GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究

文献情報

文献番号
202225022A
報告書区分
総括
研究課題名
GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究
課題番号
20KC2003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 信豪(東京理科大学 薬学部薬学科)
研究分担者(所属機関)
  • 坂本 知昭(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 第三室)
  • 紀ノ岡 正博(大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻化学工学領域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
1,558,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医薬品GMP、医療機器QMS、再生医療等製品GCTPの3分野に関るガイドライン等について、国際的状況を調査・把握し、国内各ガイドライン等に取り込むことで、製造者や当局調査員等の理解、浸透を促し、最終的に高品質の製品を流通させることを目的とする。
研究方法
(1)医薬品GMP
 令和3年の改正GMP省令施行に伴い、製造業者でのPQSの導入と運用が円滑に行われるよう活動してきた。具体的には、経営層の品質保証への関与及び責任を製造業者の実践レベルに広く確実に浸透させ、我が国に流通する医薬品の品質確保に貢献することを目的に次の項目を掲げた。
 ①PQSの実効性評価に、主軸の4システム(製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリング、是正措置及び予防措置、変更マネジメント、並びに品質マネジメントレビュー)を想定して手法を検討した。
 ②知識管理の手法に係る参考資料を作成した。
 ③品質文化醸成への取組み状況調査のため、日本製薬団体連合会を通じて業界アンケート調査を行い、取り纏めた。
 ④実効的なPQSの理解と運用方法を普及させるため、ハイブリッド形式の教育活動を検討した。
 一方、2020年に新たに発生した不正製造問題での健康被害事案や、その後のGMP違反による行政処分の多発を受け、本年度、急遽、「製造販売業者のためのGMP監査マニュアル」に着手した。
さらに生物学的製剤等の製造所に関し、WHOガイドラインや国立感染症研究所の病原体安全管理規程等の最新情報や再生医療等製品への適用可否を踏まえ、過去の関連通知「生物学的製剤等の製造所におけるバイオセーフティの取扱いについて」(医薬監第14号)の改定案に着手した。
(2)医療機器QMS
・資格認定のための指針案作成に係るアンケート調査結果に加え、実施中の欧米のQMS調査制度の調査結果を取り纏める。
(3)再生医療等製品GCTP
改正GMP省令の施行やPIC/S Annex 2Aの発効(令和3年5月1日)を踏まえ、GCTP省令の国際標準への改正も必須と考えて検討し、昨年度はその改正案を作成した。また、治験製品のガイドラインがないことから、「治験製品GCTP(案)」を取り纏め、そのQ&A案も作成した。
 最終年である本年度は、GMP課長通知を参考にAnnex 2Aとの比較・検討を加え、GCTP課長通知案に着手した。
結果と考察
(1)医薬品GMP
・PQSの実効性評価について、主軸の4システムを想定した具体的な評価方法を取り纏めた。
・品質文化、知識管理に関するアンケート結果を取り纏め、公表した。
・昨年度検討したハイブリッド形式の教育活動は、新型コロナウイルス感染再拡大のため見送ったが、本年度は京都府、熊本県で開催出来た。
・最終年度着手の「製造販売業者のためのGMP監査マニュアル」は完成したが、バイオセーフティの通知改訂は、血液製剤や再生医療等製品のリスクに対する考え方の整理に時間を要し、完成に至らなかったため、継続検討を模索する。
(2)医療機器QMS
平成31年に完全移行されたISO 13485:2016に準拠のQMS省令施行を踏まえ、以下の研究課題に取り組んだ。
 ①令和3年3月28日に、ISO 13485:2016に整合を図った改正QMS省令が公布、施行されたことに伴い、その英訳版を作成し、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載した。
 ②登録認証機関におけるQMS調査員の資格認定に向け、現状把握のため、登録認証機関に対するアンケート調査を昨年度行い、本年度は調査結果をもとにISO/IEC 17021-1に対応したQMS調査員の資格認定基準を作成した。
 ③令和元年度作成した、電磁的な文書及び記録の管理に関するガイダンスを周知すべく、昨年度は日本医療機器産業連合会主催のQMS講習会において、ガイダンス文書の講演を行ったが、本年度はその周知に、商工組合日本医療機器協会主催の講習会や茨城県医薬工業会主催の「研修会」等において、ガイダンス文書について講演した。
 ④国際整合を踏まえたQMS適合性調査制度の在り方を検討に、旧GHTF加盟国におけるQMS調査制度の現状を調査し、最終的な提言を取り纏めた。
(3)再生医療等製品GCTP
・改正GMP省令とPIC/S Annex 2Aを参考にしたGCTP省令改正案を研究班として最終確定させたとともに、治験製品GCTP案の解説のためのQ&A案も作成した。本年度は、作成したGCTP省令案に対する課長通知案を完成させた。
結論
 医薬品GMP、医療機器QMS、再生医療等製品GCTPの3分野について、絶えず変化する国際的な状況を調査・把握し、製造者やそれぞれの当局調査員等の理解、浸透を促すことは、最終的に高品質の各製品を流通させることとなる。引き続き、課題を整理の上、研究を進めたいと考える。

