再発小児固形腫瘍に対する塩酸ノギテカンとイホスファミド併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験

文献情報

文献番号
200925025A
報告書区分
総括
研究課題名
再発小児固形腫瘍に対する塩酸ノギテカンとイホスファミド併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験
課題番号
H19-がん臨床・一般-025
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院 第二領域外来部 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 麦島 秀雄(日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野)
  • 井田 孔明(東京大学医学部附属病院 小児科)
  • 多賀 崇(滋賀医科大学 小児科)
  • 永利 義久(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 小児科)
  • 石田 裕二(静岡県立静岡がんセンター 小児科)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
  • 小川 淳(新潟県立がんセンター新潟病院 小児科)
  • 河本 博(がん感染症センター都立駒込病院 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児・若年成人期の再発・増悪固形腫瘍患者に対して、トポテカン(T)とイホスファミド(I)の併用療法の用量規制毒性(DLT)を同定、投与量の最大耐用量(MTD)を決定し、推奨用量(RD)での安全性と有効性について検討する。
研究方法
各医療機関の倫理審査委員会承認を得た臨床試験実施計画書に基づき、各医療機関で適格な症例が発生した際に順次登録手続きを行った。データセンターにて各症例の適格性が確認された後に、実施計画書に基づいて治療を遂行し、必要なデータを症例報告書に記載し、データセンターに提出した。データセンターでは、症例登録時の適格性の確認、第1コースでの用量規制毒性(DLT)の確認を迅速に行い、タイムリーに症例登録の停止、再開を指示した。また、症例報告書記載事項のレビューを行い、必要に応じた問い合わせを行うと同時に、6ヵ月に一度、全体の進捗確認と問題点把握を兼ねた中央モニタリング作業を行った。
結果と考察
登録状況は、平成22年3月31日現在、16症例が登録されている(平成21年度は12症例)。
平成22年1月28日現在で報告書が回収されている14例についての集計結果を以下に示す。
1. 疾患内訳は、神経芽腫3、横紋筋肉腫5、ユーイング肉腫1、肝芽腫1、その他骨軟部肉腫3、髄芽腫1。
2. CRM法により、個々の症例の用量設定を行いつつ症例登録を進め、第12症例以後の用量レベルは0となっている。その後、第13症例以外ではDLT相当の有害事象は報告されていないため、レベル0が推奨用量と見なされた。
3. 5症例で生じたDLTは、全て血液毒性。
4. 施行コース数中央値は4コース。
5.第1コースの安全性情報として、グレード3以上の有害事象を来した症例数を示す(評価対象は全13症例)。臨床試験の継続に影響するような重篤な有害事象は出現していない。
(1) 血液毒性
白血球11、好中球11、ヘモグロビン7、血小板9
(2) 臨床検査値
AST 2、ALT 1、GGT 1
(3) その他の有害事象
食欲不振2
グレード3-4好中球減少を伴う感染3
5. 14症例中8症例で薬物動態採血が行われIによるTの薬物代謝への影響は示唆されなかった。
結論
小児・若年成人の再発悪性固形腫瘍に対するセカンドライン治療の開発を目的とした多施設共同臨床試験を実施し、16症例を登録した。推奨用量はレベル0とされた。臨床試験の継続に影響するような重大な有害事象は出現していない。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200925025B
報告書区分
総合
研究課題名
再発小児固形腫瘍に対する塩酸ノギテカンとイホスファミド併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験
課題番号
H19-がん臨床・一般-025
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
牧本 敦(国立がんセンター中央病院 第二領域外来部 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 麦島 秀雄(日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野)
  • 井田 孔明(東京大学医学部附属病院 小児科)
  • 多賀 崇(滋賀医科大学 小児科)
  • 永利 義久(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 小児科)
  • 石田 裕二(静岡県立静岡がんセンター 小児科)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
  • 小川 淳(新潟県立がんセンター新潟病院 小児科)
  • 河本 博(がん感染症センター都立駒込病院 小児科)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療センター研究所 RI管理室)
