受診率向上につながるがん検診の在り方や、普及啓発の方法の開発等に関する研究

文献情報

文献番号
200925035A
報告書区分
総括
研究課題名
受診率向上につながるがん検診の在り方や、普及啓発の方法の開発等に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 大助((財)宮城県対がん協会 がん検診センター)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 博(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
  • 栗山 進一(東北大学大学院医学系研究科)
  • 平井 啓(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター)
  • 小澤 信義(独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
17,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 がん検診の受診率対策として、検診提供者への情報発信や教育・啓発を行う体制の整備や、受診率のモニタリング方法と科学的根拠に基づく系統的な受診率向上の方策を明らかにする。
研究方法
 ①女子大学生に対する啓発講義を行い、講義前・後のアンケート調査の分析を行った。②諸外国の研究や受診勧奨マニュアルを参考に、わが国におけるかかりつけ医による受診勧奨の方法について検討した。③インターネット調査会社の登録モニターを対象に、webアンケート形式の質問紙を用い、がん検診受診の行動変容に関する調査を行った。④モデル地域を用いて大腸がん検診に関するコール・リコールシステムの効果を検討した。⑤杉並区乳がん検診で、個別受診勧奨とソーシャルマーケティングの手法で開発したテーラーメイドの受診勧奨メッセージの有用性を検討した。⑥街頭調査と各種がん検診受診率調査票を参考に受診率調査票を作成し、仙台市のがん検診受診状況調査を行った。妥当性評価のために電話による聞き取りと街頭調査を行った。
結果と考察
 女子大学生に対する啓発講義によって子宮がん検診を受ける計画意図を持つ割合が増加するが、検診を受けるための具体的な知識が無いために実行意図の形成には繋がらない。
 かかりつけ医のためのがん検診ハンドブックを作成したが、有効に活用されるためには、科学的根拠に基づいたがん検診を全ての医師が理解する必要がある。
 職場における調査では受診の阻害要因が社会経済的状況にある可能性が示唆された。
 大腸がん検診では電話や手紙による個人宛の勧奨・未受診者への再勧奨が受診率向上に有効である。
 乳がん検診未受診者に対して、個別受診勧奨とソーシャルマーケティング・ヘルスコミュニケ-ションの手法で開発した受診勧奨メッセージが有効である。
 対策型・任意型検診、住民・職域検診を別個に集計できる調査票を開発した。年代によって検診区分に明らかな差が認められ、受診率向上策に関して年代によって異なったアプローチが必要で、住民検診対策だけでは不十分であり、職域検診・任意型検診をも含めた対策が必要である。
結論
 がん検診の受診率向上のためには、個別受診勧奨・再勧奨、テーラーメイドの受診勧奨メッセージは有効である。対策型・任意型検診、住民・職域検診を別個に集計できる調査票を開発した。受診率向上策に関しては年代によって異なったアプローチが必要で、住民検診対策だけでは不十分であり、職域検診・任意型検診をも含めた対策が必要である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-