患者・家族・国民の視点に立った自立支援型がん情報の普及のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200924054A
報告書区分
総括
研究課題名
患者・家族・国民の視点に立った自立支援型がん情報の普及のあり方に関する研究
課題番号
H21-3次がん・一般-015
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 清高(国立がんセンター がん対策情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 的場 元弘(国立がんセンター 中央病院)
  • 八巻 知香子(国立がんセンター がん対策情報センター )
  • 朝戸 裕二(茨城県立中央病院・茨城地域がんセンター)
  • 谷水 正人(四国がんセンター)
  • 田城 孝雄(順天堂大学 医学部)
  • 堀内 智子(静岡県立静岡がんセンター 疾病管理センター)
  • 清水 秀昭(栃木県立がんセンター)
  • 辻 晃仁(高知医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、特に国民の不足感が強いがん医療に関して、病気や治療に対する患者自身の理解を助けることに加え、刻一刻と生じる不安や疑問に対して自発的に対応できるための意思決定と自立支援に関わる情報提供等を行うことにより、全国のがん患者に質の高いがん医療にかかわる情報支援の仕組みを普及させることである。
研究方法
がん医療に関わる網羅的かつ横断的な情報の収集と情報提供体制を検討し、自立支援型情報の普及の評価に向けた準備と6医療機関においてがん患者必携の試験配布を実施、また、普及計画の検討に資する拠点病院の情報提供体制に関する調査を実施した。
結果と考察
178名の患者に試験配布を実施し82名から、配布や説明に関わった医療者79名から回答を得た。試験配布では、約8割は「役に立った」と回答し、内容の難易度は約6割が「ちょうどよい」と答えていた。医療者からの回答もおおむね好意的で、特に配布体制や調製プロセスについて提案がなされていた。拠点病院向け調査では、相談支援センターが窓口機能を担うことが指摘されていた。信頼できわかりやすい情報が適時に提供されるためには、認知・活用支援、配布準備、手法の開発、配布段階での評価とアウトカムまでの一連の検証が必要であり、今回なされた予備的考察と対応策は、今後の計画の精緻化に極めて有用であった。得られた結論は、自立支援型情報が患者にとって良好な転帰をもたらすためには、以下の成功要因が必要であるということである。つまり、「エビデンスに基づき、信頼でき、良質で適時にもたらされる」「費用対効果が高くアクセスが容易」「包括的である一方で個別的」「患者(利用者)の視点に基づく設計と開発」などが挙げられる。立ち上げの初期段階においては、これらに加えて各サイトにおけるコアメンバーのリーダーシップと良好な協調関係の構築に依存していた。
結論
アクセスや支援の環境が保証されたうえで、自らのニーズに基づき、信頼できるわかりやすい内容の自立支援型情報を活用することができれば、主体的な治療や療養生活の方針決定や納得につながり、良好な治療、療養生活上のアウトカムを得られると考えられた。今回の調査によって最終報告に向けた指標の抽出と予備的なエビデンスが得られたことから、2年目以降のサイトの増加および地域における深化を進めることで、情報処方プロセスの最適化に向けたより強固なエビデンスを得ることができると考えている。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
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