化審法における発がん性定量評価を見据えた新たな遺伝毒性評価技術構築のための基盤研究

文献情報

文献番号
202226019A
報告書区分
総括
研究課題名
化審法における発がん性定量評価を見据えた新たな遺伝毒性評価技術構築のための基盤研究
課題番号
22KD2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 圭一(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 変異遺伝部)
研究分担者(所属機関)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
  • 増村 健一(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
  • 井上 薫(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
  • 安井 学(国立医薬品食品衛生研究所変異遺伝部)
  • 堀端 克良(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター変異遺伝部)
  • 石井 雄二(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
33,236,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、遺伝毒性を有する化学物質の発がん性の定量的評価に応用可能な遺伝毒性評価法の開発を目指す。具体的には、in vivo遺伝毒性試験結果からのPOD(Point of Departure)の設定が可能か検証を行なう。この研究課題に対してはデータの堅牢性を高める観点での新規のin vivo遺伝毒性試験の実施のみならず、遺伝毒性と発がん性の連関を認める新規バイオマーカーの探索も想定している。また、将来的に動物実験の実施が困難となる可能性も見据え、in vitro遺伝毒性試験から発がん性の定量的予測が可能か検証するための多面的な解析も進める。また、Ames/QSARを含むin silico評価手法の化審法でのより一層の有効活用を目指すべく、ガイダンス作成の基盤となる調査・研究を実施する。
研究方法
化審法でのin silico評価手法の具体的な活用法を提案するために、有害性評価におけるin silico評価手法の国内外での活用状況等を調査した。また、人健康に関する有害性評価に有用と考えられる毒性データベースの調査、in silico評価の最新手法や枠組み等に関する文献調査を実施し、調査内容を踏まえ、化審法での人健康影響評価において活用可能な方法及び場面について検討した。既存の発がん性の定量的データとの比較が可能となる定量的なin vivo遺伝毒性試験データのとしてin vivo小核試験とトランジェニック遺伝毒性試験を文献検索により収集し、TD50値との相関性を解析した。TGR試験と発がん性の相関性を検討するため、肝発がん物質のTGR試験データを用いて、突然変異体頻度の用量反応データからベンチマークドーズ(BMD)法により変異原性PODを算出した。プロテオミクスや濃縮分析等の方法は、比較的簡単にできるプロトコールを採用した。ChIPをベースとした遺伝毒性活性検出法の最適化を行った。肝臓小核誘発物質であるAA、N-nitrosopropylamine(NNP)又はquinolineをそれぞれ投与した雄性F344ラットの肝臓について、肝臓小核試験及びcDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を実施し、3剤に共通して発現する遺伝子を抽出した。また、AA誘発肝腫瘍における融合遺伝子解析、主要がん遺伝子のコピー数変異解析を実施した。コピー数増加がみられたがん遺伝子ついて免疫組織化学染色法によるタンパクの検出と遺伝子の挿入部位解析を行った。
結果と考察
Read acrossやグルーピングが化審法で評価する毒性項目に適用できると考えられることを示した。既存のin vivo遺伝毒性試験データとしてin vivo小核試験の小核誘発率及びトランジェニック遺伝毒性試験の突然変異頻度(MF)とTD50値との各々の相関性の解析の試行結果、概ね良好な相関性が得られた。トランスジェニック動物遺伝子突然変異試験(TGR試験)の用量反応データを用いて変異原性のpoint of departure (POD)を算出して解析した結果、肝臓における変異原性POD(BMDL50)と発がん性POD(TD50またはBMDL10)が概ね正の相関性を示すことなどを示した。ヒトリンパ芽球細胞TK6株から一度のプロテオミクス解析で安定して6000タンパク質数程度の同定と定量ができるプロトコールを確立した上で予備実験を実施した結果、既知のH2O2の遺伝毒性スキームどおりに、塩基除去修復などの生物活動を検出できることなどを示した。組織標本を用いた遺伝毒性反応検出の技術基盤整備として、高濃度ホルムアルデヒド固定化細胞へのクロマチン免疫沈降法(ChIP)の適用性を検証した結果、高濃度ホルムアルデヒド固定化におけるリンカーDNA切断の超音波処理条件を明らかにした。肝臓小核誘発物質3剤をそれぞれ投与したラット肝臓での網羅的遺伝子発現解析から、3剤に共通して発現増加する遺伝子34個を明らかにした。また、染色体不安定性による化学発がん機序として、acetamide(AA)誘発肝腫瘍における原因遺伝子の探索を行い、Mycのコピー数増加がAAの肝腫瘍誘発過程における重要のイベントであることを明らかにした。
結論
化審法での毒性評価にread across、グルーピングまた変異原性のPODが活用できる可能性を見出した。定量的な遺伝毒性試験データと発がん性の定量データの安定した相関性が見出せれば、一定程度の不確実係数などを適用して、発がん性試験の利用できない化学物質の発がん性の強さを評価できる指標の設定が見込める。また、プロテオミクス解析、固定化細胞へのChIP技術の適用に関しても検証を開始した。染色体不安定性の観点からの発がん機序についても解析を進めた。

公開日・更新日

公開日
2023-07-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202226019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
33,236,000円
(2)補助金確定額
33,236,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 20,743,604円
人件費・謝金 1,003,541円
旅費 2,994,843円
その他 8,494,012円
間接経費 0円
合計 33,236,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-02-14
更新日
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