医薬品等のインターネット販売に対する監視手法の研究

文献情報

文献番号
202225011A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等のインターネット販売に対する監視手法の研究
課題番号
21KC1007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 直子(金沢大学 医薬保健研究域附属AIホスピタル・マクロシグナルダイナミクス研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 和子(金沢大学 医薬保健学総合研究科 メディ‐クウオリティ セキュリティ講座)
  • 前川 京子(同志社女子大学 薬学部)
  • 坪井 宏仁(滋賀県立大学 人間看護学研究科)
  • Rahman Mohammad(ラーマン モハンマド)(金沢大学 医薬保健学総合研究科 メディ-クウォリティセキュリティ)
  • Zhu Shu(シュ シュ)(金沢大学 医薬保健学総合研究科 メディ-クウォリティ・セキュリティ講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国外の医薬品等のインターネット販売に係る規制ならびに監視指導例を調査するとともに、日本国内のインターネット販売サイトにおける出品時確認の実態と国内のインターネットを介した医薬品等の個人間取引の実態を明らかにすることによって、医薬品等のインターネット販売に対するより効果的な監視手法の検討に資する。本年度は、①個人による医薬品販売等の海外の規制に関する調査、②個人間取引サイトにおける医薬品、医療機器等の出品希望に関する調査、③SNSサイト における投稿時確認事項調査、④SNSサイトを介した医薬品の個人間取引実態調査ならびに、⑤医薬品個人間取引が疑われる投稿の検出手法の検討を行った。
研究方法
①イギリスとドイツにおける消費者への医薬品のオンライン販売・譲渡に係る法律政府ホームページや文献検索で収集した。②金沢大学医学倫理審査委員会の承認を得て、国内で展開している個人間取引サイト事業者を対象に、医薬品等の出品希望実態を調査した。③国内で利用されている代表的なSNSサイトを対象に、当該サイトの利用規約や各ポリシー等を観察し、禁止事項等について調査した。④偽造医薬品等情報センターから提供された情報を精査し、向精神薬ではない医薬品の一部を試買することにより、医薬品の個人間取引実態を調査した。⑤SNSのうち、YouTubeとTwitterを対象に、医薬品個人間取引が疑われる投稿の検出法を検討した。
結果と考察
①イギリス、ドイツとも、消費者自身による医薬品の販売等は認めていないことを確認した。インターネットによる消費者への医薬品販売等は、イギリスでは処方薬および薬局薬はインターネット薬局、一般薬は登録されたオンライン小売業者が行い、ドイツでは薬局薬は許可された薬局、一般販売薬は任命された業者が販売等を行っていることが確認された。②本来無資格の個人には販売・授与が認められていない医薬品と医療機器の出品希望はフリマサイト当たり月間350件から1,400件寄せられ、出品希望商品の種類が130程度に上るサイトもあることが明らかになった。③日本国内で主に利用されているSNSサイトのほんどにおいて、それぞれの利用規約により、医薬品の取引を促す投稿が禁止されており、サイト事業者が、違反に対して、コンテンツの削除やアカウントの停止等の措置をとることが確認された。一方、一部のSNSサイトでは、ユーザーがアカウントを乗っ取られた場合等を除いては、事業者は介入しないとしていることも明らかになった。④Twitterにおける個人間取引が疑われる投稿において、主に向精神薬、鎮痛薬、鎮咳薬、アレルギー疾患治療薬等の取引が持ち掛けられていることを明らかにした。試買調査として、向精神薬ではない一部の医薬品について、取引希望を申し出たところ、約半数で取引が成立し、匿名かつ処方箋なしで処方箋医薬品を入手できることを明らかにした。⑤Twitterにおける医薬品の個人間取引が疑われる投稿では、絵文字が多用されていたことから、前年度に開発したクローリングプログラムを絵文字も抽出できるように修正し、頻用されていたハッシュタグ「#お薬もぐもぐ」をキーワードに、クローリングプログラムを実行した。収集された投稿情報を医薬品の個人間取引疑いの有無で分類し、解析を行った。テキストマイニングにより抽出された単語を対象に、決定木分析を行った結果、医薬品の個人間取引が疑われるか否かを予測するにあたり、最も重要度の高い単語として「DM」が抽出され、「DM」の記載があり、「#お薬チャーム」の記載がなく、かつ「#サイレース」の記載があることが医薬品の個人間取引が疑われる投稿に使用される単語の特徴の1パターンとして示された。
結論
イギリスとドイツでは、消費者個人による医薬品販売等は認められておらず、インターネットによる消費者への医薬品販売等は国により異なる規定ではあるが、規制の範囲内で認めていた。国内の主な個人間取引サイトやSNSサイトでは、医薬品等の出品や取引が利用規約上禁止されているにも関わらず、出品希望や取引を持ち掛ける投稿が相次いでいる実態が明らかとなり、販売業の許可を取得した者でなければ医薬品や医療機器を販売できないことを一般国民に早急に啓発・普及する必要性が示された。また、医薬品の個人間取引を持ち掛ける投稿や当該投稿に登場する医薬品の特徴が明らかとなり、医薬品の個人間取引が疑われる投稿を検出するために、クローリングプログラムを実行する際のキーワードの選定方法が考案された。今後、投稿情報をさらに収集することでデータ数を増やし、高精度に当該投稿を検出するロジックの開発を進める。

公開日・更新日

公開日
2023-07-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202225011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,600,000円
(2)補助金確定額
3,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,920,734円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 849,266円
間接経費 830,000円
合計 3,600,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-06-06
更新日
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