文献情報
文献番号
200925022A
報告書区分
総括
研究課題名
切除不能胆道がんに対する治療法の確立に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H19-がん臨床・一般-022
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
奥坂 拓志(国立がんセンター中央病院 肝胆膵内科)
研究分担者(所属機関)
- 宮川 宏之(札幌厚生病院 第二消化器科)
- 浜本 康夫(栃木県立がんセンター 消化器内科)
- 藤井 博文(自治医科大学 臨床腫瘍部)
- 山口 研成(埼玉県立がんセンター 消化器内科)
- 山口 武人(千葉県がんセンター 消化器内科)
- 池田 公史(国立がんセンター東病院 肝胆膵内科)
- 石井 浩(癌研有明病院 消化器内科)
- 古瀬 純司(杏林大学医学部 内科学臨床腫瘍科)
- 大川 伸一(神奈川県立がんセンター 消化器内科)
- 田中 克明(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター)
- 朴 成和(静岡県立静岡がんセンター 消化器内科)
- 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科部)
- 中森 正二(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 外科)
- 井岡 達也(地方独立行政法人 大阪府立成人病センター 検診部)
- 井口 東郎(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター 消化器内科)
- 舩越 顕博(独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新しい抗がん剤であるS-1は切除不能胆道がん患者に対する治療薬としても期待されており、臨床試験を行いその治療成績を明らかにする。
研究方法
S-1は本邦で開発された新しい抗がん剤であり、切除不能胆道がんに対する治療薬としても期待されている。本研究班では、最初にS-1の2次治療薬としての有効性と安全性を評価するために、「ゲムシタビン耐性胆道がんに対するS-1の第Ⅱ相試験」を実施する。続いてS-1の1次治療薬としての有用性を検討するために、「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法のランダム化第II相試験」を開始する。この試験により有用性が期待できるレジメンを慎重に選択したのちに第Ⅲ相試験を実施して、切除不能胆道がんに対する標準治療法を確立する。
結果と考察
1)「ゲムシタビン耐性胆道がんに対するS-1の第Ⅱ相試験」:平成19年6月から平成20年9月で40例の登録を完了した。奏効割合は7.5%、腫瘍制御割合は62.5%であった。無増悪生存期間中央値は2.5ヶ月、生存期間中央値は7.3ヶ月、1年生存割合は20.0%であった。
2)「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法のランダム化第II相試験」:上記の試験に引き続き、平成21年2月より本試験の登録を開始した。症例集積期間は2年を予想していたが、平成22年2月15日、現在85名の登録が行われており、まもなく終了見込みである(予定症例数100例)。これまでのところ試験中止とすべき重篤な有害反応の報告は得られていない。
2)「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法のランダム化第II相試験」:上記の試験に引き続き、平成21年2月より本試験の登録を開始した。症例集積期間は2年を予想していたが、平成22年2月15日、現在85名の登録が行われており、まもなく終了見込みである(予定症例数100例)。これまでのところ試験中止とすべき重篤な有害反応の報告は得られていない。
結論
本研究班ではS-1の切除不能胆道がんに対する位置づけを明らかにするため、最初に2次治療薬としてのS-1の有効性と安全性を検討した。その結果、重篤な有害事象の発現頻度は低く安全性は確認されたが、有効性に関しては奏効割合7.5%と期待奏効割合15%を大きく下回り、本剤の1次治療薬としての位置づけを明らかにする臨床試験が必要と考えられた。そこでこの試験に引き続き、「進行胆道がんを対象としたゲムシタビン+S-1併用療法とS-1単剤療法のランダム化第II相試験」を開始した。このランダム化第II相試験終了後に選択されるレジメンを用いて第III相試験を実施する計画である。登録はこれまでのところ予想以上の速度で進行しており、まもなく終了見込みである。日本で開発された薬剤であるS-1は胆道がんに対しても大いに期待されている薬剤であり、S-1を含む治療レジメンを評価することを目的とした本研究は国際的にも非常に重要であると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2010-05-24
更新日
-