乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較研究

文献情報

文献番号
200924055A
報告書区分
総括
研究課題名
乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較研究
課題番号
H18-第3次対がん総合戦略・戦略-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大内 憲明(東北大学大学院 医学系研究科 腫瘍外科学分野(東北大学病院 乳腺内分泌外科))
研究分担者(所属機関)
  • 東野 英利子(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 放射線医学)
  • 福田 護(聖マリアンナ医科大学 附属研究所 乳腺外科)
  • 祖父江 友孝(国立がんセンター がん対策情報センター)
  • 斎藤 博(国立がんセンター がん予防・検診センター 消化器病学)
  • 山本 精一郎(国立がんセンター がん対策情報センター 生物統計学 )
  • 遠藤 登喜子(国立病院機構 名古屋医療センター 放射線科 )
  • 高田 悦雄(獨協医科大学 光学医療センター 画像診断学)
  • 笠原 善郎(福井県済生会病院 外科 )
  • 渋谷 大助(宮城県対がん協会 がん検診センター 消化器病学)
  • 石田 孝宣(東北大学大学院 医学系研究科 腫瘍外科学)
  • 中島 一毅(川崎医科大学付属病院 乳腺甲状腺外科 )
  • 中島 護雄(東北大学大学院 医学系研究科 腫瘍外科学 )
  • 櫻井 遊(宮城県立がんセンター 乳腺科 )
  • 河合 賢朗(東北大学病院 乳腺内分泌外科 )
  • 大野 真司(国立病院機構 九州がんセンター 乳腺科)
  • 光山 昌珠(市立北九州医療センター 外科 )
  • 深尾 彰(山形大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学)
  • 栗山 進一(東北大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学 )
  • 鯉淵 幸生(群馬大学医学部附属病院 乳腺内分泌外科)
  • 片岡 健(広島大学大学院保健学研究科 成人健康学 )
  • 大崎 昭彦(埼玉医科大学 乳腺腫瘍科)
  • 池田 由加利(北海道対がん協会 外科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
190,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 マンモグラフィによる乳がん検診の死亡率減少効果は50歳以上に限定的である。40歳代で超音波検査併用により乳がんの発見率が高くなることが報告されているが、超音波乳がん検診は標準化されておらず、精度及び有効性も検証されていない。本研究では40歳代女性を対象に、超音波による検診を標準化した上で、マンモグラフィに超音波を併用する(介入)群と併用しない(非介入)群との間でランダム化比較試験(RCT)を行い、2群間で検診精度と有効性を検証する。プライマリ・エンドポイントを感度・特異度とし、セカンダリ・エンドポイントを累積進行乳がん罹患率とする。
研究方法
1)超音波乳がん検診の標準化と普及のためにガイドラインを作成し、検診を行う医師、技師に対して乳房超音波講習会を開催し、精度管理を行う。
2)超音波による乳がん検診の有効性を検証するために、40歳から49歳女性を対象として超音波検診を併用する群(介入群)、超音波検診を併用しない群(非介入群)の2群間でランダム化比較試験(RCT)を実施する。研究参加団体は全国23都道府県の42団体である。
(倫理面への配慮)厚生労働省「がん対策のための戦略研究」倫理委員会による審査、ならびに東北大学大学院医学系研究科倫理委員会による承認を得ている。
結果と考察
1)超音波乳がん検診の標準化と普及:ガイドラインを策定し、乳房超音波講習会を全国で18回開催して教育研修を行った。年間受講者数は医師407名、技師418名であった。通算受講者数は医師1,504名、技師1.750名となった。
2)ランダム化比較試験:平成21年度は毎月2,000名前後の参加者を確保することができ、29,500人の新規登録者を得て、平成19年度からの累積登録者数は66,600人となった。また、平成19年度初回受診者8,326人のうち、2年後2回目受診者は6,425名(77%)となった。わが国の臨床試験(RCT)で登録者数が6万人を超えた例はなく、正に画期的な成果といえる。
結論
 超音波による乳がん検診の標準化に関して、ガイドラインに沿った超音波講習会の総受講者数は医師、技師ともに1,500名を超えたことから、超音波による乳がん検診の標準化に大きな成果があった。
 RCTによる有効性の検証に関して、平成21年度も前年度に引続き約3万人の新規登録者を得て、累積登録者数が66,600人に達したことは、わが国で大規模RCTによる臨床試験が可能であることを示した。がん対策のための戦略研究として企画された本研究が確実にアウトカム評価を達成すべく、引続き研究の推進を図り、成果を普及・活用し、発展させるよう務めたい。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)