課徴金制度の導入等の医薬品等の広告規制の変化を踏まえた実態調査研究

文献情報

文献番号
202225041A
報告書区分
総括
研究課題名
課徴金制度の導入等の医薬品等の広告規制の変化を踏まえた実態調査研究
課題番号
22KC2004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 伸一(帝京平成大学)
研究分担者(所属機関)
  • 山浦 克典(慶應義塾大学 薬学部 医療薬学・社会連携センター 社会薬学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成31年4月に適用された「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(販売GL)により、医療関係者が入手しにくくなった情報のうち、真に情報提供が必要と考えられる情報について、ガイドライン策定の目的を損なうことなく、円滑に医療関係者に提供される条件を検討するため、特定機能病院及び地域医療支援病院を対象に、医薬品情報のニーズと入手に難渋・遅延する情報の詳細を調査する。さらに、医薬品医療機器等法が改正され、令和3年8月に施行された課徴金制度について、その抑止効果を評価するため、日本製薬工業協会の加盟企業に対して課徴金制度の受け止め及び対応状況等について調査する。
研究方法
病院に対する調査については、全国の特定機能病院87施設と地域医療支援病院681施設に、調査協力依頼書およびアンケート調査票を郵送し、無記名自記式質問紙調査を行った。調査期間は2022年7月25日から8月8日とした。
製薬企業に対する調査については、研究代表者が日本製薬工業協会(製薬協)事務局に調査協力依頼書及び調査票を送付し、製薬協が団体独自のWeb調査システムによる回答画面を作成して、加盟企業がWebにより回答する方式で調査を実施し、製薬協事務局が企業名の記載されていない回答データを研究代表者に送付することとした。調査期間は2023年1月25日から2月17日とした。
結果と考察
病院に対する調査については、調査票の回収率は38.8%(298/768)、有効回答率は95.0%(283/298)だった。比較情報のうち、最も問い合わせた経験が多かったものは「等価・等量の換算」で、同時にこれは最も入手しにくい情報だった。適応外使用に関する情報では、「過去の使用事例・実績」の問い合わせ経験が最も多く、「適応外使用時の安全性」は最も入手しにくい情報だった。また、「学術論文・文献」は比較情報および適応外使用のいずれにおいても入手に時間がかかる情報だった。。問い合わせ先は「MR」や「DIセンター・学術部」の利用経験が多かった一方、「MSL」や「MA」は少なかった。情報提供を断られる際の理由は「データがないため」が最も多かったが、適応外使用情報では「承認外(未承認)、適応外の情報であるため」も多く挙げられた。
製薬企業に対する調査については、課徴金制度に対して、どのように認識しているか複数選択可で質問した結果、8割以上の企業が「不適切な医薬品情報提供活動の抑止力となり、適切な医薬品情報提供活動に寄与している」と回答し、課徴金制度が不適切な医薬品情報提供活動の抑止力となっていることが分かった。
結論
販売GLの認知度と理解度は依然として低いこと、販売GLを理解しているDI担当薬剤師は必要な情報の入手達成度が高いことから、製薬企業だけでなく医療従事者においても販売GLを理解していることは重要であり、周知徹底が急務である。
本研究で得られた知見が、販売GLの円滑な運用を確保するためのQ&A策定時に活用され、製薬企業における販売GL運用の改善や、医療従事者の販売GL理解度向上によるDI業務の推進、ひいては患者の適切な治療に繋がることが期待される。
課徴金制度は、施行後の経過年数も短く、未だ適用された事例はなく、適用一例目になることは、どの製薬企業も避けたいと考えているのではないかと思われる。
今後も、製薬企業の販売情報提供活動の状況を注視していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2024-03-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-03-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202225041Z