公開日・更新日

公開日
2023-07-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202225022B
報告書区分
総合
研究課題名
GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究
課題番号
20KC2003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 信豪(東京理科大学 薬学部薬学科)
研究分担者(所属機関)
  • 櫻井 信豪(東京理科大学 薬学部薬学科)
  • 坂本 知昭(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 第三室)
  • 紀ノ岡 正博(大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻化学工学領域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品GMP、医療機器QMS、再生医療等製品(及び特定細胞加工物)GCTPの3つの分野に関するガイドライン等について、国際的な状況を調査・把握し、国内の各ガイドライン等に取り込むことで、製造者やそれぞれの当局調査員等の理解、浸透を促し、最終的に高品質の各製品を流通させることを目的とする。
研究方法
⑴医薬品GMP:
医薬品品質システム(PQS)を含むGMP省令案及び施行通知案が2021年8月1日に施行されたことを受け、医薬品製造所でのPQSの導入・運用が円滑に行われるよう以下の活動を行った。
①実効的なPQSの評価手法検討
②知識管理の手法に係る参考資料作成
③品質文化醸成への取組み状況調査
④PQSワークショップ(京都、熊本)
加えて、不正製造事案の新たな発生やGMP違反事案の多発を受けて、「製造販売業者(製販)のためのGMP監査マニュアルの作成」、WHOのガイドラインや国立感染症研究所の病原体安全管理規程の最新化等を踏まえ、「生物学的製剤等の製造所におけるバイオセーフティの取扱いについて」の改定案に着手した。
⑵医療機器QMS:
2019年3月1日に完全移行されたISO 13485:2016に準拠のQMS省令の施行を踏まえ、以下の研究課題に取り組んだ。
①改正QMS省令の英訳
②QMS調査員の資格認定平準化のための指針作成
③令和元年度作成の電磁的な文書及び記録の管理に関するガイダンスの周知活動
④QMS適合性調査制度の在り方の検討
⑶再生医療等製品GCTP:
改正GMP省令施行やPIC/S Annex 2Aの発効を踏まえ、改正GCTP省令案及びGCTP課長通知案の検討を進めるとともに、治験製品GCTP案に基づいたQ&A案を検討した。
結果と考察
⑴医薬品GMP:
①実効的なPQSの評価手法検討
PQSの4要素(製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリング、是正・予防措置、変更マネジメント、マネジメントレビュー)に対する模擬事例をまとめた。
②知識管理の手法に係る参考資料作成
知識管理体制構築のための指針の他、知識管理のアンケート(令和3年度)結果や不正製造事案を踏まえ、部門間での知識共有として知識コミュニケーションを提言した。
③品質文化醸成への取組み状況調査
品質文化醸成の取組み状況調査として日本製薬団体連合会を通じて業界アンケートを行った。
④PQSワークショップ:
京都(令和4年5月)及び熊本(令和5年1月)で実施した。
その他、「GMP監査マニュアル案」及び「生物学的製剤等の製造所におけるバイオセーフティ指針案」を作成した。
⑵医療機器QMS:
①改正QMS省令の英訳
英訳版を作成し、独立行政法人医薬品医療機器ホームページに掲載した。
②QMS調査員の資格認定平準化のための指針作成
医薬品医療機器等法登録認証機関におけるQMS調査員の資格認定の課題についてアンケート調査を行い、結果をもとにISO/IEC 17021-1に対応したQMS調査員の資格認定基準を作成したい。
③電磁的な文書及び記録の管理に関するガイダンスの周知活動
商工組合日本医療機器協会主催の「わかりやすい改正医薬品医療機器等法・QMS省令講習会」、茨城県医薬工業会主催研修会等においてガイダンス文書の講演を行った。
④QMS適合性調査制度の在り方の検討
旧GHTF加盟国の調査制度についての各国当局の公表情報のデスクトップリサーチ、加盟団体や企業からの聞き取り調査を行い、QMS調査制度の在り方に関する提言としてまとめた。
⑶再生医療等製品GCTP
改正GCTP省令案及びGCTP課長通知案は、PIC/S Annex 2Aとの比較を経て取りまとめ、治験製品GCTPに対するQ&A案を含めて厚生労働省に提出した。
結論
⑴医薬品GMP:
GMP監査マニュアル案を含む各種成果物やPQSワークショップにより、製造業者の実践レベルに広く浸透させ、製造業者のGMPレベルの向上そして我が国に流通する医薬品の品質保証の確保に貢献することができたと考えられる。バイオセーフティ指針案は、WHOのマニュアルの改訂に伴い、グローバルの流れに対応するとともに、再生医療等製品並びに血液及び血液製剤に対応するための将来的な課題を提供するものとなった。
⑵医療機器QMS:
当初定めた研究課題についてはいずれも目的どおり遂行するに至り、研究成果がQMS調査の品質の維持や国際化に活用されることが期待されるとともに、QMS適合性調査制度及びその調査手法の検討に極めて有益なもになると考える。
⑶再生医療等製品GCTP:
今年度取りまとめた課長通知案等各種成果物は、厚労労働省で発出に向けた作業が行われている。今後のGCTP省令の改正にあたっては、製造現場にて正しく運用されるよう、それらの解釈を示す事例集等の作成の必要性について検討が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-07-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202225022C

成果

専門的・学術的観点からの成果
なし
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
医薬品、医療機器、再生医療等製品の製造に係る、グローバルな製造管理及び品質管理の基準や流通段階の品質確保の基準は、技術的な進歩と並行して絶えず、作成・改訂されている。我が国の基準においても最新のグローバル基準の取り込むのと共に、逆に我が国から諸外国へ基準案を提案しグローバル基準作成に参画することも国際貢献という意味でもとても大切である。このような研究活動を継続的に実施することは、流通する製品の品質保証や品質確保に直結し、最終的に使用者の安心、安全を高めることができる。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-07-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
202225022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,025,000円
(2)補助金確定額
2,025,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 29,000円
人件費・謝金 1,200,000円
旅費 29,000円
その他 300,000円
間接経費 467,000円
合計 2,025,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-07-18
更新日
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