保健所における感染症対応職員の役割機能強化のためのガイドライン及び研修プログラムの開発

文献情報

文献番号
202227014A
報告書区分
総括
研究課題名
保健所における感染症対応職員の役割機能強化のためのガイドライン及び研修プログラムの開発
課題番号
22LA1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部 健康社会医学講座)
  • 雨宮 有子(千葉県立保健医療大学 健康科学部看護学科)
  • 井口 理(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 江角 伸吾(自治医科大学 看護学部)
  • 鈴木 秀洋(日本大学 危機管理学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
4,058,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 江角 伸吾 自治医科大学看護学部(令和4年4月1日~令和4年4月30日) →宮城大学看護学群(令和4年5月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
保健所ではCOVID-19対応業務の遅れが生じ、現場指揮や受援体制の混乱等がみられた。令和3年秋の行政事業レビューでは非常時の保健所長に求められる資格要件・権限のあり方の整理・検討の必要性が指摘されている。保健所長や各職員の役割を整理するとともに、保健所体制整備に有効であった平時からの取組と課題を明らかにし、今後に備える必要がある。感染症パンデミックでは多くの人員を要し、感染症に対応できる人材育成も重要である。
本研究の目的は、保健所が新興感染症の発生時に円滑な保健活動が展開できるよう平時から取り組むべき事項を明らかにし、感染症対応職員の役割機能に関わるガイドライン及び研修プログラムを開発することである。また、非常時における保健所長の役割やリーダーシップ等のあり方についても、サポート体制を含めて検討する。
研究方法
分担1:全国の保健所長を対象に、令和4年9月中旬~10月に全国保健所長会メーリングリストから、無記名調査票を送り、WEB調査システム等を活用して回収。COVID-19対応において担った役割、役割遂行にあたって得たサポート及び課題等を調査し、非常時における保健所長の役割及びサポート体制を検討。
分担2:保健所の管理的立場の保健師及び都道府県庁・保健所設置市並びに特別区の本庁の統括的立場の保健師を対象に、令和5年2月下旬~3月に全国保健師長会メーリングリストにより分担1と同様に調査を実施。調査内容は保健所保健師へはICSを参考にCOVID-19対応における現場指揮、実働、関係機関等との調整、情報管理、広報、予算・物品管理、職員の健康管理等の主担当の有無、その職位や職種を、本庁保健師へはCOVID-19対応に関わる人員配置の状況等とした。
分担3:先行研究及び機縁法により、平時からの取組によりCOVID-19対応において有効に体制整備された保健所の事例を選定。5保健所の事務職、保健師、計14名等の協力を得て、令和4年12月~令和5年3月に保健所毎のグループインタビューを実施。
分担4:保健所設置市以外の市町村保健師を対象に、令和4年11月~12月に自己入力式WEB調査を実施し、保健師の感染症関係研修・勉強会への参加の実態とその必要性の認識を調べた。
分担5:分担研究2の調査と併せて実施。調査内容は保健所の保健師管理者へは令和4年度新規採用職員及び異動職員等への保健所における研修等とした。本庁等の統括的立場の保健師へは令和2~4年度に本庁において企画・実施したCOVID-19関連の研修、当該自治体職員のCOVID-19又は健康危機管理に関する外部研修の受講機会等とした。
結果と考察
分担1の有効回収数(率)は189(40.4%)で、県型保健所が126、市区型保健所が55、不明が8であった。保健所長が対応した多くの業務・役割について、役割分担等の主な渡し先は保健所内感染症担当専門職であり、事務職の割合が高かったのは管理業務であった。
分担2の有効回収数(率)は、保健所保健師は161(34.4%)、本庁保健師は83(52.9%)であった。分担1及び分担2に基づき、保健所における感染症対応職員の役割及び平時から取り組むべき事項を整理した。
分担3の回答数は119件、有効回答数(率)は96件(5.9%)であった。分担4と分担5に基づき、感染症対応職員を対象とした研修プログラムに必要な要素を整理した。
結論
・非常時において保健所長が役割やリーダーシップを発揮するためには、非常時における国・都道府県の感染症対策方針の明示、本庁の保健所への理解及び本庁と保健所との連携体制並びに自治体としての対応方針の統一、非常時における保健所長の役割・権限の明確化とそれらに注力できる保健所長の活動体制、非常時に保健所機能を維持・強化するための体制、管内医療機関やその他の関係機関との連携体制、保健所長の対応力を高める体制が必要である。
・.感染症対応職員の役割について、職種にかかわらず、主に課長補佐級以上の管理的立場にある職員は、保健所体制マネジメント・指揮や感染症対応業務に関わる判断・指揮等について、保健所長のサポート役割を担う。また、受援、市町村との調整、予算・物品管理、労務管理、健康管理についても一定の責任をもつ。
・複数体制で各業務の指揮、進行管理やフェーズに応じた業務体制づくりを担えるようにしつつ、職員誰もが多くの業務を担えるようにし、“その職員しかできない”業務を減らすことが、長期化する感染症パンデミックへの対応においては必要である。
・投入された保健師、保健師以外の技術系職員、事務系職員はあらゆる業務を依頼される可能性があるが、技術系職員の主な役割は、疫学調査等の対人業務、事務系職員は感染症担当事務系職員の業務の補佐・サポートである。人材が不足する場合には対人業務を担う役割も期待される。

公開日・更新日

公開日
2024-04-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-03-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202227014Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
4,994,693円
差引額 [(1)-(2)]
5,307円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,964,170円
人件費・謝金 915,369円
旅費 168,538円
その他 1,004,616円
間接経費 942,000円
合計 4,994,693円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-02-19
更新日
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