進行卵巣:腹膜癌に対する腹腔内化学療法確立のための研究

文献情報

文献番号
200925066A
報告書区分
総括
研究課題名
進行卵巣:腹膜癌に対する腹腔内化学療法確立のための研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-014
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 恵一(埼玉医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 正弘(北里大学 薬学部)
  • 杉山 徹(岩手医科大学 医学部)
  • 紀川 純三(鳥取大学 医学部)
  • 吉川 裕之(筑波大学 医学部)
  • 青木 大輔(慶應義塾大学 医学部)
  • 勝俣 範之(国立がん研究センター中央病院)
  • 鈴木 光明(自治医科大学 医学部)
  • 青谷 恵利子(北里大学 臨床薬理研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 癌性腹膜炎を伴った卵巣癌・腹膜原発癌・卵管癌に対して、現在標準治療法である静注パクリタキセル+カルボプラチンの併用療法と比べて、カルボを腹腔内投与することによって予後を改善できるかどうかを高度医療評価制度の下で検討する。
研究方法
 本試験は、多施設共同ランダム化第II/III相比較試験として遂行することとなった。
対象症例
手術進行期II期~IV期と診断された上皮性卵巣癌、原発性腹膜癌、卵管癌患者。
標準治療群:
パクリタキセル: 80mg/m2
 点滴静注 Day1, 8, 15
  カルボプラチン: AUC=6.0  点滴静注 Day1
試験治療群:
パクリタキセル: 80mg/m2
 点滴静注 Day1, 8, 15
  カルボプラチン: AUC=6.0  腹腔内投与 Day1
有効性及び安全性の評価
主評価項目: PFS
副次評価項目: OS、奏効率、QOL調査、医療経済評価
 北里大学臨床薬理研究所臨床試験コーディネーティング部門にデータセンターを置き、独立したデータ管理と統計解析をおこなう。
結果と考察
 2009年7月8日に第1回班会議を開催し予定症例数は746例に決定された。本研究では、カルボプラチンの腹腔内投与とパクリタキセルの毎週投与が保険承認を得ていないため、高度医療評価制度下で行うこととした。
 薬剤提供については、ブリストルマイヤーズ、日本化薬、サンド製薬、沢井製薬の4社より無償提供が可能となった。
 平成21年12月28日に高度医療評価制度への正式申請を行い、平成22年1月29日に開催された、高度医療評価委員会において承認された。現在、次段階である先進医療専門家会議での承認を待つのみとなっている。
 
 保険診療が認められていない薬剤あるいは投与経路を用いて医師主導臨床試験あるいは自主研究を合法的に行う唯一の方法は、高度医療評価制度を用いることである。本試験では、ジェネリック薬品会社からも薬剤無償提供されたことは、製薬メーカーの社会貢献という見地から意義深い。
結論
 保険未承認の新規治療法開発を行う目的で、高度医療評価制度の下で、大規模ランダム化比較試験を遂行するための方法論を構築した。実際に運用し問題点を整理したい。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
-