自治体における災害時保健活動マニュアルの策定及び活動推進のための研究

文献情報

文献番号
202227017A
報告書区分
総括
研究課題名
自治体における災害時保健活動マニュアルの策定及び活動推進のための研究
課題番号
22LA1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 美砂子(国立大学法人千葉大学 大学院看護学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部 健康社会医学講座)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
  • 雨宮 有子(千葉県立保健医療大学 健康科学部看護学科)
  • 吉川 悦子(高橋 悦子)(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 岩瀬 靖子(本間 靖子)(千葉大学大学院看護学研究院 生活創成看護学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
豪雨水害をはじめとする甚大な自然災害が毎年のように各地で発生している。自治体において災害発生時に地域防災計画を実質化させ、被災住民の健康支援を組織的に推進するうえで、活動手順を示した災害時保健活動マニュアル(以下マニュアル)は欠かせない。地域防災計画にマニュアルの位置づけが記載されていない自治体も多く、マニュアル策定に着手していない、あるいは策定していても災害時及び平時に充分に活用されていない状況がある。マニュアルの策定及び活用推進は、災害時保健活動の主体となる自治体の対応力及び準備性を高めることに直結する。
本研究の目的は、災害時において自治体の保健活動推進を図る災害時保健活動マニュアルの策定及びその活用を災害時及び平時において推進する方法及び体制を明らかにすることである。
研究方法
研究1年目である本年度は、実態把握と好事例の検討によりマニュアル策定と活用推進の課題抽出並びにマニュアル策定や活用を実質化するモデルの考案を行うことを目標とした。6つの分担研究、すなわち1:先行知見の整理及び成果物発信の基盤整備、2:全国自治体を対象とした災害時保健活動マニュアルの策定・活用状況の実態調査、3:災害時保健活動の実際とマニュアルの比較検証、4:災害時保健活動マニュアル策定における好事例の検討、5:災害時保健活動マニュアルの活用推進における好事例の検討、6:保健師等の災害時の業務マネジメント及びメンタルヘルス等支援の検討、を実施した。
結果と考察
分担研究1~6の各結果から、災害時保健活動マニュアルの策定と活用推進の課題、並びにマニュアル策定や活用を実質化するために必要な要素と考えられることを抽出し、整理した。
1.マニュアルの策定フェーズ
1)策定における課題:防災対策における保健師の役割や関与の体制、統括保健師の位置づけ・役割、マニュアル策定に対する優先度、保健師間の交流・伝承、災害時保健活動に対する整理や周知、マニュアルの作成方法、の課題がマニュアルの策定にあたり、都道府県本庁及び県型保健所、保健所設置市、市町村に共通性の高い事項と考えられた。一方で都道府県本庁は市町村の状況や課題の把握、保健所設置市は都道府県本庁との平時からの接点、市町村は災害対応に関する情報、平時からの準備力に課題の特徴がある。
2)策定を実質化するために必要な要素:地域防災計画との関連、統括保健師の役割発揮、策定に対する基本方針(大事する考え)、策定プロセス、平時の活動や人材育成との連動、策定支援、平時からの活動の基盤づくりを考慮する必要がある。
2.マニュアルの活用フェーズ
1)活用における課題:活用の推進役割の不明確さ、活用の実質化、ニュアルの内容・形式、マニュアルの改訂、保健師の人員体制、保健師の人材育成、他部署・関係機関とのマニュアルの共有、の課題がマニュアルの活用にあたり、都道府県本庁、県型保健所、保健所設置市、市町村に共通性の高い事項と考えられた。一方市町村に特徴的な課題として、策定したマニュアルの周知や理解不足、策定後の検証不足、策定後の研修機会との連動の不足、統括保健師の孤独、他部署の理解、予算・場所がある。
2)活用を実質化するために必要な要素:活用や改訂の推進者・体制の明確化、活用機会の明確化、マニュアルの周知・共有、マニュアルを反映した研修・訓練の実施、平時からの活動の基盤づくり、検証に基づくマニュアルの見直しと反映、活用に対する支援の確保、平時の保健活動との連動、保健師の人材育成との連動、訓練の体系化と効果の検証を考慮する必要がある。
以上の整理を基に、策定フェーズ、活用フェーズのそれぞれにおける課題及び策定・活用を実質化するために必要な要素を構造的にモデル図として示した。
結論
災害時保健活動マニュアルの策定と活用推進の課題、並びにマニュアル策定や活用を実質化するために必要な要素と考えられることを抽出し整理した。それらの整理を基に、策定フェーズ、活用フェーズのそれぞれにおける課題及び策定・活用を実質化するために必要な要素を構造的にモデル図として示した。このモデル図は、自治体の災害時保健活動マニュアルの策定及び活用を推進する方法及び体制をガイドとして示すうえでの基盤概念として活用できる。

公開日・更新日

公開日
2024-04-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202227017Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 611,916円
人件費・謝金 0円
旅費 510,286円
その他 2,724,798円
間接経費 1,153,000円
合計 5,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-01-24
更新日
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