医療機関における遺伝子治療用製品導入時のカルタヘナ法第一種使用規程遵守のための研究

文献情報

文献番号
202225047A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における遺伝子治療用製品導入時のカルタヘナ法第一種使用規程遵守のための研究
課題番号
22KC2010
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
小野寺 雅史(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター  遺伝子細胞治療推進センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中國 正祥(国立成育医療研究センター 臨床研究センター多施設連携部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、難治性遺伝性疾患に対する様々遺伝子治療用製品が開発され、その有効性が衆目を集めているところであるが、これら製品はこれまでに類を見ない医薬品であり、医療機関においてはその使用に関して十分な体制整備を取る必要がある。特に、同製品がウイルス由来製品の場合、カルタヘナ法の観点から上市後も拡散防止措置が執れない第一種使用となり、患者から排出されるウイルスベクターの環境影響評価に基づき各医療機関はその院内運用を定める必要がある。そこで、本研究では既に脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療治療用製品として承認されているアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター由来製品 Onasemnogene abeparvovec(ゾルゲンスマ®)の使用に関して全国実態調査を行い、その問題点を明らかにすることで今後のAAVベクター由来遺伝子治療用製品の使用に関する運用マニュアルを作成する。
研究方法
今回、既に脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療治療用製品として認可されているアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター由来製品 Onasemnogene abeparvovec(ゾルゲンスマ®)の使用に関して以下の内容で全国実態調査を実施した。詳細に関しては小野寺の分担報告書に記載した。また、当該アンケートを基に「カルタヘナ法第一種使用規程対応適正使用ガイダンス」を作成するためAAVベクターを用いた遺伝子治療を実施している医療機関7施設に連絡を取り、ワーキンググループを設置した。なお、遺伝子治療製品を扱う製薬企業に同様のアンケート調査を実施した。
結果と考察
研究結果の概要:
・ 実施40施設に対する紙面アンケート(2021年4月16〜7月31日)
・ 回答数32施設(80%)、実施施設 12施設、実施予定 20施設
・ 質問内容は、症例数、実施までの要した時間、準備内容(適格性、保管/調製、搬送、患者管理、廃棄物処理、個人防護具)、遺伝カウンセリングの有無、スタッフ教育(セミナー、資料の作成等)である。結果としては、実施に向け院内にworking groupを作る施設が多く、その内訳としては主科、薬剤部、看護部、検査部の順であり、院内に遺伝子治療に関連する委員会を設置する施設は28%と少なかった。なお、感染管理委員会や再生医療等製品WG、薬事委員会、輸血細胞療法委員会などを併用する場合も多かった。製品導入に関する問題点としては、関連部署との連携や調整、スタッフ教育、手順書・マニュアル作成が上げられ、そのうちスタッフ教育の内容としては、カルタヘナ法の関連法規制、廃棄物の不活化方法、投与後の患者ケア・入院管理、製品の取扱い(保管・調製・運搬)などが上げられた。
・ これら結果に基づきAAV由来ベクターを用いたin vivo遺伝子治療の実施体制の在り方を検討するため、主に小児神経疾患を診療する医療機関に参加を依頼し、7施設10名の小児科医が参加する「当該在り方ワーキンググループ」を立ち上げた(まとめ役:国立精神神経医療研究センターの小牧宏文先生)。
現在、2020年に作成した「カルタヘナ法第一種使用規程対応マニュアル – 治療施設における遺伝子組換え生物の適正使用について -」を今回の調査結果を基に行い、より実用性の高い使用マニュアル作成を行う予定であり、最終的には日本小児神経学会より発出する。
結論
本研究では、国内のAAVベクター使用経験のある医療機関に対し実態調査を行い、その状況を把握し、またウイルスベクターを用いた遺伝子治療製品の開発を検討する製薬企業にもアンケート調査を行い、製品導入時の医療機関での課題を明瞭化した。そして、これら結果を基に「in vivo遺伝子治療の在り方ワーキンググループ」を立ち上げ、その中で必要最小限の運用法を検討し、「カルタヘナ法第一種使用規程対応適正使用ガイダンス」を日本小児神経学会から指針として発出する予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202225047C

収支報告書

文献番号
202225047Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 48,352円
人件費・謝金 3,801,648円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 1,150,000円
合計 5,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-06-16
更新日
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