治癒切除不能進行胃癌に対する減量手術の意義に関する研究

文献情報

文献番号
200925042A
報告書区分
総括
研究課題名
治癒切除不能進行胃癌に対する減量手術の意義に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-011
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
辻仲 利政(国立病院機構 大阪医療センター がんセンター 外科)
研究分担者(所属機関)
  • 塩崎 均(近畿大学医学部 上部消化管外科)
  • 山上 裕機(和歌山県立医科大学 第二外科)
  • 栗田 啓(国立病院機構 四国がんセンター 上部消化管外科)
  • 寺島 雅典(静岡県立 静岡がんセンター 胃外科)
  • 宮代 勲(大阪府立成人病センター 消化器外科)
  • 河内 保之(新潟県厚生連長岡中央綜合病院 外科)
  • 土岐 祐一郎(大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科)
  • 柿原 直樹(京都第二赤十字病院 外科)
  • 辻本 広紀(防衛医科大学校 第一外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
治癒切除不能な進行胃がんに対して、化学療法を行うか、減量的胃切除を行うべきか、最も科学的に信頼できるランダム化比較第3相試験により検証する必要がある。
研究方法
JCOGプロトコール(JCOG0705)に従って研究は行われる。
組織学的に胃癌と証明され、あらかじめ定められた適格基準をすべて満たしす患者を登録適格患者とする。化学療法単独群(A群)では登録後14日以内にS-1+CDDPによる化学療法、減量手術群(B群)では登録後21日以内にプロトコール治療を減量手術およびS-1+CDDPによる術後化学療法を開始する。本試験の主要評価項目は生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間および有害事象発生割合とした。本試験のA群における2年生存割合は20から25%程度と予想し、B群においてはA群に対して2年生存割合で10%の上乗せ効果を期待、アルファ=0.05(片側)、検出力80%、登録機関4年、追跡期間2年とし、必要症例数は両群合計330名とした。
結果と考察
平成19年12月JCOGプロトコール審査委員会での承認が得られ、平成20年1月キックオフ会議を行い、その後各施設のIRBの承認を得て試験を開始した。平成22年3月における日本での登録症例数は43症例である。韓国では、現在15施設においてIRBの承認が得られ、平成22年3月おける登録症例数は24症例である。本年度、両国から定期モニタリングレポートが提出され、相互検討を行い、研究の同質性を担保している。両国において、適格症例数、同意および不同意数、研究説明の施行数をサーベラインスして動機付けを高めている。適格例に対する研究説明施行率を上げること、未登録施設からの登録を積極的に促すことを同意した。減量手術群の優越性が示された場合には、現在の標準治療である化学療法単独治療に延命効果で優れる新しい標準治療が確立されることになる。減量手術群の優越性が示されなかったとしても、これまで十分なエビデンスがないまま広く行われていた減量的胃切除に歯止めをかけ、化学療法単独治療が標準治療であることが立証される。進行胃がんに対する治療開発が、日韓国際共同研究として行われていることは、大きな国際的インパクトがある。
結論
国際共同研究の基盤が固まり、症例集積が両国で開始された。対象症例が限られているため、研究の遅れはあるが着実に集積が進んでおり、最終結果が得られる可能性が高い。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-