神経芽腫におけるリスク分類にもとづく標準的治療の確立と均てん化および新規診断・治療法の開発研究

文献情報

文献番号
200925031A
報告書区分
総括
研究課題名
神経芽腫におけるリスク分類にもとづく標準的治療の確立と均てん化および新規診断・治療法の開発研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-031
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
池田 均(獨協医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中川原 章(千葉県立がんセンター)
  • 金子 道夫(筑波大学 医学部)
  • 麦島 秀雄(日本大学 医学部)
  • 正木 英一(国立成育医療センター)
  • 林 泰秀(群馬県立小児医療センター)
  • 藤本 純一郎(国立成育医療センター 研究所)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター)
  • 河野 嘉文(鹿児島大学 医学部)
  • 菊田 敦(福島県立医科大学 臨床腫瘍センター)
  • 熊谷 昌明(国立成育医療センター )
  • 瀧本 哲也(国立成育医療センター 研究所)
  • 菊地 陽(東京大学 医学部)
  • 小川 淳(新潟県立がんセンター)
  • 松本 公一(名古屋第一赤十字病院 小児医療センター)
  • 田尻 達郎(九州大学 医学部)
  • 七野 浩之(日本大学 医学部)
  • 家原 知子(京都府立医科大学 医学部)
  • 高橋 秀人(筑波大学 医学部)
  • 牧本 敦(国立がんセンター)
  • 菱木 知郎(千葉大学 医学部)
  • 大喜多 肇(国立成育医療センター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
31,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.高リスク群臨床試験の継続、特に新たな遅延局所療法試験開始の検討
2.低・中間リスク群臨床研究(臨床試験)の開始
3.新規リスク診断の検討
4.小児がん医療体制の整備
5.小児がん臨床試験・QOL評価法の検討
研究方法
1.「標準的治療の臨床試験」を継続する。「遅延局所療法の相臨床試験」は症例登録を停止したが、治療の継続と追跡調査を実施する。
2.画像判定法(image defined risk factor, IDRF)を組み入れた治療プロトコールを完成し、症例登録を開始する。
3.新規リスク診断の開発と基礎研究では、マイクロアレイなど生物学的マーカーによるリスク診断の有用性を検討する。ALK遺伝子の臨床的有用性に関するプロジェクトを開始する。
4.アンケート調査から小児がん医療の集約、高度専門化、均てん化に関するコンセンサス形成を図る。
5.稀少小児がんのグループ研究の効率的な臨床試験の疫学的方法論を確立する。
結果と考察
 「標準的治療の臨床試験」は登録症例50例をもって症例登録を終了した。現在、追跡中である。「遅延局所療法の臨床試験」では最終登録例の観察期間を終了し、データ収集と解析作業をすすめている。他方、次期の高リスク試験、低・中間リスクの研究(試験)を準備した。基礎的研究ではアレイCGHを用いたリスク分類の有用性について後方視的検証を行い、ALK遺伝子異常の解析を行った。小児がん医療体制については、施設要件の充足した一部の施設が比較的多数の診療を行い、このような施設は都市部に偏在することを明らかした。また必要病床数の試算を行い、20歳未満人口10万人あたりの病床数を8床と算出した。希少小児がんの臨床試験における疫学的方法論についても検討を行い、新たな臨床試験、臨床研究の研究計画書の作成に関与した。
結論
日本神経芽腫研究グループ(JNBSG)によるリスク別標準治療の確立と新規治療法の開発研究、新たなリスク診断の開発研究等が進められてきた。これらの研究により効果的かつ安全な標準治療が確立し、特に難治の高リスクや再発例に対する新たな治療技術が開発されれば、神経芽腫患者の予後とQOLの改善に大きく貢献する。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200925031B
報告書区分
総合
研究課題名
神経芽腫におけるリスク分類にもとづく標準的治療の確立と均てん化および新規診断・治療法の開発研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-031
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
池田 均(獨協医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中川原 章(千葉県がんセンター)
  • 林 富(東北大学 医学部)
  • 金子 道夫(筑波大学 医学部)
  • 麦島 秀雄(日本大学 医学部)
  • 正木 英一(国立成育医療センター)
  • 林 泰秀(群馬県立小児医療センター)
  • 藤本 純一郎(国立成育医療センター 研究所)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター)
  • 河野 嘉文(鹿児島大学 医学部)
  • 菊田 敦(福島県立医科大学 医学部)
  • 熊谷 昌明(国立成育医療センター)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療センター 研究所)
  • 菊地 陽(東京大学 医学部)
  • 小川 淳(新潟県立がんセンター)
  • 松本 公一(名古屋第一赤十字病院 小児医療センター)
  • 田尻 達郎(九州大学 医学部)
  • 七野 浩之(日本大学 医学部)
  • 家原 知子(京都府立医科大学 医学部)
  • 高橋 秀人(筑波大学 医学部)
  • 牧本 敦(国立がんセンター 中央病院)
  • 菱木 知郎(千葉大学 医学部)
  • 大喜多 肇(国立成育医療センター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.日本神経芽腫研究グループ(JNBSG)の整備と機能の充実
2.リスク別標準治療の確立
3.トランスレーショナル・リサーチの推進と革新的診断・治療の開発研究
4.小児がん医療と研究体制の整備、小児がん医療の集約化、高度専門化、均てん化の検討
5.希少小児がんを対象とした臨床試験の方法論の確立
研究方法
1.標準治療の確立と新規治療の開発研究を実施し得る研究グループ体制を整備する。
2.高リスク臨床試験として「標準治療の臨床試験」と、新規治療戦略の試みとして「遅延局所療法の臨床試験」を実施する。また高リスクに対する造血幹細胞移植の前処置法、再発例の新規治療法を検討する。
3.低・中間リスクの臨床研究(臨床試験)として、外科的合併症を回避するための画像判定法(image defined risk factor, IDRF)を組み入れた治療プロトコールを作成し、試験を開始する。
4.患者由来検体の中央病理診断と分子生物学的解析を行い、新規リスク診断の開発・評価を行う。
5.小児がん医療の集約化、高度専門化、全国的均てん化に関しアンケート調査を行い、その必要性、実現可能性等を検討する。
6.希少小児がんの臨床試験と方法論を確立する。
結果と考察
「高リスク標準治療の臨床試験」は登録症例50例をもって症例登録を終了した。現在、追跡中である。「遅延局所療法の臨床試験」は、症例登録を中止したが、安全性に問題ないと判断した。登録例の観察を終了し、データ収集と解析を行っている。また、遅延局所療法の次期試験を準備した。
低・中間リスクではIDRFを組み入れた臨床研究(試験)を準備した。基礎研究ではアレイCGHによる新規リスク分類の有用性を後方視的に検証し、ALK遺伝子異常について解析した。小児がん医療については、実状把握と体制整備の資料とすべく、アンケート調査を実施し、施設要件の充実した施設に症例が集中する傾向とそのような施設は都市部に偏在することを明らかにした。小児がんの必要病床数の試算を行い、20歳未満人口10万人あたり8床と算出した。希少小児がんを対象とする臨床試験における疫学的方法論を検討し、新たな臨床試験、臨床研究の立案から研究計画書の作成に関与した。
結論
JNBSGによるリスク別標準治療の確立と新規治療法の開発研究、新規リスク診断の開発研究等を進めた。本研究により効果的かつ安全な標準治療が確立し、特に難治の高リスクや再発例に対する新たな治療技術が開発されれば、神経芽腫患者の予後とQOLの改善に大きく貢献するものである。
また、標準治療の実施、高度専門化には医療集約が必須である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200925031C

