文献情報
文献番号
202225009A
報告書区分
総括
研究課題名
新たなアプローチ方法による献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究
課題番号
21KC1005
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
- 鹿野 千治(日本赤十字社 血液事業本部 経営企画部 事業戦略室)
- 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
5,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、1.血液製剤の医療需要と供給の予測に関する研究、2.若年者の献血推進の方策と教育資材の開発、等4つの研究の柱からなり、エビデンスに基づいた献血施策の基盤となる成果の提示を目指す
研究方法
人口動態、疫学、社会行動確率論、情報マネジメント、社会医学、医歯薬学教育など多岐にわたる研究分野からのアプローチを実施する
結果と考察
1)血液製剤の医療需要と供給の予測に関する研究
National Data Base(NDB)、日赤血液製剤供給実績、日本輸血・細胞治療学会の大規模調査結果等を用いて精緻な需要予測を行い、医療需要の動向を明らかにした。
1.免疫グロブリン製剤の使用実態と需要予測
令和2年度には2012~18年度のNDBデータを用い2025年までの免疫グロブリン製剤の必要量、さらには原料血漿の必要量の将来予測を行った。今年度は、2022年3月末に提供された2012~20年度のNDBデータを解析し、将来予測の検証およびアップデートを行った。しかし、2022年11月、厚労省よりNDBデータの不具合の連絡があったため今回は影響がない結果のみ以下に報告する。
人免疫グロブリン製剤の処方本数は、2012~19年度までは増加傾向であったが、2020年度に2,063,056本/2.5g減少に転じた。傷病別総処方本数が多いのは、慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー、無又は低ガンマグロブリン血症、川崎病、ギラン・バレー症候群、全身型重症筋無力症。2019年度までは処方本数が増加傾向、2020年度は川崎病(前年比37.9%減)とギラン・バレー症候群(前年比29.4%減)が減少した。また、2020年度の原料血漿必要量の予測値は、Low-High:960,158-1,094,580ℓであるのに対して、2020年度の原料血漿量は1,010,200ℓと、予測範囲内に収まることを確認した。
2.献血の需要と供給の将来推計
平成30年までの実績資料を用いて献血者数の将来予測を行い、令和7(2025)年における予測献血者数は440~444万人、予測血液製剤需要は献血者換算477~505万人分であり、33~65万人不足することを示した。この結果は「献血推進2025」の目標献血率策定時の参照資料となった。
令和元年12月からのコロナ禍により、献血者の行動や血液製剤の需要への影響が考えられるため、献血本数の需要と供給の再予測を試みた。血液製剤の需要、予測献血者数ともに令和2年度研究の結果と大きくは変わらなかった。
理由として、予定されていた手術等は延期となったものの、年内には行われ、年間血液製剤使用量が大きくは減少しなかったこと、また複数回献血者などへの強い働きかけにより年間献血者数についても維持することができたことが要因
しかしながら、2025年予測献血率は10・20歳代では0.2~0.4%低下、30~60歳代は0.1~0.4%上昇。年代によるコロナ禍の献血行動に違いがあり、during/afterコロナに向けた献血者数の確保は、年齢層に応じた献血促進のアプローチが重要
3.200ml献血由来の血液製剤の使用実態
昨年度、健康保険組合加入者のレセプトデータ(JMDC)を用い、200mL献血由来の血液製剤投与患者の実態解析を行った。今年度は、2022年3月末に提供受けた6年分NDBデータを解析した。NDBデータ不具合の影響がない処方量に関する結果のみ報告。200mL献血由来の血液製剤は、全血製剤と血小板製剤は処方量自体が少なく、赤血球製剤は70歳以上の高齢層で多く使用されており、血漿製剤は、10歳未満の小児で多く使用されていた。
処方用途別では、赤血球製剤は、手術(30.5%)、血液腫瘍(14.4%)、悪性腫瘍(11.9%)、血漿製剤は、手術(60.7%)、出産関係(6.1%)、血液疾患(4.8%)で使用されていた。
2)若年者の献血推進の方策と教育資材の開発とpilot地区を対象としたモデル事業の実施
