文献情報
文献番号
202227024A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機発生時における行政の効果的なリスクコミュニケーションについての研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22LA1013
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
- 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
- 和田 耕治(国際医療福祉大学 大学院医学研究科公衆衛生学専攻)
- 中里 栄介(佐賀県唐津保健福祉事務所(唐津保健所))
- 豊田 誠(高知市保健所)
- 奥田 博子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
- 竹田 飛鳥(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
5,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、2年の研究期間を通じて、1)健康危機時におけるリスクコミュニケーション(ERC)に必要な要素の明確化、2)有効性の検証がなされた効果的なERCの実施のための組織・手順に関するモデル及びツールの開発を目的とする。1年目の令和4年度は、国内外のCOVID-19対応の経験・教訓を踏まえたERCの機能・要素の整理を行い、ERCのシステム・組織、ガイダンスや標準業務手順書の作成に向けた情報収集、緊急時対応センター(EOC)におけるERCのあり方、自治体のERCの体制整備に係る実態調査の企画等を行った。
研究方法
スコーピングレビューによりEOCの組織機能としてのERCおよびRC担当者のコンピテンシーの抽出を行った。エムポックスについてRCとコミュニティエンゲージメント(CE)の実践のケーススタディを行った。COVID-19の厚生労働省アドバイザリーボードの取り組みを通じてERCに必要とされる機能・要素を整理した。保健所連携推進会議の場を活用し討論会を開催し、COVID-19対応における県と住民間、地方自治体間(県と保健所)の二つの構造を中心としたRCの課題に関する討論と改善のための要素の抽出を行った。中核市のERCの事例を分析し課題抽出を行った。自治体のERCの体制整備に係る実態調査の企画、予備調査を実施した。合同外部評価の評価報告の分析と海外の視察を通じて、行政のERCの好事例の収集を行った。
結果と考察
ERCに関する国や自治体のキャパシティの構築には、適切なシステムとともに、高いコンピテンシーを有する人材が求められることが明らかになった。また、COVID-19の対応を通じて、対住民だけでなく、国と自治体間、自治体内のRCの重要性も認識された。国においては、海外の先進的な取り組みも参考に、専門性を有するERC体制の構築を平時から推進することが望まれる。自治体では、人材育成とともに外部の専門家の関与などを通じた体制の強化が求められる。一方で、行政におけるERCの業務や行為が明確に定義されておらず、取り組みの実態は把握できていない。
結論
国内外のCOVID-19対応の経験・教訓を踏まえたERCの機能・要素の整理を多角的に実施した。ERCに関する国や自治体のキャパシティの構築には、適切なシステムとともに、高いコンピテンシーを有する人材が求められる。COVID-19の対応を通じて、対住民だけでなく、国と自治体間、自治体内のRCの重要性も認識された。国においては、海外の先進的な取り組みも参考に専門性を有するERC体制の構築を平時から推進することが望まれる。また、自治体では、人材育成とともに外部の専門家の関与などを通じた体制の強化が求められるが、一方で、ERCの業務や行為が明確に定義されておらず、取り組みの実態が把握できていない部分も多い。ERCモデルの構築に向けて、早期に実態を把握する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2024-04-01
更新日
-