔鏡手術先進施設で腹腔鏡下幽門側胃切除術の安全性を検証された。腹腔鏡手術普及のため、開腹手術に対する全生存期間における非劣性を検証する第III相試験を可及的速やかに施行していく必要がある。
結論
本研究で、手術の評価が定まれば、内視鏡切除適応外の早期胃がん患者に早期社会復帰や術後患者QOLを向上させうる、新しい治療手段を積極的に提供できる。
早期社会復帰や術後患者QOLの向上は、社会的活動の向上、精神的安定、雇用機会の増加、経済的な改善などの成果をもたらすこととなりうる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-