第46回血液事業学会において、日本の血液事業及び献血制度について学習できる動画コンテンツ、および、全国の大学医学部における献血に関する教育的取組の実態調査結果について発表し、同学会学術雑誌に報告した。動画コンテンツは、研究室のホームページ(https://eidcp.hiroshima-u.ac.jp/kenketsu.html)に公開した
3)ポストコロナにおける効果的な献血確保策の先進事例調査及び提言
全血液センター(N=47)を対象とした献血者確保に寄与する効果的な取組WEBアンケート調査を企画し、広島大学疫学研究倫理審査委員会の承認を得た(E2022-0187)
National Data Base(NDB)、日赤血液製剤供給実績、日本輸血・細胞治療学会の大規模調査結果等を用いて精緻な需要予測を行い、医療需要の動向を明らかにした。
1.免疫グロブリン製剤の使用実態と需要予測
令和2年度には2012~18年度のNDBデータを用い2025年までの免疫グロブリン製剤の必要量、さらには原料血漿の必要量の将来予測を行った。今年度は、2022年3月末に提供された2012~20年度のNDBデータを解析し、将来予測の検証およびアップデートを行った。しかし、2022年11月、厚労省よりNDBデータの不具合の連絡があったため今回は影響がない結果のみ以下に報告する。
人免疫グロブリン製剤の処方本数は、2012~19年度までは増加傾向であったが、2020年度に2,063,056本/2.5g減少に転じた。傷病別総処方本数が多いのは、慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー、無又は低ガンマグロブリン血症、川崎病、ギラン・バレー症候群、全身型重症筋無力症。2019年度までは処方本数が増加傾向、2020年度は川崎病(前年比37.9%減)とギラン・バレー症候群(前年比29.4%減)が減少した。また、2020年度の原料血漿必要量の予測値は、Low-High:960,158-1,094,580ℓであるのに対して、2020年度の原料血漿量は1,010,200ℓと、予測範囲内に収まることを確認した。
2.献血の需要と供給の将来推計
平成30年までの実績資料を用いて献血者数の将来予測を行い、令和7(2025)年における予測献血者数は440~444万人、予測血液製剤需要は献血者換算477~505万人分であり、33~65万人不足することを示した。この結果は「献血推進2025」の目標献血率策定時の参照資料となった。
令和元年12月からのコロナ禍により、献血者の行動や血液製剤の需要への影響が考えられるため、献血本数の需要と供給の再予測を試みた。血液製剤の需要、予測献血者数ともに令和2年度研究の結果と大きくは変わらなかった。
理由として、予定されていた手術等は延期となったものの、年内には行われ、年間血液製剤使用量が大きくは減少しなかったこと、また複数回献血者などへの強い働きかけにより年間献血者数についても維持することができたことが要因
しかしながら、2025年予測献血率は10・20歳代では0.2~0.4%低下、30~60歳代は0.1~0.4%上昇。年代によるコロナ禍の献血行動に違いがあり、during/afterコロナに向けた献血者数の確保は、年齢層に応じた献血促進のアプローチが重要
3.200ml献血由来の血液製剤の使用実態
昨年度、健康保険組合加入者のレセプトデータ(JMDC)を用い、200mL献血由来の血液製剤投与患者の実態解析を行った。今年度は、2022年3月末に提供受けた6年分NDBデータを解析した。NDBデータ不具合の影響がない処方量に関する結果のみ報告。200mL献血由来の血液製剤は、全血製剤と血小板製剤は処方量自体が少なく、赤血球製剤は70歳以上の高齢層で多く使用されており、血漿製剤は、10歳未満の小児で多く使用されていた。
処方用途別では、赤血球製剤は、手術(30.5%)、血液腫瘍(14.4%)、悪性腫瘍(11.9%)、血漿製剤は、手術(60.7%)、出産関係(6.1%)、血液疾患(4.8%)で使用されていた。
2)若年者の献血推進の方策と教育資材の開発とpilot地区を対象としたモデル事業の実施
第46回血液事業学会において、日本の血液事業及び献血制度について学習できる動画コンテンツ、および、全国の大学医学部における献血に関する教育的取組の実態調査結果について発表し、同学会学術雑誌に報告した。動画コンテンツは、研究室のホームページ(https://eidcp.hiroshima-u.ac.jp/kenketsu.html)に公開した
3)ポストコロナにおける効果的な献血確保策の先進事例調査及び提言
全血液センター(N=47)を対象とした献血者確保に寄与する効果的な取組WEBアンケート調査を企画し、広島大学疫学研究倫理審査委員会の承認を得た(E2022-0187)
結論
上記、得られた知見は研究目的に適う
公開日・更新日
公開日
2024-03-07
更新日
-