初発肝細胞癌に対する肝切除とラジオ波焼灼療法の有効性に関する多施設共同研究

文献情報

文献番号
200925067A
報告書区分
総括
研究課題名
初発肝細胞癌に対する肝切除とラジオ波焼灼療法の有効性に関する多施設共同研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
國土 典宏(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 幕内 雅敏(日本赤十字社医療センター)
  • 小俣 政男(山梨県)
  • 椎名秀一朗(東京大学医学部附属病院)
  • 赤羽 正章(東京大学医学部附属病院)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科)
  • 松山 裕(東京大学大学院医学研究科)
  • 工藤 正俊(近畿大学医学部)
  • 有井 滋樹(東京医科歯科大学医学部)
  • 前原 喜彦(九州大学医学部)
  • 高山 忠利(日本大学医学部)
  • 小菅 智男(国立がんセンター中央病院)
  • 久保 正二(大阪市立大学医学部)
  • 大崎 往夫(大阪赤十字病院)
  • 山田 晃正(大阪府立成人病センター)
  • 山中 若樹(明和病院)
  • 斎藤 明子(東京女子医科大学消化器センター)
  • 上本 伸二(京都大学医学部)
  • 小池 和彦(東京大学医学部附属病院)
  • 長谷川 潔(東京大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
25,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
初発典型的肝細胞癌患者を対象とし,肝切除とRFAの初回治療としての有効性を評価する。
研究方法
SURF-RCTと肝切除とRFAの有効性を比較する観前向きコホート研究(SURF-cohort)から構成される。cohortはRCTの付随研究として,RCTの対象だが同意が得られなかった患者を対象とする。
対象:
1) 腹部ダイナミックCTにて典型的な肝細胞癌の造影所見を示し,かつ最大径3cm以内,3個以内と診断された患者
2) 画像上明らかな肝外病変や脈管侵襲(門脈・胆管・肝静脈内の腫瘍栓)を伴わない患者
3) 肝機能がChild-Pugh score 7点以下に分類される患者
4) 当該施設で肝切除とRFAがともに治癒的に施行可能と判断された患者
5) 登録日の年齢が20歳以上,80歳未満である患者
RCTでは、文章による同意を得られた症例を無作為に2群(手術群、RFA群)に割付け、割付に従った初回治療後、同一の方法(採血、造影CTなど)にて最低5年間経過観察を行う。割付けには1)年齢(20-59歳or60‐79歳)、2)HCV感染の有無、3)腫瘍径(2cm未満or以上)、4)腫瘍数(単発or複数)、5)施設の5つを前層別因子とした最小化法を用いる。症例数は計600例、登録期間は3年間。
主評価項目は全生存と無再発生存とする。患者の割付け、データ収集、監査は、NPO日本臨床研究支援ユニットに一任している。登録症例数が目標症例数に達した3年後に、独立データモニタリング委員会にて無再発生存率につき最終解析を行い、結果を公表。同時期に生存率について中間解析を行い有意差があれば公表する。生存率に有意差がなければ登録終了後5年で生存率につき最終解析を行い、結果を公表する。
結果と考察
平成22年3月21日の時点での登録数はRCT 26例、コホート106例。啓蒙活動や宣伝活動を介し、迅速な目標の達成を目指したい。
結論
研究結果は肝癌診療ガイドラインに反映させることにより、がん治療の均てん化が期待される。また癌の再発率という観点より、長期的に再発率の低い治療が標準治療として選択されるようになることは、医療費の抑制に貢献する可能性をもつ。
肝癌診療で世界をリードするわが国から発信されたエビデンスレベルの高い研究結果は、世界の肝癌診療に大きな影響を与えると考えられ、こうした研究は肝癌患者の多いアジア地域の国に課された使命でもある。

公開日・更新日

公開日
2010-07-05
更新日
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