がん医療の均てん化に資する緩和医療に携わる医療従事者の育成に関する研究

文献情報

文献番号
200925002A
報告書区分
総括
研究課題名
がん医療の均てん化に資する緩和医療に携わる医療従事者の育成に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
木澤 義之(国立大学法人筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院緩和支持療法科)
  • 岡村 仁(国立大学法人広島大学大学院 保健学研究科)
  • 大滝 純司(東京医科大学医学教育学・総合診療医学)
  • 橋爪 隆弘(秋田市立秋田総合病院)
  • 高橋 美賀子(聖路加国際病院)
  • 笹原 朋代(国立大学法人筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 岩満 優美(北里大学大学院医療系研究科)
  • 塩川 満(聖路加国際病院)
  • 伊勢 雄也(日本医科大学付属病院)
  • 竹之内(坂本) 沙弥香(京都大学大学院医学研究科医学専攻)
  • 志真 泰夫(筑波メディカルセンター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の緩和ケア提供の均てん化に資するため、すべてのがん診療に携わる医師およびその他医療従事者に対する緩和ケアの教育プログラムを開発・実践し、その効果的な教育方法を検討すること。
研究方法
1.専門家による討議により小児、緩和ケアに関する各種教育プログラムおよびその教材の開発(ELNEC-J、CLIC、PEACE)を行った。2.研修会の効果を明らかにするために各種研修会参加者に対して自記式の調査を行い、研修会の効果を明らかにした。3.都道府県看護協会の緩和ケア教育の実態調査をアンケート形式で実施した。4.デルファイ変法を用いて卒前緩和ケア学習到達目標の作成を行った。
結果と考察
1.緩和ケアチーム研修会のプログラム作成および実施:計4回研修会を開催した。参加者アンケートの結果、参加者の評価は高かった。2.緩和ケアチーム研修会の有効性の評価:研修会前後の比較では、緊急時のサポート体制、患者・家族への広報活動、活動に対する自信について向上がみられた。3.PEACEプログラムの新モジュールの開発:新しく6モジュールと教育用マテリアルが開発された。5.PEACE指導者研修会の評価:各セッションに対する満足度は非常に高かった。研修会前後で教育法に関する自信は有意に改善した。6.小児における緩和ケアの啓発普及プログラムの開発:集中型の教育プログラムと、教材が開発された。7.医学部卒前緩和ケア学習到達目標の作成:デルファイ変法を用いて学習到達目標案が作成された。8.都道府県看護協会緩和ケア教育に関する調査:プログラムを実施していると回答した協会は92%で、項目としては「疼痛マネジメント」が最も多くその内容はばらつきが大きかった。9.看護師に対する緩和ケア教育プログラムELNEC評価尺度の作成:評価尺度(ELNEQ)の妥当性と有効性が証明され、参加した看護師の教育に対する自信、質の高いEOLケアの達成への意欲を高めることが明らかになった。
結論
本年度の研究により、以下の成果が得られた。1)緩和ケアチーム研修会の有効性が検証された。2)緩和ケアチーム研修会が実施され、60チーム、240名を超える修了者を輩出した。3)PEACE新モジュールが開発され、さらに医師の教育プログラムの充実が図られた3)ELNEC-J指導者研修会の評価尺度が開発されその有効性が明らかとなった。4)都道府県看護協会の緩和ケア教育の実態が明らかとなった。5)小児緩和ケア教育プログラム(CLIC)が開発された。6)医学部卒前緩和ケア学習到達目標がデルファイ変法を用いて開発された。これらプログラムの整備により緩和ケアの一層の普及が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200925002B
報告書区分
総合
研究課題名
がん医療の均てん化に資する緩和医療に携わる医療従事者の育成に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
木澤 義之(国立大学法人筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持療法科)
  • 岡村 仁(国立大学法人広島大学保健学研究科)
  • 大滝 純司(東京医科大学医学教育学・総合診療医学)
  • 橋爪 隆弘(秋田市立秋田総合病院)
  • 高橋 美賀子(聖路加国際病院)
  • 笹原 朋代(国立大学法人筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 岩満 優美(北里大学大学院医療系研究科)
  • 塩川 満(聖路加国際病院)
  • 伊勢 雄也(日本医科大学付属病院薬剤部)
  • 竹之内(坂本) 沙弥香(京都大学大学院医学研究科医学専攻)
  • 志真 泰夫(筑波メディカルセンター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は主として以下の2点である。1.緩和ケアチーム(PCT)の基準の作成、2.PCTおよびPCTを構成する医療従事者に対する教育プログラムを開発・実践しその効果的な育成方法を検討する、3.緩和医療の啓発普及のためのマテリアル開発と実践
研究方法
