小児がん治療患者の長期フォローアップとその体制整備に関する研究

文献情報

文献番号
200925012A
報告書区分
総括
研究課題名
小児がん治療患者の長期フォローアップとその体制整備に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 純一郎(国立成育医療センター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 石田 也寸志(聖路加国際病院小児科)
  • 前田 美穂(日本医科大学小児科)
  • 草深 竹志(日本大学医学部外科学系小児外科学分野)
  • 渋井 壮一郎(国立がんセンター中央病院第二領域外来部・脳神経外科)
  • 東 範行(国立成育医療センター・病院第二専門診療部・眼科)
  • 横谷 進(国立成育医療センター第一専門診療部)
  • 正木 英一(国立成育医療センター・放射線診療部)
  • 坂本 なほ子(国立成育医療センター研究所・成育社会医学研究部・成育疫学研究室)
  • 掛江 直子(国立成育医療センター研究所・成育政策科学研究部・成育保健政策科学研究室)
  • 川井 章(国立がんセンター中央病院・臨床試験・治療開発部 整形外科)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療センター研究所・RI管理室)
  • 堀部 敬三(国立病院機構名古屋医療センター・臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
59,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統一した方針に基づいて小児がん経験者の長期フォローアップ(FU)実施体制を整備し、早期介入による晩期障害予防や軽減、情報収集と発信、QOL向上を目指すとともにコホート研究が実施可能な体制を整備する。そのため診療科の枠を超えた情報の共有と共通FUプログラムの作成、FU拠点病院の構築、長期FUセンター設置を目標とする。小児がん登録では、日本小児がん学会等と連携して情報収集とクリーニングを実施できるシステムを構築する。
研究方法
全国から実績、地域性、病院機能を考慮して16施設を長期FU拠点モデル病院と定め、FU外来設置と広報、FU患者リスト作成等を実施。平成21年度はFU患者リストでの晩期合併症予備調査を実施。小児がん登録はWEB登録プログラムを完成させた。
結果と考察
今年度新たに2施設を加え合計16施設となった。長期FU拠点モデル病院の活動が定着し、すべての病院でFU外来が開設された。患者リストは5,000名を超え、予備調査で二次がん発症の概数も明確になった。小児がん登録では、日本小児がん学会と連携して登録率が向上する登録プログラムを開発し、平成21年12月から運用を開始した。地域がん登録における小児がん登録の推進のため、千葉県をモデルとして小児がん登録用プログラムを開発した。
結論
長期FU拠点モデル病院の機能が認知されるようになった意義は大きい。平成19年度より開始した試みだが、北海道、四国、沖縄にモデル病院が無いことが患者等から指摘され設置の要望が出ていた。研究活動ではあったが、患者・家族は事業的な意識を持っていることが判明した。平成21年度は北海道に1施設を追加した。すでに5,000名を超える患者リストが出来上がっており、実態調査、啓発・教育活動、情報収集等に活用できる。小児がん登録については研究期間中にプログラムを完成させ運用させることができた。また、波及効果として地域がん登録の中での小児がん登録の推進へも展開できた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200925012B
報告書区分
総合
研究課題名
小児がん治療患者の長期フォローアップとその体制整備に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-012
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 純一郎(国立成育医療センター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 石田 也寸志(聖路加国際病院小児科)
  • 前田 美穂(日本医科大学小児科)
  • 草深 竹志(日本大学医学部外科学系小児外科学分野)
  • 渋井 壮一郎(国立がんセンター中央病院第二領域外来部・脳神経外科)
  • 東 範行(国立成育医療センター・病院第二専門診療部・眼科)
  • 横谷 進(国立成育医療センター第一専門診療部)
  • 正木 英一(国立成育医療センター・放射線診療部)
  • 坂本 なほ子(国立成育医療センター研究所・成育社会医学研究部・成育疫学研究室)
  • 掛江 直子(国立成育医療センター研究所・成育政策科学研究部・成育保健政策科学研究室)
  • 川井 章(国立がんセンター中央病院・臨床試験・治療開発部 整形外科)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療センター研究所・RI管理室)
