文献情報
文献番号
202225038A
報告書区分
総括
研究課題名
体外診断用医薬品に係る安全対策のあり方に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22KC2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
矢冨 裕(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 大西 宏明(杏林大学 医学部臨床検査医学教室)
- 古川 泰司(帝京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
臨床検査は医療の根幹をなすものであり、疾患の診断、治療モニタリングの中心として臨床現場で活用されている。医学研究の発展と歩調を合わせる形で、臨床的有用性の高い体外診断用医薬品(体診)が薬事承認、保険収載されているが、高度の医療判断に関わる体診も数多く臨床導入されている。このような状況下、体診の安全対策が重要性を増していることは、例えば、コンパニオン診断目的の遺伝子関連検査の結果が誤っていた場合などを想定すれば、容易に理解できる。しかし、その一方、体診の安全対策に係る規制(副作用報告及び添付文書の記載要領)については、実態にそぐわない現状が指摘されている。本研究は、その問題点を明らかにし、改善案を提案することを目的とする。
研究方法
令和4年度においては、
1.体診の安全対策関連報告体制の構築に関わる問題点の抽出と改善のための提案
2.体診の添付文書の記載要領についての検討と改善のための提案
に関して、関連する分担研究を設定し、各委員が、現在の立場・専門性を踏まえ、独自の調査・解析を実施した。さらには、全委員が密に連携を取り、全体会議をハイブリッド形式で、年度内に計5回(4月22日、7月8日、11月10日、1月17日、3月9日)開催した。さらには、これとは別に、研究代表者・分担者と研究協力者がテーマを絞った形で集まり、意見交換を行った。また,適宜,メールによる議論も展開した。
1.体診の安全対策関連報告体制の構築に関わる問題点の抽出と改善のための提案
2.体診の添付文書の記載要領についての検討と改善のための提案
に関して、関連する分担研究を設定し、各委員が、現在の立場・専門性を踏まえ、独自の調査・解析を実施した。さらには、全委員が密に連携を取り、全体会議をハイブリッド形式で、年度内に計5回(4月22日、7月8日、11月10日、1月17日、3月9日)開催した。さらには、これとは別に、研究代表者・分担者と研究協力者がテーマを絞った形で集まり、意見交換を行った。また,適宜,メールによる議論も展開した。
結果と考察
・体診は医薬品・医療機器とは異なる特性を有しており、体診に特化した安全対策が必要である
・体診の報告体制に関しては、(医薬品の副作用報告の枠組みではなく)医療機器同様、不具合報告として、体診の安全性に関わる情報を蓄積・分析し、体診の安全性向上に活用すべきである。今後、報告事例(報告不要事例)の基準を策定し、報告案件の中で重大なものを選別し広く的確に周知する体制を確立することが重要である。また、積極的に医療機関からも報告事例を増やすような体制構築も重要と思われる。
・本研究班での議論を踏まえ、2023年 4 月 1 日からは、体診に関わる情報は医薬品のものとは区別して配信されることとなり、これを機会に、臨床検査の関係者が、PMDA メディナビや PMDA Webサイトをこれまで以上に有効利用し、体診の安全性に関する情報の収集に活用することが期待される。
・添付文書記載要領の改訂の参考とするため、体診の製造販売業者(臨薬協加盟企業)に対しアンケート調査及びPMDAへの意見聴取を実施した。さらには、医薬品、医療機器の添付文書記載要領と対比する形で要点をまとめた資料を作成した。また、添付文書の「測定結果の判定法」、「臨床的意義」の記載を、(広義の)基準値の正しい理解のもと、より充実させることで、適切な臨床検査結果の解釈が広く普及することが期待されると考えられた。以上の議論、資料に基づき、今後、新しい添付文書記載要領の策定が進むことが期待される。
・体診の報告体制に関しては、(医薬品の副作用報告の枠組みではなく)医療機器同様、不具合報告として、体診の安全性に関わる情報を蓄積・分析し、体診の安全性向上に活用すべきである。今後、報告事例(報告不要事例)の基準を策定し、報告案件の中で重大なものを選別し広く的確に周知する体制を確立することが重要である。また、積極的に医療機関からも報告事例を増やすような体制構築も重要と思われる。
・本研究班での議論を踏まえ、2023年 4 月 1 日からは、体診に関わる情報は医薬品のものとは区別して配信されることとなり、これを機会に、臨床検査の関係者が、PMDA メディナビや PMDA Webサイトをこれまで以上に有効利用し、体診の安全性に関する情報の収集に活用することが期待される。
・添付文書記載要領の改訂の参考とするため、体診の製造販売業者(臨薬協加盟企業)に対しアンケート調査及びPMDAへの意見聴取を実施した。さらには、医薬品、医療機器の添付文書記載要領と対比する形で要点をまとめた資料を作成した。また、添付文書の「測定結果の判定法」、「臨床的意義」の記載を、(広義の)基準値の正しい理解のもと、より充実させることで、適切な臨床検査結果の解釈が広く普及することが期待されると考えられた。以上の議論、資料に基づき、今後、新しい添付文書記載要領の策定が進むことが期待される。
結論
本研究で得られる成果は、次期薬機法改正を含めた体診に係る制度改正の議論における基礎資料として活用されることが期待されるが、その初年度として十分な成果を上げることができた。
公開日・更新日
公開日
2023-06-16
更新日
-