成果

専門的・学術的観点からの成果
高リスク神経芽腫を対象とする「標準的治療の臨床試験」により、従来治療の問題点を修正し、今後の試験の比較対照成績とすることを目的に試験を実施した。症例登録を完了し、追跡を行っている。「遅延局所療法の臨床試験」では、化学療法終了後に局所治療を行うわが国独自の戦略を試みた。
臨床的観点からの成果
日本神経芽腫研究グループ(JNBSG)を研究基盤とし、全神経芽腫の症例登録、中央診断、検体保存・利用のシステムを確立した。また新規リスク診断などの基礎研究とともに高リスク群を対象とする臨床試験を実施し、重要な知見を得た。
ガイドライン等の開発
小児がん医療の集約化、高度専門化、均てん化等について実施したアンケート調査結果を集計し、アンケート調査協力施設へ配布した。これは小児がん医療体制の整備に際し、重要な資料となるものである。
その他行政的観点からの成果
小児がん医療体制についてアンケート調査を実施し、注目すべき結果を得た。すなわちわが国の小児がん症例の約半数は、すでに小児がん治療施設としての施設要件の比較的整った小児病院等の一部の施設で治療されており、小児がん医療の集約化は実態としてすでに始まりつつあることが示唆された。また施設要件の充足度の高い施設が都市部を中心に存在することが明らかになる一方、そのような施設のない地域もあり、希少な小児がんの治療、研究体制をどのように形成していくかについてはさらなる検討が必要と考えられた。
その他のインパクト
平成19年度、20年度、21年度において研究成果発表会(一般向け)を開催し、広く国民に研究内容と結果を開示し、神経芽腫および小児がんの治療開発、医療体制整備等の重要性についての理解を求めた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
9件
その他論文(和文)
15件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-