進展型小細胞肺がんに対する予防的全脳照射のランダム化比較第Ⅲ相試験

文献情報

文献番号
200925041A
報告書区分
総括
研究課題名
進展型小細胞肺がんに対する予防的全脳照射のランダム化比較第Ⅲ相試験
課題番号
H20-がん臨床・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
山本 信之(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 関根 郁夫(国立がんセンター中央病院 特殊病棟部 肺内科)
  • 瀬戸 貴司(国立病院機構九州がんセンター 呼吸器科)
  • 西尾 誠人(癌研究会有明病院 呼吸器内科)
  • 武田 晃司(大阪市立総合医療センター 臨床腫瘍科)
  • 後藤 功一(国立がんセンター東病院 通院治療部)
  • 阿部 徹哉(新潟県立がんセンター新潟病院 内科)
  • 岡本 勇(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門)
  • 山中 竹春(国立病院機構九州がんセンター 臨床研究部腫瘍統計学研究室)
  • 岡本 浩明(横浜市立市民病院 呼吸器内科)
  • 高橋 利明(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)
  • 樋田 豊明(愛知県がんセンター中央病院 呼吸器内科)
  • 井上 彰(東北大学病院)
  • 吉岡 弘鎮(財団法人倉敷中央病院 呼吸器内科)
  • 里内 美弥子(兵庫県立がんセンター 呼吸器内科)
  • 木浦 勝行(国立大学法人岡山大学 医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
進展型SCLCに対するPCIの有用性については欧州から2007年にNew Engl J Med (357:664-672) に報告されたが,脳画像検査の追跡方法や治療方法が我が国の日常診療と大きく異なりこのエビデンスを我が国の日常診療にそのまま導入することは危険である.そこでわが国の日常臨床に則して,プラチナ併用初回化学療法に奏効した脳転移のない進展型SCLC症例に対するPCI療法が非PCI療法に対して優れていることをランダム化比較にて検証することを目的とした.
研究方法
本試験の主要エンドポイントは[全生存期間]副次エンドポイントは[脳転移発生率][無増悪生存期間][有害事象]とする.
下記条件を満たす症例を対象とする.
1.小細胞肺癌に矛盾しない病理所見が得られている
2.進展型小細胞肺癌と診断されている
3.2コース以上のプラチナ併用初回化学療法に対して腫瘍縮小がみられた症例
4.登録前4週以内の脳MRI検査で脳転移が認められない
5.登録前4週以内の胸腹部CT検査で腫瘍に増大傾向が認められない
6.登録時年齢が20歳以上
7.登録時PS(ECOG)が0-2
8.初回化学療法最終コース開始日から登録までが6週以内
9.PCIの照射野と重なる部位への放射線治療の既往がない
10.試験参加について患者本人から文書で同意が得られている
治療(PCI療法)は初回化学療法最終コース開始日から3?8週以内に以下の方法でPCIを行う.1回2.5Gy,1日1回,週5日,計10回,総線量25Gy,総治療期間12日間,許容総治療期間28日間 予定症例数は各群165例,両群計330例とする.
結果と考察
試験参加施設は各地域の肺がん診療の基幹病院53施設と全国に広がっており,2010年5月12日時点の総登録数は51例でPCI施行群に登録されたのは26例である.
本試験により得られたエビデンスは試験参加施設での医療のみならず,試験参加施設が存在する各地域全体での医療へ活かされるものと思われる.また本試験以外でも試験参加施設のネットワークが活用される場面は多く,全国的に質の高いがん医療水準の均てん化を強力に推進することにつながると考えられる
結論
症例集積を今後とも進めていく.

公開日・更新日

公開日
2010-06-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
-