  • 森 鉄也(国立成育医療センター 小児腫瘍科)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター 治験管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児・若年成人期の再発・増悪固形腫瘍患者に対して、トポテカン(T)とイホスファミド(I)の併用療法の用量規制毒性(DLT)を同定、投与量の最大耐用量(MTD)を決定し、推奨用量(RD)での安全性と有効性について検討する。
研究方法
平成19年度に完成した臨床試験実施計画書を、各参加医療機関の倫理審査委員会へ提出、承認を得た後に、当該医療機関からの登録を可能とした。各医療機関で適格な症例が発生した際に順次登録手続きを行った。データセンターにて各症例の適格性が確認された後に、実施計画書に基づいて治療を遂行し、必要なデータを症例報告書に記載し、データセンターに提出した。データセンターでは、症例登録時の適格性の確認、第1コースでの用量規制毒性(DLT)の確認を迅速に行い、タイムリーに症例登録の停止、再開を指示した。また、症例報告書記載事項のレビューを行い、必要に応じた問い合わせを行うと同時に、6ヵ月に一度、全体の進捗確認と問題点把握を兼ねた中央モニタリング作業を行った。
結果と考察
登録状況は、平成22年3月31日現在、16症例が登録されている(平成21年度は12症例)。
平成22年1月28日現在で報告書が回収されている14例についての集計結果を以下に示す。
1. 疾患内訳は、神経芽腫3、横紋筋肉腫5、ユーイング肉腫1、肝芽腫1、その他骨軟部肉腫3、髄芽腫1。
2. CRM法により、個々の症例の用量設定を行いつつ症例登録を進め、第12症例以後の用量レベルは0となっている。その後、第13症例以外ではDLT相当の有害事象は報告されていないため、レベル0が推奨用量と見なされた。
3. 5症例で生じたDLTは、全て血液毒性。
4. 施行コース数中央値は4コース。
5.第1コースの安全性情報として、グレード3以上の有害事象を来した症例数を示す(評価対象は全13症例)。臨床試験の継続に影響するような重篤な有害事象は出現していない。
(1) 血液毒性
白血球11、好中球11、ヘモグロビン7、血小板9
(2) 臨床検査値
AST 2、ALT 1、GGT 1
(3) その他の有害事象
食欲不振2
グレード3-4好中球減少を伴う感染3
5. 14症例中8症例で薬物動態採血が行われIによるTの薬物代謝への影響は示唆されなかった。
結論
小児・若年成人の再発悪性固形腫瘍に対するセカンドライン治療の開発を目的とした多施設共同臨床試験を実施し、16症例を登録した。推奨用量はレベル0とされた。臨床試験の継続に影響するような重大な有害事象は出現していない。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200925025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
抗悪性腫瘍薬分野の適応外使用薬剤である塩酸ノギテカンを用いた併用療法の臨床試験として、科学的・倫理的にも質が確保され、かつ、将来的な薬事承認申請を行う事も視野に入れた研究者主導型臨床試験の先駆けとして実施されたことは、今後、小児がん以外の医学分野においても応用されうる成果である。小児がんという希少疾患分野において、出来るだけ少ない症例数で結果を出すべく、臨床試験デザインとしてベイズ流のcontinual reassessment methodを用いた事も画期的である。
臨床的観点からの成果
がん種を問わず再発小児悪性固形腫瘍で長期生存できる患者は1割強と推測される。このような予後不良な疾患群に対し、有望な新規薬剤である塩酸ノギテカンを用いた臨床試験を実施することで、有望な薬剤の投与機会の提供を通じて患者ニーズを満たすことができた。本薬剤とイホスファミドの併用療法が小児がん領域で試されるのは世界初の事であり、再発小児悪性固形腫瘍のセカンドライン治療としての本併用療法の有効性が示唆された事は、将来発生する再発患者への福音でもある。
ガイドライン等の開発
現在、第II相試験部分が継続中であるため、現時点の成果はガイドラインの内容には寄与しない。
その他行政的観点からの成果
本研究成果をもって薬事承認申請を行う事を視野に入れていたため、研究開始当初から厚生労働省研究開発振興課に対し高度医療申請相談を行ってきた。第I相試験部分の結果を基に、平成22年5月に実際に高度医療申請を行う事を予定している。
その他のインパクト
平成21年2月22日(朝日新聞)、未承認薬・適応外薬の記事で、本研究班の活動が紹介された。平成22年3月15日(産経新聞)、ドラッグラグ問題関連の新聞記事の中に研究代表者のコメントが紹介された。年1回合計3回の公開シンポジウムを実施した。それぞれのテーマは「再発小児がん患者に光を~新しいお薬を届けるために~」(2007年9月24日)、「再発小児がん患者に光を~新しいお薬を届けるために~(第2回)」(2008年9月21日)、「治療開発の光と影」(2009年9月6日)。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
牧本 敦.年齢を含む多様な小児がん患者背景因子に配慮した新規薬剤導入のための臨床試験推進.第47回日本癌治療学会学術集会, 2009年10月22-24日, 横浜
学会発表(国際学会等)
1件
Kawamoto, et al. 2010 Annual Meeting, American Society of Clinical Oncology, 2010.July 4-8, Chicago
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
2007年9月24日、2008年9月21日、2009年9月6日の3回、公開シンポジウムを開催した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-