がん患者に対する緩和ケアの提供体制を踏まえた在宅療養への移行に関するバリアの分析とその解決策に関する研究

文献情報

文献番号
200925059A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者に対する緩和ケアの提供体制を踏まえた在宅療養への移行に関するバリアの分析とその解決策に関する研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-007
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 敏(千葉県がんセンター 緩和医療科)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 寛也(国立がんセンター東病院 緩和ケア病棟)
  • 沖田 伸也(クリニックあしたば)
  • 柴田 岳三(日鋼記念病院緩和ケア病棟)
  • 木村 秀幸(岡山済生会病院 副院長)
  • 大木 信子(国保匝瑳市民病院 看護部長)
  • 藤田 敦子(NPO千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア)
  • 河野 秀一(渋谷区医師会・ひがし健康プラザ地域包括支援センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
課題の「バリア」を、以下の3点と規定し、解決に向けて研究を開始した。
3点とは、がん治療遂行途上からの緩和医療学的介入の未熟性、在宅緩和ケア遂行の困難性、そして、在宅緩和ケアの優位性に関しての一般市民への啓蒙不足、とした。
研究方法
各分担研究者による分担研究の形で研究が遂行された。
結果と考察
がん治療遂行途上からの緩和医療学的介入に関して、千葉県がんセンターにおいては、治療病棟入院事例に対する緩和ケア支援チーム介入態勢、および、通院によるがん治療遂行中の症例に対する緩和医療科外来と治療担当科との併診態勢、がすでに確立しているが、さらに、患者側の様々な苦悩をスクリーニングしまたトリアージする機能を持った看護外来や、在宅支援部門も包含した「サポーティブケアセンター」を本年(平成21年)4月から稼働させた。
次に、在宅緩和ケアの易遂行性の追求に関しては、すでに全県的に「在宅医懇話会」が組織化され、より専門的な在宅緩和ケアが提供される態勢に進化しつつあるが、加えて、在宅緩和ケア関与事例の経験の少ない診療所医師へのサポートとして、連携パス作成を含めた体制造りを企図した取組を遂行中である。
一般市民への啓蒙については、公開講座の定期的開催が定着した。また、相談窓口としての「在宅緩和ケア支援センター」を千葉県がんセンター内に併置する計画が進行した。
結論
千葉市およびその周辺地域においては、緩和医療期患者の在宅移行のシステムは順調に進化していると判断される。今後は、県内の各拠点病院を中心とした地域的システムの構築に千葉市モデルを普遍化できるよう活動を継続する。具体的研究として、在宅緩和ケアに関する地域連携パスの開発・整備を進める。
また、相談窓口として発足した「在宅緩和ケア支援センター」を院内のサポーティブケアセンターと連動させ、そこに本研究の成果を反映させて総合的統括的サポート機能が具備される方向を目指していく予定である。この相談窓口と個々の在宅関連施設(診療所、訪問看護ステーションなど)との情報交換ツールの開発・整備もあらたな事業として研究を進める。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
-