  • 堀部 敬三(国立病院機構名古屋医療センター・臨床研究センター)
  • 池田 均(獨協医科大学越谷病院・小児外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統一した方針に基づいて小児がん経験者の長期フォローアップ(FU)実施体制を整備し、早期介入による晩期障害予防や軽減、情報収集と発信、QOL向上を目指し、コホート研究も実施可能な体制を整備する。診療科の枠を超えた情報の共有と共通FUプログラムの作成、FU拠点病院の構築、長期FUセンター設置を目標とする。小児がん登録では、日本小児がん学会等と連携して登録体制を構築する。
研究方法
実績、地域性、病院機能を考慮して長期FU拠点モデル病院を定め、FU外来設置と広報、治療サマリーの手渡し、FU患者リスト作成と晩期合併症調査を実施した。同活動推進に係る支援者雇用費を研究班から支出した。医師らの間で長期FUの重要性に対し共通の認識を持つことが重要と考え、学会シンポジウム開催、患者・家族の会への参加と意見交換、デルファイ法によるコンセンサス測定を行った。小児がん登録では、小児がん全数把握登録の改訂作業と連携し、国際比較、他の登録との連携が可能なWEB登録プログラム開発を行った。地域がん登録における小児がん登録推進の活動も行った。
結果と考察
平成21年度までに計16施設の拠点モデル病院を設置した。FU外来の開設状況は徐々に向上し全施設で開設が完了した。患者リストは5,000名を超え日々更新がされている。これらの患者を対象として二次がん発症の疫学研究を計画し、予備調査で概数を明確にした。モデル病院は患者・家族から好意的に受け入れられ、マスコミ報道も盛んであった。医師、患者・家族への啓発を目的とし、また、同じ意識による取り組みが必要と考え、学会でのシンポジウム開催や患者・家族との直接の対話が実現し相互理解が深まった。関係者間でのコンセンサス形成を目指した意識調査を行い重要点が明確になった。小児がん登録では、日本小児がん学会と連携して登録率が向上する登録プログラムを開発し、平成21年12月から運用を開始した。千葉県をモデルとして地域がん登録用の小児がん登録用プログラムを開発した。
結論
長期FU拠点モデル病院の活動が定着し、患者・家族の啓発にもつながった。特に成人に達した患者から自身の治療記録がほしい、といった要望が出てきた意義は大きい。小児がん登録については研究期間中にプログラムを完成させ運用させることができた。また、波及効果として地域がん登録の中での小児がん登録の推進へも展開できた。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200925012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
小児がん経験者の長期にわたる健康チェックにより高いQOLを保つための仕組みに関する提案ができた。また、病院ネットワーク形成によりQOLに関する正確な情報を収集する仕組みができた。
臨床的観点からの成果
小児がん経験者に対する長期フォローアップモデル病院を中心に、フォローアップ外来の活動が進んだ。また、各種の広報活動と相まって、医療関係者、患者・家族ならびに支援者の間の意識が高まった。
ガイドライン等の開発
“治療サマリー“、”長期フォローアップ手帳“の発行につながった。
その他行政的観点からの成果
晩期合併症の早期発見、早期介入により患者や家族のQOLを高め、医療費の削減につながるシステム構築案として評価できると考えられる。
その他のインパクト
複数回にわたって研究班の活動が新聞やインターネットで取り上げられた。また、学会でのシンポジウム、一般むけの公開講座等で、医療関係者、患者・家族ならびに一般の方々を対象として広報活動を頻繁に行った。大変大きな反響があった。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
41件
その他論文(和文)
59件
その他論文(英文等)
5件
学会発表(国内学会)
80件
学会発表(国際学会等)
12件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
29件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
L.Yang,J.Fujioto,N.Sakamoto et al.
Childhood cancer in Japan: focusing on trend in mortality from 1970 to 2006.
Ann Oncol. , 20 (1) , 166-174  (2009)
原著論文2
L.Yang,J.Fujioto,N.Sakamoto et al.
Trends in cancer mortality in Japanese adolescents and young adults aged 15 to 29 years, 1970-2006.
Ann Oncol. , 20 (4) , 758-766  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-10-01
更新日
-