1.緩和ケアチームの基準:デルファイ変法を用いて、PCTの基準を作成した。2.PCTとチームを構成する各職種に関する教育目標・プログラム開発と実践:専門家討議によりプログラムおよび教育マテリアルの開発を行いその実践と評価を行った。(ELNEC,PEACE,CLIC、緩和ケアチーム研修会)3.専門家討議を行いPCTを構成する各職種の学習目標を明らかにした。4.郵送法による質問紙調査でがん診療に携わる心理士の役割、全国の保険調剤薬局の緩和ケアに関するかかわりについての実態調査を行った。5.デルファイ変法を用いて大学医学部卒前教育における緩和ケア学習到達目標を作成した。
結果と考察
1.緩和ケアチームの基準:院内PCTの活動指針・活動の評価指標となる緩和ケアチームの基準が作成された。2.PCTに対する教育プログラムが開発され、180チーム、800名を超える修了者を輩出した。PCTの活動の評価尺度が作成され、プログラムの有効性が証明された。3.医療従事者各職種の教育目標が作成された。今後この教育目標に基づいた具体的な教育プログラムの作成が必要である。4.保険調剤薬局の緩和ケアに関する活動の実態、全国のがん診療に携わる心理士の活動の実態が明らかとなった。5.緩和医療の教育・啓発普及マテリアルであるPEACE(一般医師)、ELNEC-J(看護)、CLIC(小児)の開発と実践、およびその評価が行われた。6.医学部卒前緩和ケア学習到達目標の作成:デルファイ変法によりわが国初の卒前緩和ケア学習到達目標が開発された。
結論
がん診療連携拠点病院の緩和ケアチームの教育に必要な緩和ケアチーム(PCT)の基準が作成された。また、がん診療連携拠点病院を中心としたPCTに対する教育プログラムが作成実践されその有効性が証明された。また、緩和ケアチームが緩和医療を教育・啓発普及するためのマテリアルとして、PEACE(一般医師)、ELNEC-J(看護)、CLIC(小児)がそれぞれ開発された。さらに、大学医学部卒前教育における緩和ケア学習到達目標が作成され、全ての医師が緩和ケアを学習するための基礎的な整備が行われた。今後これらマテリアルやプログラム、カリキュラム等の修正とさらなる発展が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200925002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
以下の成果が得られた
1)わが国初の医師に対する集中型の緩和ケア教育プログラムPEACEが開発された。2)わが国初の看護師に対する集中型の緩和ケア教育プログラムELNEC-Jが開発され、その評価尺度が作成された。3)世界初の小児科医に対する集中型の緩和ケア教育プログラムCLICが開発された。4)調剤薬局における緩和ケアの実態が明らかとなった。4)わが国初の緩和ケアの卒然学習到達目標が開発された。
臨床的観点からの成果
1)緩和ケアチームの基準が作成され、緩和ケアチームの活動の指標が明らかとなった。2)緩和ケア研修会のプログラムであるPEACEの実施により、広く基本的な緩和ケアが実施されるようになった。3)緩和ケア研修会の実施により700名を超える緩和ケアチームのメンバーが受講し、専門緩和ケアの質の向上に寄与した。
ガイドライン等の開発
1)緩和ケア研修会PEACEプログラムの開発:日本医師会緩和ケアガイドブックに準拠した内容となっている
2)緩和ケアチームの基準の開発
その他行政的観点からの成果
1)緩和ケア研修会の標準プログラムおよび開催指針に則ったPEACEプログラムを開発し、その開催マニュアルである緩和ケア研修会開催の手引きを作成、公開し、各都道府県およびがん診療拠点病院に配布することによりその開催を支援した。
その他のインパクト
各地で行われる緩和ケア研修会は数多くの新聞をはじめとするメディアに取り上げられた。一例として日本経済新聞2009年8月9日2面、がん緩和ケア等があげられる。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
29件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
16件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sasahara T, Kizawa Y, Morita T, et al.
Development of a standard for hospital-based palliative care consultation teams using a modified Delphi method.
Journal of Pain and Symptom Management , 38 (4) , 496-504  (2009)
原著論文2
Ise Y, Morita T, Maehori N, et al.
Role of the community pharmacy in palliative care: A nationwide survey in Japan.
Journal of Palliative Medicine  (2010)
原著論文3
岩満優美, 平井啓, 大庭章他.
緩和ケアチームが求める心理士の役割に関する研究―フォーカスグループインタビューを用いて―
緩和医療学 , 4 (2) , 228-234  (2009)
原著論文4
坂本沙弥香、浅井篤、小杉眞司
日本の終末期医療に携わる臨床看護師による終末期看護教育コンソーシアム(ELNEC: End-of-Life Nursing Education Consortium)の教育プログラムを用いた終末期看護倫理教育法の評価
熊本大学先端倫理研究 , 2 , 54-65  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-10-01
更新日
-