文献情報
文献番号
202227026A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症を踏まえたデュアルユース性が懸念される公衆衛生研究の国際動向及び倫理規範・監督体制確立のための研究
課題番号
21LA2006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
三成 寿作(京都大学 iPS細胞研究所)
研究分担者(所属機関)
- 木賀 大介(早稲田大学 先進理工学部)
- 花木 賢一(国立感染症研究所 安全実験管理部)
- 河原 直人(九州大学病院 ARO次世代医療センター)
- 川本 思心(北海道大学 大学院理学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
10,199,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
新型コロナウイルス感染症に関する動向を踏まえつつ、倫理的・規範的・制度的観点からゲノム関連技術のデュアルユース性の取り扱いに資するガバナンスのあり方を検討・提示する。具体的には、（１）国内外の動向調査、（２）政策提言、（３）専門的人材の拡充とネットワーク形成、（４）多様な人々への情報発信という４つのミッションを実施する。
研究方法
研究代表者及び研究分担者等が、連携体制を構築しつつ役割分担を図りながら上記４つのミッションのうち、（１）国内外の動向調査、（３）専門的人材の拡充とネットワーク形成、（４）多様な人々への情報発信について重点的に推進した。（１）、（３）については、効率的に研究を推進するため、定期的な研究報告会や外部有識者を招聘したウェビナーの企画・開催を活用した。（４）については、本研究課題に関する資料・文献、ウェブサイト等について調査・整理を継続するとともに、得られた知見の共有手段として独自のウェブサイトの構築を進めた。
結果と考察
初年度にはマクロな視点に注力したが、二年度目においてミクロな視点についても重点的に取り組んだことにより、初年度とは異なる主要論点を特定できた。資料・文献調査では、国際的規律の各国における咀嚼や解釈、調整を図る上での専門家・関係者、組織体制、制度を拡充する必要性を再確認した。学術論文の作成・公表や専門委員会のパブリックコメントへの意見書の作成・提出では、欧米等の取り組みに対して日本の文脈に基づく主張や意見を伝達する貴重な機会を創出できたことから、このような取り組みを継続して行っていくことの重要性を確認した。ウェビナーでは、どのような主体がデュアルユース性のある研究やその応用に関して事前警戒的な対応を社会に要求できるのか、また将来性を含めた形でリスクとベネフィットとの比較衡量のあり方を提示できるのか、といった論点が浮き彫りになったほか、「高い毒性を有するウイルスの弱毒化研究のあり方」や「研究領域というマクロな階層から具体的な個別研究といったミクロな階層を通貫するデュアルユース観の醸成」、「デュアルユース性に関する教育体制や検討組織の拡充」等に取り組む必要性を認識した。学会や研究会等での成果報告では、本領域における関心層の拡充とともに、多様な参加者からのフィードバックを受ける機会の創出に取り組むことができた。COVID-19に関する特殊性と、感染症に関する一般的なデュアルユース性との調整の仕方は、重要な検討課題の1つと位置づけるに至った。
結論
今年度は、ミクロな視点からも、本領域に係る主体や枠組みの把握、さらには主要課題の抽出と検討を進めた。同時に、本研究課題に直接的・間接的に関係する国内外の人的なネットワーク・コミュニティの形成を図った。情報発信のあり方についても、様々な方々が親しみや馴染みを持ち得るアプローチについて議論した。今後は、デュアルユース性への対応に向けた提言の作成にあたって、これまでの知見や見識を再考しつつ統合していく予定である。
公開日・更新日
公開日
2023-07-25
更新日
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